誰にでも星空は瞬く
※ 『化物語』のネタバレを含む
きっかけは『化物語』でした。
紆余曲折あってヒロインは、主人公を天体観測に連れ出します。
しかし、その移動方法というのが――
父親に車を用意させ、あまつさえ運転手まで!
というもの。
主人公もヒロインも高校生で免許はないし、御都合的に天体観測できる裏山があるとか避けた結果だろうし、ヒロインの特異さも際立たせたかったのだと思いますが――
うーん?
1 都会の星は数えられる
よく星の数ほどなんていいますが、夏場の星なんて数え切れます。
だいたい三つかそこいらでしょうか?
うち二つは金星と火星な気がするので、恒星という括りでは一つかもしれません。
冬場になって、やっとオリオン座が確認できるぐらい?
……マジなんです! 都内ってそうだから!
「今日は何とか流星群が~」なんて日には、毎回夜空を眺めますが――
まあ、流星程度の光量で見えるわけもなし(苦笑)
よくよく考えると、人生で一度も流れ星を見た覚えがありません。
人生の99.9%は都内ですから、当たり前といったら当たり前ですけど。
子供の頃に田舎へ行ったり、林間学校や臨海学校で星空を見たはずですが、全く記憶に残ってませんし。
……当時は、それが貴重な体験であると理解してなかったんですね。
なので逆説的に『化物語』での手順は納得です。
「どこかの地方都市のような舞台設定で、なぜか天体観測できる裏山があります? それって御都合過ぎない?」
と思ってしまうからです。
2 では、どれくらいの距離をヒロイン父は運転したのか?
もしくは、都内から最短距離の天体観測スポットはどこか?
調べて気づいたのですが――
天体観測スポットすら調べず、星が見えない
と嘆いていたのです! なんたる不遜!
さらに――
あったよ近場に! それも都内!(not八丈島)
奥多摩湖まで行けば天体観測できるそうです!
……うん? 奥多摩って結構遠くね?
全員に分かりやすいように新宿~奥多摩と考えて――
車でも高速使って片道1時間44分! 下だと2時間45分!
タクシー料金に換算すると22,340円!
なるほど。これは高校生に解決できる距離ではなさそうですし、ヒロインの選択もやむなし?
ちなみに熱血青春で自転車とか考えたら――
片道6時間20分! むりぽ!
それにドライブ好きでも、往復3時間からは大変に感じます。
つまり、上道使って――高速料金往復4400円で、ぎりぎりレジャーの範疇。
ちなみに初見の下道往復5時間コースとか、ほぼ労働も同然です。
3 だが、私は諦めない
高校生主人公が、誰にでもできる手段で、意中の女の子へ――
「今夜星を見に行こう!」
と誘う。
これこそ王道の青春物語だと思います!
それじゃ『君の知らない物語』?
いや、だからこそ誰の心をも打つ名曲なのでは!?
というわけで、ここからは作戦を考えます! 今回の本題、これ!
多数派へ訴えかけるべく、出発地点を『新宿駅』。目的地を『奥多摩湖バス停』としますが、思考の流れも書き記しますので、各地域用にアレンジしてみてください。
4 高校生なら電車一択
高校生といったら電車でしょう!
実は新宿から奥多摩まではJRで――
片道 1,280円 所要時間 1時間43分
と、意外なほどに近くて安かったりします!
まず閃いたのが――
23時ごろ着な終電で奥多摩駅へ。
奥多摩湖までは散歩気分で歩き。
始発の朝5時まで天体観測祭り!
……かなーりハードスケジュール?
暇と体力を持て余してる男子大学生じゃないんだからさぁ。女の子とデートにはNGすぎない?
それに奥多摩駅とか、駅前にコンビニすら怪しいんやぞ?
ちなみに奥多摩のバンガローは、二人用の最安値が一日4000円でした。
……交通費込みで下手なラブホテルより安い!?
まあ鍵の借り出しとかで、もっと早い時間に現着しなきゃだったり、4000円で借りれるのは箱だけで寝具別とかありますが……まあ選択肢には入る?
でも、高校生向けではないよな(苦笑)
一応、『カップル向け天体観測激安ツアー・一泊二日二名で一万円以下』のアイデアとして置いておきます。
5 深夜に移動できればなぁ
一時間ぐらい天体観測して、ささっと帰れれば問題ない訳です。
つまり、夜中の1~3時ごろに電車が動いていれば――
うん? 年末年始って各種交通機関が24時間営業じゃないか?
適当に青梅線沿いの神社で二年参り。
その後は奥多摩で天体観測。
明け方には御来光も拝む。
……アリでは?
やや活動時間が長くて気になるけど、イベントとして考えたら許せる範囲じゃ?
が、作者の調査能力では青梅線の年末年始ダイヤをサルベージできず。
どうやら奥多摩近辺までは、年末年始の24時間運行はしていない? 助けて鉄っちゃん!
でも、別地域のパターンへ応用できそうなので、ご参考までに。
6 一体いつから――深夜にしか天体観測できないと錯覚していた?
しばらく計画は、最適解がないと死蔵されていました。
でも、天啓が!
あれ? 星空って何時から見えるんだ?
逆に考えるんだ、ジョナサン!
終電で着かなくても、いいさって!
そう、逆に終電で帰れば!
奥多摩発の終電は23時!
つまり、逆算すれば天体観測を一時間で切り上げたとしても――
21時に奥多摩駅へ着いていれば可能!
でも、21時30分~22時30分の空を観測となるけど、見えるのか? 星は?
もっとも遅い日没は7/9近辺で19時ちょうど。
日没後30分は残照で明るいといいます。
つまり、さらに30分のマージンを考えても――
実は20時から確実に星空が見える?
また日没の早い12/1近辺だと16時30分ぐらいなので――
最速で17時30分から!?
そして今回は『高校生の能力で』という縛りなので、終電前提はよくないかもです。
むしろ解散時間を日付変更される前とかに配慮?
7 高校生向け日帰り天体観測のしおり
15:40 新宿駅集合or到着
トイレタイム(←女子エスコートの鉄則。さりげなく必ず勧めよ)
駅弁購入推奨
16:19 新宿から中央特快 -1280円
16:57 立川着
ぎりぎりトイレタイム可能
ここでは崎陽軒のシュウマイ弁当購入可
17:03 青梅線へ乗り換え
この30分は頑張れ。トークで何とかする必要あり
17:36 青梅着
17:39 奥多摩行きへ乗り換え
車内食事のチャンス。ここからは飲食が許されている模様
……食事は間が持つ万能解なんやで?
18:15 奥多摩着
トイレタイム推奨、しばらくない、時間ないのに留意
18:20 奥多摩湖経由バスへ(土日休は18:40) -360円
18:35 奥多摩湖バス停着
観測時間102分(バス停からの移動時間込み)
滞在時間から考えて、あらかじめトイレの位置をググっておくのが吉
20:17 終バス(逃すと30分歩き&終電コース!) -360円
20:32 奥多摩駅着
20:42 奥多摩発、青梅行き乗車 -1280円
21:22 青梅着
直通
22:34 新宿
一人当たり 合計3280円+飲食費
解散時間が22時34分なら、まあ及第点ではないでしょうか?
……大学生以上は、飲みへ展開するとか、もう歩けないから何処かで休んでいこうかとかお好きに。
ただ、肝心の観測タイムが18時35分からなので、わりと冬季限定化です。
具体的には少なくとも日没が17時30分以前――つまりは10月17日~1月19日となります。
そして月齢や流星群の予定を考えると――
2020年12月04~17日 ふたご座流星群
が狙いどころでしょうか?
特に12月14日は月齢が0――つまり完全に月が欠けて光らないので、天体観測には打って付けといいます。
(11、12、13も週末で動きやすい……かな?)
8 物語への落とし込み
憧れのヒロインが、車も持っていて、イケメソで、なぜか仲の良い、ちょっとだけ年上の男にとられちゃいそうだ!
助けてドラえもん!
まったくのび太君はしょうがないなぁ――
じゃ、この魂の譲渡証明書にサインを。さすれば知恵を授け、助力も承ろう。
てな感じで、主人公と知恵者、友達の鉄っちゃんとかで大騒ぎな王道青春。オチもライバルじみた奴は、ヒロインの従兄をやろうか考えたのですが……
なんだかアイデア先行しすぎ?
それに女の子をデートに誘い、その道中の男の子の葛藤や苦労――
いけるか、それ!?
個人的には好きなんだけど、ウケるかは疑問だなぁ。
でも、このまま没では惜しかったりも。
そんな流れで版権フリープロット?として公開に踏み切りました。
9 まとめ
星空を貴方の脳裏へと描く文才は、私に無いかもしれません。
でも、この文章を読めば貴方の心で――
もう星空が広がっているはず。
この最も星空が遠い国であろうと、ほんの少し踏み出すだけで、誰にでも星空は瞬くのですから。
注意)
天体観測ガチ勢がいるようなスポットなので、荒らさないように気を付けましょう。
グーグルマップを見た限り民家などもあるようで、観光スポット気分で大騒ぎはNGと思われます。
まだ実走してないので、成功は確約されていません。実施する場合は、それを踏まえて自己責任で。
総合評価 16 pt
評価者数 2 人
ブックマーク登録 1 件
評価ポイント平均
3.5
評価ポイント合計
14 pt




