とあるシクロニシティの否定――高二少年少女の夢を砕く話
シンクロニシティ――それはユングが提唱した概念で「意味のある偶然の一致」を指し、日本語では「共時性」などと表記されます。
これは虫の知らせに類する第六感と受け取る考えもあり、オカルトの入門編ですら!
そんなシンクロニシティの中でも定番中の定番――デジタル時計をみたらゾロ目なことが多いは、超自然現象ではないことを証明します!
嗚呼、若人よ! 罪深き我が英知を恨みたまへ!
まずゾロ目となるケースは――
0:00、1:11、2:22、3:33、4:44、5:55、11:11
しかなく、重複を含めても一日に14回しかありません。
また0:00はゾロ目であっても、それでシンクロニシティと考える人は少ないでしょう。
つまりは一日に12回しか起こり得ないのです。
そして定番の解説――
・偶然にも印象の強いゾロ目だった場合、とりわけ記憶に残りやすい
・記憶に残っているので、起こりやすい――意味のある偶然と誤解しやすい
があります。
もちろん正しい! これはこれで正解の半分です!
しかし、あくまでも表の――光の世界用な説明でしかありません。
そう、裏の世界には――
残りの半分が!
ですが、ご注意を!
闇の知恵は、必ずしも貴方を幸せにはしない!
世の中、知らない方が幸せということは多いのです!
考え直しなさい! 踏み止まるのです、光の世界へ! まだ若い貴方には、無限の可能性があるのだから!
………………
…………
……
おや? まだ続きをお読みに?
光へ背を向けてまで、深淵の底に眠る英知をお求めか。
……よろしい。若き魔道の探究者よ。
闇の秘跡を受け取るがよい!
まず知るべきは――
ゾロ目を目撃するには、その時間に起きていなければならない
ということを!
そして遭遇回数を多くしたければ――
発生し得る時間帯に起きていればよい
となる。
……道理であろう?
そしてここまでくれば、お主にも想像できるはずじゃ。
即ち――
夜中の1時から明け方の6時まで、そして昼の1時から夕方の6時まで活動
する者を!
おお、其の名は『暇で自堕落な大学生』! あるいは『ニー――
家族の寝静まる深夜に行動を開始し……明け方に寝て、昼過ぎに起きる!
なんたる背徳! そして見紛うことなく闇を流離うもの!
若者よ!
もしゾロ目のシンクロニシティが妄想に取りつかれたら……それは世間から乖離している証拠!
秘められた力に覚醒したのではなく、ただ夜型で自堕落なだけじゃ!
嗚呼、闇が! 御身の足元に社会から転落させる奈落が広がって!
恐れよ! ゾロ目のシンクロニシティを!
【おわり】
投稿日2018年 09月11日 06時10分
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・頂いたご感想
なんて恐ろしいんだ、シンクロニシティ...。経験しただけでそんなに不名誉なことを言われるなんて。CURUSSさん、おはようございます!遊び心が垣間見ることができるお話で、クスッとしてしまいました。最後に、私が好きな言葉を下に記して去りたいと思います。
「深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」byニーチェ
投稿者: 文月優
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2018年 09月11日 08時03分
これは暇すぎる大学生の頃に発見した結論で、どちらかというと自嘲的なニュアンスだったのですが……
その辺を省いてしまうと、なんだか一方的に若者を嘲笑っているようにも?
……今後も注意した方が良さそうです。
ご感想ありがとうございました!




