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第2話:幼馴染

〜第2話〜


今日の天気は全国に快晴だそうだ。たしか出る前に見たニュースでそんなことを言ってたような気がする。

発達した高気圧が日本列島を覆っているだとか……


「雨が降るはずないだろうが……」


母親に言われた一言に改めて突っ込みを入れてみる。むなしいだけなのだが……

空を見上げてみれば雲ひとつない。無駄に眩しい。その上暑い。不快なことこの上ない。

今を何月だと思ってやがる?4月だぞ!?春なんだぞ!?

春ってのはもっと過ごしやすいものだというのが昔からの決まりじゃないのか?


「憂鬱なことこの上ない……」

「何朝から暗い顔してるのよ!?」


いつ隣に並んだのか、人の一人ごとに勝手に突っ込みを入れてきやがるこいつは京本瑠璃。

俺の幼馴染だ。

少し茶色っぽい髪をショートに切りそろえ、大きな目をらんらんに輝かせている様は男にしか見えん。

ボーイッシュなどという言葉もあるが、こいつの場合は男と比べても遜色ないのではないだろうか?


「お前みたいに朝からテンションあげてたら午後までもたないんだよ」

「情けないわね〜。ちゃんと朝ごはん食べてきたの?」

「おかげさまでな」


まったく、いちいちうるさいやつである。どうしてそう人の世話を焼きたがるのか?はなはだ疑問である。

そのくせこいつは見た目どおりなのか?やたらと強い。

昔から男子ともよく喧嘩をしていて、しかも勝ちやがる。それが高校に入り空手なんぞをはじめやがったのだ。

おそろしくて近寄るのもためらわれるね。


「それにしても、香介がこの時間に登校してるなんて珍しいわね」

「ブルータス、お前もか……」


こいつと俺との仲がそんなものかはおいといて、母親に続いて瑠璃にまで言われると、やはり少し悲しいものである。

そんな風に思われるとは……


「そう言われたくなかったら、毎朝早く起きることね」

「うるせえよ…」


ここまで言われると、さすがに少し早く起きる努力をしようかな?な〜んて思ってもみてしまうが、おそらく起きれやしないだろう。

そんな簡単に起きれるならとっくに起きてるしな。


「ほら、早く行くわよ!!」

「おう…」


瑠璃に促されるままに学校にむけて歩き出す。

やれやれ、せっかく早く起きたのにろくなことがないぜ……

全部自分のせいだとわかっていながらも、そう思わずにはいられなかった。


自宅から徒歩で20分くらいの小高い丘の上にある学校。

俺が通う、私立晴嵐学園だ。

私立の割には学費がそれほど高くなく、設備の面でもそこらの学校とは雲泥の差の充実性を誇っている。

そのため毎年志願者数が異様に多く、合格には相当の実力、ともに運が必要になってくる。

運ってのは俺の意見によるところが多いけど、気にしたら負けだ。

俺としては、家から近く、更に学費も安いこの学校にぜひとも入学したかった。

朝、遅くまで寝てられるという利点もあるし、何より片親でただであえ苦労の多い母親の負担を軽減しようと思ったからだ。

そんなこと絶対に言わないけどな。なんか照れくさいし……

しかし現実は甘くない。俺の成績は芳しくなく、ここに入るには多大な努力があったことも事実である。

まぁ、俺の武勇伝はいつか語るとして、とにかく1年前に無事に入学できた次第だ。


「入学してから、もう1年か…」

「そうね〜。光陰矢のごとしってやつかしら」


年寄りくさい……。なんてつぶやいてみたら、なんと左ハイキックがとんできやがった。

一応女子でスカートなんだから、せめてローキックにしとけよ。

突っ込むところが間違っているような気もするが、まぁいいさ。


「にしても、少し早く着きすぎたな」


そんな風に話していると(俺が瑠璃に襲われながらとも言うな)あっという間に学校に

つおてしまった。

時計を見れば午前8時少し前。HRは8時半。いくら何でも早すぎるだろう……

やっぱり家でもう少しゆっくりするべきだったか?


「香介が早く起きるからこんなことになるのよね」

「なんでさっきから全ての原因が俺に帰結する……」

「そうしておくのが一番まるく収まるじゃない?」


収まるわけないだろうが。そう感じているのはお前だけだ。


「さて、ここでこうしてるのも時間の無駄だしね。ついてきて」

「ちょっと待て。どこに行くつもりだ?」

「来ればわかるわよ」


それだけ言うと、とっとと歩いていってしまう瑠璃。しっかり俺の腕を掴んで……

行くなら一人でいけばいいものを。

そう思いつつもついていく俺は、結局はお人よしなんだよ。言っとくけど瑠璃が怖いんじゃないからな?

2話目アップです。まだ序盤ということで、なにとぞ長い目で見てやってください。

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