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雑記帳  作者: curuss
7/37

退職サポート業者

 2chをみていて閃いたというか……思いついたことがありました。今回はそれがテーマになります。


 2chでは――

『いまの会社orバイト先を辞めたいのに、辞めさせてくれない』

 なんて内容の話題が、定期的に話題になったりします。

 学生の方や恵まれた環境の社会人の方には、ちょっと理解できないかもしれません。なによりも――

「監禁でもされてないのなら、最後の手段で職場に行かなきゃ良いだろ?」

 だとか――

「極論を言えば、やる気の無い者を働かせ続けることはできない」

 なんて反論が聞こえてきそうです。


 でも、そうじゃありません!

 まだ日本の会社は、終身雇用や年功序列が前提なままです。

 実態としてそうでないとしても、実際に働く人間がそう考えている限り……結局は旧態依然の常識が罷り通ります。

 そして終身雇用制度下で最大の罪悪は、会社を辞めることです!

 実際は成果主義であるにも拘らず、終身雇用や年功序列と同じ我慢を要求されると……労働者としては困ってしまいます。

 成果主義システムは労働者側からも、ドライな見切りが必要で……可能であるべきでしょう。

 つまり、報酬や待遇が見合わなければ辞めるべきです。

 なのに現場レベルでは、退職が蛇蝎のごとく忌み嫌われます。普通の人には辞職すらままならないのが、一般的な職場環境でしょう。

 しかし、それでは犠牲を生んでしまいます。

 いわゆるブラック企業が存在するからです。


 いくつかの企業がブラックと叩かれてますが――

 作者は叩かれて当たり前、いい気味、潰れるべきとすら思っています。

 ここで勘違いして欲しくないのが、べつに過酷な労働環境が悪いと考えてはいないことです。

 あるブラック企業の幹部さんなんかは、いかに若い時に休まず働いたかが自慢らしいですが――

 それは個人の価値観ですし、本人が納得している以上、他人がとやかく言うことじゃないでしょう。

 また、いわゆる失われた二十年の間や、それ以前にも……過労死する人はいました。昔の方が苛酷ですらあったでしょう。

 しかし、ブラック企業での過酷さと同じには語れません。

 例えば……どんなに過酷な企業であろうとも、残業代は支払っていたのです。

 ちなみに言わせて貰うと『サービス残業』なんて概念は、比較的新しい言葉だったと思います。

 そりゃ、ちょっとした誤魔化し程度はあったでしょうが……あたかも当たり前の権利のように要求されだしたのは、ここ十年ぐらいの間だと思います。少なくともバブル景気の時点で、いったんは無くなった概念ですからね。

 そして同じように、十年以上前は過労死を争う裁判が稀でした。

 『過労死を訴えるのが一般化した』という見方もありますが……もう一つの説明もあります。

 それは『本当に過労死しちゃたら、即座に口封じをしていた』です。これは――

・社員が過労死しちゃうなんて、醜聞だった

・残った社員へ見せるため

・労災認定されると色々なデメリットがある

 などと説明されています。

 残された家族には、退職金などに色を付けることで納得させる。

 それで動揺する社員にも「たとえ自分が過労死しても、会社は面倒見てくれる」と示唆できます。

 また、全員がその覚悟で仕事をするから得られるアドバンテージもあったでしょう。

 もちろん、どんなに長時間の残業代であろうと、きちんと――まあ、普通に納得できる範囲のカット程度で済んでいたそうです。

 さらに終身雇用というものは、致命傷レベルの失敗をしない限り会社は社員を喰わせていく約束と言えます。その代わりに、社員は忠誠を誓うわけです。

 つまり、終身雇用で年功序列のシステム下において、深く考えずにモーレツ社員となっても、決して悪い選択ではありません。不幸にして過労死してしまったとしてもです。対価は常に支払われていたのですから。


 対するにブラック企業は、公平を期すために話半分だとしても――

 基本、残業代は支払わない。

 むしろ社員からサービス残業をせしめることが、利益拡大につながると考えている。その為であれば、裁判沙汰も辞さない。

 社員が過労死しても、責任を取る気は無い。

 過労死認定されないように、当然のごとく裁判へ持ち込む。もちろん、遺族の感情など考えていない。

 さらに時勢に乗って――

 終身雇用でもなけりゃ、年功序列でもない。

 止めに、それでいながら旧態依然のモーレツ社員であることを要求する。

 ……そりゃ儲かるわけだなぁ。

 ちなみに最も意地の悪い考えで評価すると『ブラック企業の社長や重役は、いかに社員にサービス残業させるかが生活の糧になっている』と言えます。

 正社員の平均時給は三千円前後だそうです。仮に従業員が千人の会社として……毎日一時間ずつサービス残業させると、三百万円になります。三百六十五日搾取すれば、なんと十億!

 それを社長以下重役で分けりゃ良いのですから……ブラック企業の経営陣など、泥棒と大差ありません。

 いや、千人が一日一時間で千時間、それが一年で三十六万五千時間で……日に直すと約一万五千日、年に直すと約四十年となります。半分は寝たり、食べたりのロスがあるでしょうから、倍にして約八十年。ちょうど人ひとりの一生と同じぐらいで、つまり――

 毎年、奴隷以下の扱いで人ひとりを、死ぬまでタダ働きさせている。

 それがブラック企業の経営陣です。奴隷以下は言い過ぎじゃありません。奴隷ですら、食事や住居の手配は主人がしてくれます。

 正直、なぜブラック企業の経営者が、石を投げられないのか不思議でなりません。


 ……話をブラック企業に勤めてしまった不幸な人へ戻しましょう。

 基本的に仕事をする以外の時間はないそうです。

 転職先を探す時間どころか……仕事を辞めるべきか真剣に考える時間すら作れないとか。

 そして日常的に会話をするのは――会話できればですが――職場の人間だけになります。

 この人達がまた……同じようにブラック企業に勤めている人達なんだから、話し相手として適切なわけがありません。向こうも似たような煮詰まり方をしているか……現状を肯定するようなタイプでしょう。

「心身に異常をきたしているような気がする」

 などと相談したところで――

「とりあえず十年は我慢してみるべき」

 だとか――

「社会人なんだから、甘えたことを言うのは止そう」

 なんて返事が返ってきます。もっと悪いパターンなら――

「俺も同じことを思っていた。でも、どうすればいいんだろう?」

 などと同病相哀れむ結果となるでしょう。

 それは涙を誘うかもしれませんが、必要なのは解決策を思いつける誰かです。同じように困っている人じゃありません。

 専門医にでも相談しようと思い付けたところで――

 そんな時間が作れるような職場は、ブラックなどと呼ばれないのです!

 いっそのこと、とりあえず仕事を辞めるべきじゃ?

 そんな考えは、すぐに思いつけるはずです。何といっても……ブラック企業で仕事を継続できるぐらい有能な人なんですから!

 しかし「仕事を辞める」という考えそのものが、あまり歓迎されません。周りにも、自分自身にもでしょう。

 道徳的な忌避感はもちろん、現実的な問題があるからです。生活の糧を得る手段を失ってしまえば、路頭に迷うしかなくなります。


 それでも辞めよう!

 決意できたとしても、状況は最悪です。

 先に述べたように、ブラック企業は従業員を使い果たしてなんぼの世界です。

 もし辞められたら大損害な上……止める立場の上司も、同じブラック企業に使われている被害者か、加害者に転じてしまってます!

 同じように苦しんでいる同僚ですら、ある意味では敵です。誰かに辞められたら、即座に職場は苦しくなるんですから。

 また、真剣な退職の意思表明は、直属の上司以外へはNGとされています。下手に周りと相談してしまうと、後々拗れる原因にもなるとか。

 四面楚歌どころか、孤立無援です。


 それにやるべきことは山のようにあります。

 おそらく、大半の人は、一度たりとも会社を辞めたことがない。少なくとも自発的には皆無なんじゃないでしょうか?

 そんな方にも、恐ろしく簡単にご理解いただける質問があります。


 貴方は辞表を書いたことがありますか?

 そしてそれは……何のお手本も無く、即座に書けるようなものでしたか?

 誰に渡すのが正しいか知ってますか?

 留意されたら、どう答えますか?


 会社を辞めるというのは、普通の人には未知の体験でしょう。

 学生の頃なんかに、バイトをサボって首になるのとは違います。自分から辞意を表明し、交渉もし……可能な限り円満に収めないといけません。

 少し考えただけで、色んな雑事を思いついてしまいます。

 その上、第三者が聞いてもやばいと感じるブラック企業は……従業員が辞めるときも利益のチャンスと考えている節があります。これは全く誇張していません。

 なんだかんだと理由をつけて最後の給料を払わなかったり、少なくしたり……損害賠償を請求されることすらあるのです。

 円満にいかなかった場合、やるべきことは加速度的に増え、そして専門的になっていきます。

 そしてブラック企業に勤めちゃっている人には、そんな時間的余裕なんてありゃしないのです。

 もしかしたら2chで相談している人は、まだマシなのかもしれません。2chをする時間があるんですから。


 そして本題はここからです。

 これだけで終わってしまったら、いくらオチ無しが多い作者とはいえ酷すぎます。たんに問題提起といいますか……酷いことがあると言っているだけですから。


 いっそのこと、プロに丸投げしてしまえば良いんじゃないだろうか?


 それが閃いたことです。

 まず会社を辞めたい人は、電話で連絡をします。

 連絡を受けた『退職サポート業者』は――

・退職までにしておくべきこと、万が一に備えて抑えておくべき証拠

・正しい辞表の書き方、出し方

・法律に沿った対応策

 などをレクチャーする訳です。

 これなら引っ込み思案だろうと、面倒臭がりだろうと……忙し過ぎて何もできない状況だろうと行動が出来ます。

 なにより、ある程度は冷静な第三者のプロ意見も聞けるでしょうから、心強く感じられることでしょう。


 そんな商売が成立するのか?

 なんて疑問もあるでしょうが、作者は成立すると思います。

 なぜなら、確実に現金を持っている人を相手にした商売だからです。

 ブラック企業の犠牲者さんが、口を揃えて言うことがあります。「忙し過ぎてお金を使う暇すらない」と。


 話が前後してしまいますが、この『退職サポート業者』は弁護士の資格が必要と思われます。

 細かな法律には疎いのですが、行政書士だと逸脱している範囲があるような?

 なので少なくとも、三十万程度の報酬が必要となるでしょう。

 しかし、逆に弁護士側から見ると、やや食い足りない仕事でしょうか?

 ただ、おそらく楽勝な仕事です。

 仕事を辞めるのは法律で認められた権利で、事実的にも止めようがありません。

 そして基本的に、依頼人が職場へ通知する前に指示ができます。これは裁判へ持ち込まれた場合の備えです。

 裁判沙汰になるようなら……ブラック企業が無理難題をいったわけですから、勝ちの見えてる戦いになるでしょう。

 その展開は弁護士には美味しいですし、依頼人にとっては身を守ることが出来たわけです。さらに、全体的な経費を損害賠償として請求すら可能になります。

 つまり、穏便に退職で話が収まるのは、基本サービスセット程度。本命は裁判沙汰になってから、ブラック企業の懐が狙いです。

 ……仮にブラック企業側が勝訴する場合でも、弁護士はとりっぱぐれないでしょうしね。最悪、依頼人の退職金を差し押さえれば良いんですから。


 依頼人も『正しい退職法』のマニュアルを教えてもらえますし、場合によっては失われる利益――誤魔化される給料や退職金、有給などの清算――で費用を賄えるでしょう。

 それに拗れる前に第三者を仲介させるのは、用心として正しいはずです。

 例えば……法律上は辞意を表明して二週間で退職可能になります。

 引継ぎや職務上の都合などで、会社がそれ以上を要求するのは勝手ですし、辞める側が応えるのも良いのですが……その辺でなし崩しになることが多いそうです。

 そんな時に弁護士からの専門家のアドバイスが得られる、場合によっては同席での交渉が可能となれば……辞められなくて困るというのは避けられるでしょう。


 財源は確保できそうで、弁護士の参入も見込めそうですが……問題点として、依頼人が常に忙しいというのがネックです。

 場合にもよるでしょうが……初期の指示や相談のための時間が、終電以後になる可能性が高いと思われます。

 その辺で色々な工夫が必要だったり、多少は精神的なケアや退職後のフォローなども考慮するべきでしょう。

 つまり、弁護士の仕事としては、非常に一般的じゃない案件になるはずです。

 少なくとも歓迎はされないでしょうし、通常の料金と比較したら話にならないと思います。

 ちなみに一件三十万円と仮定し、月に三人ずつ依頼を完了すれば、粗利で九十万円ですが……弁護士が稼ぐべき数字としては、かなり低いはずです。

 というか、弁護士さんを深夜に呼び出したら、一回で数万円がぶっ飛びます。あの人達の移動手段は――交通費は、タクシー使用が基本だったりしますから……あとは推して知るべしでしょう。


 この予想が正しいとすると、つなぎ程度の仕事と見做されたり、極端に仕事に困っている弁護士さん御用達の依頼になりそう?

 作者は、それで良いんじゃないかと思っています。

 実は今現在、弁護士さん達も収入減で喘いでいるそうです。

 デフレ不況をもろ被りしたのか、一時期の歯医者のように数が増えすぎたのか……弁護士の平均年収一千万円なんて夢のまた夢、貧困に苦しむ方も珍しくないとか!

 よく電車に『過払い金請求』なんて広告がぶら下がってますが、あれなんて弁護士業界全体が苦しんでいる証拠だといいます。

 あれは財源がサラ金側にあり、証拠さえ揃っていれば確実に集金できる――取り返す過払い金が担保されています――ので、良い商売に思えますが……実はそうではないみたいです。

 問題点として、掘るべき山――依頼人の数が最初から限られていること。

 そして言い方が悪いですが……依頼人がサラ金に手を出しちゃうような人ばかりということです。


 親族が懇意にしていた弁護士さんが、かなりの大物だったらしいのですが……その先生、どんなに細かな仕事でも断ることがありませんでした。

 自分がやるような仕事でなくとも、若い部下に任せたり……あまりに予算が無い場合でも、必ず知恵を授けてもらえます。

 良い先生に当たったのかなと、長年勘違いしていたのですが……その見立ては少し温すぎました。

 弁護士という商売では、一度でも依頼を受けたら『以後は顧客として確保』が鉄則のようです。

 細々とした仕事――その先生にとってはゴミのような――をいくつかこなした後、親族で遺産相続問題が起きました。作者は傍系も良いところだったので、蚊帳の外でしたが……億単位の金額だったとか。

 もちろん、その先生は問題解決に呼び出され、報酬として一割――相場らしいです――貰っていきました。細かな仕事で顔を繋げることが、大きな営業成績となったわけです。

 それに、それまで頼んだ仕事も半端だったとはいえ、決して赤字ではなかったでしょう。

 事務所の人員を遊ばせないためにも、常に仕事は必要ですし、全ての仕事で大儲けは狙えません。微赤字までは我慢するのが、正しい経営戦略と思われます。


 高い勝算が確保されている『過払い金請求』は、一見すると美味しい仕事ですが……営業活動としては見込みはありません。

 顧客が次の仕事を持ってきてくれないからです。期待できて……自己破産宣告の手続きでしょうか? それは新たな手間賃仕事に過ぎません。

 対して、『退職サポート業者』を考えると……同じ手間賃仕事に過ぎなくとも、得られる顧客の質が違います。

 そりゃ仕事を完遂した暁には、依頼主は無職のプー太郎です。

 でも……心身を害するほど真面目に仕事するタイプともいえます。再就職さえ成功すれば、かなりの有望株ではないでしょうか?

 長い人生、一度や二度は弁護士のお世話になることはあります。その時、最初に誰に話を持ち込むかといえば……やはり知っている先生になるんですから。


 この一見、ブラック企業以外にはWinWinな方法論ですが……大きな瑕疵があります。

 それは世間に周知の必要があることです。

 周知されていると、まず外聞が違います。

「○○の奴……会社を辞めるのに弁護士を連れてきたぞ? ちょっと大袈裟と言うか……ちょっと頭がおかしくないか?」

 というのと――

「会社辞める○○……なんか最近噂の『退職サポート業者』に頼んだらしい。これも時代の変化ってやつかねぇ?」

 というのでは、全く印象が違うのではないでしょうか?

 いま退職告知に弁護士を同伴したら、世間ではキチガイ扱いされるでしょう。もう、それだけで宣戦布告も同然、裁判沙汰待ったなしです。

 しかし、新概念のサービス『退職サポート業者』なら全く違うと思います。

 ……内情はやっぱり弁護士同行で、もの凄く大袈裟ですけどね。


 となると例えば……クラシアンのような、専門家に仕事を紹介するだけの会社が必要となるのでしょうか?

 あのクラシアンという会社は単なる仲介業で、お客からの依頼を業者に連絡してマージン取るだけだったりします。

 専門仲介業者を設立して、広告などを一手に賄う……アリといえばアリな気もしますが、ナシといえばナシの気も。

 なによりも……個人の出資だけを頼ると、こけた時に目も当てられません。

 それに、もう少しオフィシャルな看板と雰囲気が必要に思われます。

 しかし、税金で何かシステムを作る――役人に任せるのは論外でしょう。

 現行の法制度で上手くいっていないから、ブラック企業問題や……その犠牲者の過労死などが論じられているのです。

 けれども、税金など……使えるお金を当てにしないのは愚かでしょう。


 結論から言うと、NPO法人設立がベターだと思います。

 これなら各種助成金を当てにしつつ、かなりオフィシャルな看板を掲げることが出来るはずです。

 ……実情は弁護士へ手間賃仕事斡旋ですが、看板に偽りはありません。実際に『退職サポート業者』として活動するんですから。

 さらにNPO法人ならば、いずれかの政党のバックについて貰えます。政党側もイメージ戦略と得票に利用できるから、全くなしではないはずです。

 黒い話までするのなら……そのNPO法人に労働基準監督署向けの天下りポストまで用意できれば、なおベターでしょう。

 役人や政治家と喧嘩しながら物事を変えるより、ある程度は共棲しながらの方がスムーズにいけます。


「退職の商売化はモラルハザードを起こす」

 だとか――

「こんな大事なことを他人に委任するのは良くない」

 などと、小うるさいことを言う有識者の方へは――

「このままだと『弁護士が救急車の追跡』を始めてしまう! それに実際に誰かの生命を救う、現実的な解決策だ!」

 とでも説得――なんだか大東亜共栄圏のロジックみたいですね――すればいいでしょう。

 ちなみに『弁護士が救急車の追跡』とは、アメリカでは実際に起きていることらしいです。

 交通事故が起きれば、いずれは損害賠償訴訟へ発展します。つまりは裁判沙汰になるということで……弁護士にとっては飯の種に他なりません。

 その流れはほぼ確定しているのだから「最初から事故現場へ駆けつけてしまえば良い」という、実にアメリカンな()()()()です。

 ……アメリカでは一足先に弁護士余りが起きていて、それが訴訟大国になった遠因ともいわれています。

 そんな訳の判らない時代になる前に、少しでも対応をする。つまりは弁護士に手間賃仕事を与えてしまう訳です。

 方法論はところどころグレーも良いところですが、最終的には『ブラック企業に潰される誰かを救出』します。方便と謗られようとも、誰かの生命を救えば万々歳でしょう。

 ……この手のロジックに有識者の方は滅法弱いと思うのですが、作者の気のせいでしょうか?


 ここでクールダウンタイムです。

 思い付いたのは、これでほとんど。作者個人の感想で言うのなら、通りそうな話に思えます。……簡単ではなさそうですが。

 そもそも自分自身であり得ないと感じている話を、公表したら……それは何かか狂っている証拠です。今回は創作の話ではないんですから。

 それでも、落ち着いてプランを見直してみるべきです。


 ………………うーん? 無いな!


 再検討しても問題点は見出せませんが、結論としては『無い』が出ました。やはり、素人の作者が思いつくような計画は――


 成立するのなら、すでにプロが着手しているはずです。


 作者個人への宿題としては、『実際に行動へ移したとして、どの部分がネックになるのか?』だとか『それを見落とした理由、自分に欠けている視点の確認』になるでしょうか?

 そして結論としては、以下の通りです。


 退職をサポートする専門業者というアイデアはどうでしょうか?

 専門家や起業家の方々、是非とも御一考お願いいたします!


 ……種を撒くのは無駄じゃないと思っています。



追記 さらなる蛇足の感想


 リアルでの実現は、何かしら障害がありそうですが……創作でならアリな気もしました。

 つまり本文で述べた仕組みが、そのまま物語の設定へスライドです。

 主人公は冴えない貧乏弁護士崩れ。日々の生活のために、『退職サポート業者』から斡旋される仕事をちょぼちょぼこなしています。

 もはやテンプレ気味ですが、まあ良いんじゃないでしょうか?

 性格面では『働くのが大嫌い』で、心の奥底から『退職希望者を応援』しちゃうアナーキスト気質とでもします。

 まあ、『退職希望者を応援』が、主人公にとっては仕事であるという……アンビバレンツさはスパイスとして活用……かな?

 さらにヒロインとライバルヒロインを登場――まあ、華やぎは必要です――ストレス原因としてNPO法人事務局を配置、ライバルポジはスポンサー政党の若手議員とかで――

 そして基本的には依頼人から連絡があって、ブラック企業から退職させる。その過程を描写となります。

 なんだか小説より、漫画……それも青年誌向きな気がしてきました。

 売りは少し前に流行った『違法・脱法な裏社会との境界線』や『実際にあったとんでもブラック企業』が中心となるのかな? 系統的には『東京闇虫』だとか……だいぶ古いけど『夜逃げ屋本舗』だとか?

 そうです。『夜逃げ』が映画のメインテーマになるのなら……『ブラック企業からの退職』が物語のテーマになってもおかしくない! それが発想の起点となっています。……我ながら浅い!

 『退職』なんてサラリーマンなら誰でも一度は考えること、つまりは読者が興味を持っているといえます。さらに――

 万が一にでもブラック企業に勤めてしまったら?

 辞めたいのに辞められない理不尽に見舞われたら?

 なんて疑問と恐怖を解消する訳です。

 基本的にブラック企業は敵役で、勧善懲悪よろしく退治される側ですが……時には依頼人がDQNだったり、まさかの和解エンドで主人公がギャフンと言ったり――

 ……本気で漫画原作向け?

 いや、他ジャンルへ投げるぐらいなら――ちなみに作者の絵心は壊滅的です――自分でやるべき? つまり――


 本邦初! 社会派ラノベ!


 ……無いな。

 クールダウンは大切だし、四次元殺法コンビの金言『先人が思いついたけどあえてやらなかった』は忘れちゃいけませんね。

 真面目な話、やり方しだいとは思いますが……精緻な法律考証が必要になるはずです。

 ちょっと作者には難しいなぁ……。

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