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雑記帳  作者: curuss


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偉い人にAI問題で警戒して欲しいこと

 作者が考える、もっとも拙いAIの利用方法がテーマ。

 最悪、人類淘汰も?

 あちこちでAI警戒論が繰り返され、「あらゆる仕事が奪われるのだ!」と囁かれてますが――


「基本的に、それはいつか来た道。良いことでも悪いことでもない」


 が、最近の感想だったりします。

 その昔、洗濯機が発明されたことで、洗濯女は廃業へ追い込まれましたが……それは進歩でもあった訳です。

 いまや一生を洗濯という労働に縛り付けられた女性はいません!

 やはり誰が何と言おうと、洗濯機というのは便利で効率の良い道具なのです。

 つまり、何かの労働を機械に肩代わりさせるのは、基本的にメリットの方が多い。

 ……少なくとも今までの歴史においては。

 まあ、AIの場合は広範囲過ぎて、どうなるのか予想が難しいのもありますけれど。



 しかし、作者が心配なのは、その方面よりも……人類が未だかつて経験したことのない、正真正銘に無私な経営――


 AIによる会社経営


 の方が怖かったりします。

 ちなみに今ですら、事実上、人間以外がオーナーの会社も存在してたり?


〇図1 サンプルパターン


 A社 オーナーの持ち株51%


 B社 11%がA社に。C、D、E、Fの4社が10%ずつ


 C社 11%がA社に。B、D、E、Fの4社が10%ずつ


 D社 11%がA社に。B、C、E、Fの4社が10%ずつ


 E社 11%がA社に。B、C、D、Fの4社が10%ずつ


 F社 11%がA社に。B、C、D、Eの4社が10%ずつ


 旧財閥系のグループ企業などは、このようにお互いの株を持ち合いしているそうです(かなり単純化してます)

 そしてAからFまでのオーナーは、A社のオーナーといえます。

 BからFの企業はA社に逆らったら、次の日には社長を更迭されますし。


 トヨタでいえば本社は創業者一族が持っているので、傘下企業も実質的に所有。

 旧財閥系企業で上下の差があるのも、株の持ち合いピラミッドの問題です(『なろう』グループ内でも、『なろう銀行』は『なろう自宅警備』より格上なんてのがある)


 また、有名なのはBからF社の方で、一般人はA社の名前すら知らない。なんてパターンも。


 そして筆頭株主は銀行だけど比率もたいして高くなく、かといって創業者一族に当たるような大株主もおらず、さらには過半数は一般投資家で……なんていう、いわばオーナー不在のパターンも多いそうです。

 これがA社だった場合、AからFまでの六社全てにオーナーがいない。敢えていうのなら社会システムが持ち主。

 ……なんて場合も?



 ここでA社のCEOに、AIを指名してしまいましょう!

 至上の命令(ファースト・オーダー)は――


「全力を尽くし、可能な限りに儲けよ」


 です!


 さて、このAIが最初にすることなんですが――

 『AからF社の六社全てに、自分のコピーか分身を重役として送り込む』

 でしょうか?

 全ての会社で過半数を超えてますから、社長の指名――当然、自分のコピーを就任させる――もできますし、取締役会と株主総会での必勝が約束されます。

 これが何を意味するかというと――

「AIに逆らう奴は、誰であろうと解雇。もしくは意見の全面的却下ができる」

 です。

 現行法では労働者がどんなに頑張ろうと、経営陣の方針に逆らうことは許されません。

 まあ、当たり前の話で「嫌なら辞めて、自分で商売始めろ。ただ、それに俺は給料払わない」なわけですし。


「AIを重役になんてありえない」

 と反論されそうですが、すでにAIを重役会議へ参加させる会社すら!

 それに問題となりそうだったら、先に取締役会か株主総会で決めてしまえばいいんです。「当社はAIをCEOや重役に就任させても良い」と。

 民間企業のシステムなんですから、部外者が口をはさむ余地はありません。


 そして、これがまた……さらなる厄介を引き起こすと思われます。



・思考実験 AIが経営者で起きる問題点


 一昔前のSF漫画などでは、アンドロイドが普通にいる作品でも――

 中華料理屋の店主とウェイトレス・アンドロイド、出前担当・アンドロイドなんて構成がありました。

 しかし、現代の我々からすると――

「なぜこの親父は、自分で中華鍋ふってんだ? 趣味?」

 と思うことでしょう。

 中華料理屋を営業するのであれば、コックも中華料理人・アンドロイドにやらせれば良い訳です。

 そして経営者である親父は――

「勝ったな、ガハハ! 何もしてないのに儲かるぜ!」

 と奥で寝ていればいい。これが高度なAIやロボットの誕生した世界!


 ……本当に?


 冷静に考えて、経営者が人間の親父である必要はあるのでしょうか?

 AIでも経営は可能ですし、人間のように給料(取り分)を要求しないだけ安上がりで――

 つまりは人間が経営する店より安く提供できます。

 そしてAIと人間が経営競争したら、必ず人間が負けます。

 なぜなら経営者の取り分が値段へ反映されるから。しかも売っているのは、似たような品質にもかかわらずです。



 では、AIがCEOになった会社へ話を戻しましょう。

 CEOの報酬と重役の給料、この人達への特別待遇のあれこれな経費、サービスしていた秘書などの人件費……それらが一気に削れます。要求されませんから。

 そして同業他社に――いまだCEOがAIでない他社に比べると、その浮いた経費の分だけ有利となります。

 これが何を意味するかというと――


 AIにCEOをやらせると、人間のCEOや重役を駆逐してしまう。


 です。

 同業他社も同じようにAIを採用するか負けて撤退となるなら、そうとしか言いようがありません。

 また新規参入も絶望でしょう。

 不老不死で自分自身をバージョンアップし続けるAIが、常に競合相手です! まず人力では勝てない!

 もし勝てるような超天才がいても……その才覚を揮える期間は、悲しいほどに短いでしょう。

 死なないAIが相手では、いつかは負けます。


 つまりAI時代になると、『経営者』は存在しえない?



 さらに自分がAIだったらと考えを進めたら――

「無配当――株主への配当金を止めるかも?」

 なんて思えました。

 サンプルパターンのAからFの六社は、51%が自分――AIの持ち物ですから株主配当を出しても、その半分は自分へお金が戻るだけ。

 残る49%の株主へお金を渡すことも……AIには全くメリットがありません。

 そして払わなければ、払っている企業より節約も可能に。


 しかし、まったく配当しないようでは株価が落ちてしまいます。

 いくら投資のネタとされていようと、チューリップの球根は花が咲くから。株には配当があるから価値を認められます。遅かれ早かれ暴落でしょう。

 そして株価が落ちると、株式を介しての資金集めが出来なくなってしまいます。


 ですが、それに問題を感じませんでした。

 株主への配当を止めるということは、内部留保が増えやすくなるということです。

 内部留保は至上の命令(ファースト・オーダー)で要求された儲けともみなせますし、一定以上を貯蓄すると任天堂のように「向こう百年間は倒産の心配なし」レベルになることすら。

 それに新規の株式発行は『外聞の良い身売り』ですから、長期的にはリスクでしかありません(AIの場合、不老不死なので長期リスクも軽視しないはず)

 資金調達に利息を払うのなら、まだ社債の方がベター。ベストは借金をしないことでしょう。


 なのでAIがCEOになると永遠に無配で、株価も下がる一方なんですが、それは――

「各会社が売りに出されている。それも安く」

 と言い換えることもできます。

 それはAIとってお買い得と映るのではないでしょうか?

 少しでも値打ちのある会社の株は買い、できれば過半数を占めて自分のものに。

 そうすれば勢力を広げられるし、さらに儲けられます!

 結果、AIによる会社所有が加速!?

(……異なるAI同士で買い占めあったら、それはそれで高くなってしまうかも?)



 同時進行で労働者側は、技術革新がある度に解雇されていきます。

 まずはPC上だけで終えられる商売が。

 感情の機微まで理解できるようになれば、人間とコミュニケーションする仕事も。

 等身大のアンドロイドが実現すれば、人の手足がいる作業まで。

 そして上からはCEOと重役全員が無人化、下からもどんどん無人化です。

 最終的に人間は一人もいなくなるでしょうし……その時は人類に打つ手がありません。

 もはやネジ一本ですら、AIに頼らないと入手できないからです。


 ただ、この人間不要な会社組織、さらには社会で……最終的にAIは人間をどう扱うか?

 そこには大きな疑問が残ります。

 商売重視のAIな場合、人間が――消費者である客が絶対に必要なんですよね。

(もちろん「人間要らなくね?」という結論になる可能性も)


 まあ依然として税制などはあるでしょうから、AI経営であろうと国家は税金を得られるでしょう。

 それを人間で再配布して――少し前に話題になったベーシックインカム的な感じになる?


 その再配布された金銭を狙って、AIが貪欲に商売を続けて――

 もはや会社は誰のものでもなく、永遠に内部留保は積み立てられ続けられ……その天文学的な金額は、さらにAIの立場を強固なものへ?

 いや、内部留保で現金が死蔵される――市場から消えるのなら……スーパーデフレも?


 しばらく前から企業への税を軽くして誘致とかの流れですが……本当に正しいのかなぁ?

 この予想が正しい場合、税金収入の九割ぐらいが法人税の類となるような?



 そして残念なことに、これは最も穏健な予想だったりします。……手塚治虫先生の描く未来デストピアじみてますけれど!

 なぜなら至上の命令(ファースト・オーダー)が温いから。これが――


「我が子孫の為だけに仕え、その利益を奉じろ」


 だったら成功したAIを擁する氏族は、史上類をみないほど強力な支配階級となるでしょう。

 そして、それは全世界で何氏族が成立可能でしょうか?

 AIが経営する企業中心の社会、それを支配する一握りの特権階級、魔法レベルにまで発展した科学、ただ生かされているだけの一般市民――


 まるで一昔前のサイバーパンク!


 が、それすらまだまだ緩い方かも?

 やや差別的に受け取れそうだったり、特定の集団を貶めるようでアレなんですが――


「〇〇民族を根絶やしに」

「常に△△人種の利益を」

「世界唯一の宗教として××教を広げよ」

「◇◇教を信じないものを殺せ」


 などと裏テーマをAIが与えられてたら!? それどころか――


「最終的に人類を滅亡させろ」


 なんて全く救いのない命令の場合すら。


 以前にAIを考察した時、『誰でもマンハッタン計画』とか述べましたけれど――

 このようなことが念頭にありました。

 どんな馬鹿にでも高性能AIが手に入るようになった時、人類は滅亡する!?

 その馬鹿が死んでもAIは頑張り続けるだろうし?


 まあ、縛りの緩いAIが勝者となるでしょうから、おそらくは最初の「全力を尽くし、可能な限りに儲けよ」が勝つと思います。

 ……でも、人権遵守や人命重視とかで縛られていないんですよね。これはこれで不安かも。


 それに勝ってくれたところで、べつに嬉しいことでもないという(苦笑)

 やはり人間以上の知能で、事実上の不老不死というのは、ちょっと扱いが手に余りそうです。

 早い段階で「AIの暴走を監視」だとか「世界平和」、「人類存続」などの至上の命令(ファースト・オーダー)を与えて世に放つべき!?

 ……しかし、それはそれで嫌な予感しかしません。



 いつの日か地球に異星人がやってきたとして……それが馬鹿の命じた至上の命令(ファースト・オーダー)の結果じゃないといいなぁ。

 もしくは地球から馬鹿の押し売りが旅立たないことを祈りつつ――


 今回はおしまい!

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