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巻ノ五十一 グリーン先生はえら呼吸

「第一回、ココクリキチキチお泊り大会~☆」


唐突に天に向かって叫んだ作者2に、グリーン先生をはじめとする一同は目を丸くした。

ちなみに、何故キチキチがつくのかは作者2も知らない。


「……何よ、それ」


めっちゃ汚物を見るような目でマリーベルが作者2を覗き込む。おお、見つめられちゃった☆

ドガガドベン!

作者2はフリーメイソンになった。


でもあれだ、例によって例のごとく『ラノベ三秒の法則』で元通りである。


「真面目にやりなさい。真面目に!で、何なのよお泊り大会って」

「oh!『キチキチ』をfogetしてはno,noデスよ!」

マリーベルはグリーン先生を無視して髪をかき上げた。おお~という妙にいやらしい歓声が上がる。

「マリーベルはん、多分アレだとよ。作者もやることがなくなってきたから逃げ道を作ろうとしているんダライ・ラマ」

「俺もそうだと思うりざね顔」

「ヴェルカラはん!パクんないでほしいらん耳かき捨てろ鼻かき」


何だかマイクの口調とか色々悪化しているが、この話が徐々に悪化の道をたどっているのは今さらな事実なのでまあ、うん、無視しよう。


マリーベルは溜息をつくと指をならした。瞬間、何もなかった草原に突如『旅館・ブタ』が現れる。

「oh~?コレは、旅館の名前がブタなのか、ブタという名詞なのかどっちでショウ?」

「多分前者だと思いますわ」

「oh~相にも変わらずワタシはオヤフコウ者ネ。国にいるオカーサンとオトーサンとドナシアンがcryネ」

「ドナシアンって誰だよ」


というかグリーン先生は前なんかアレクサンドロスの遠征がなんちゃらとか言ってたから、今は最低でも2345歳。同じくそのグリーン先生の両親が15歳くらいでグリーン先生を産んでいても現在2360歳ということになってしまう。いや、ドナシアンについては知らんが。


「というか、グリーン先生の両親はどんな方なんですの?」

ゾロゾロと旅館に入りながら無邪気にもハミルトンが質問する。グリーン先生は何故か少し艶麗に微笑んだ。


「oh…ワタシのparentsはデスねー…fatherはaway裸にネクタイ一枚で、motherはbornしてからずっと一輪車に乗ってまス。ドナシアンはイリデッポウマメでス」

…何だかどこかで聞いた話だ。特にmotherの方。いや、ドナシアンについては知らんが。


というか気になったので、ニューホ●イズン1年のUnit6『グリーン家の人々』というページを見てみたが、別にグリーン先生の父親は裸にネクタイ1枚ではなかったし、母親も一輪車に乗っていなかった。ドナシアンについてはいなかった。

――ただただ、幸福しあわせそうに笑う家族がそこにあった。


だが、それは偽りの幸せ。

指でつついてしまえば跡形もなく崩れ落ちる、恐ろしいほどに脆い、かりそめの平穏。


――ミスグリーンは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。ミスグリーンには政治がわからぬ。ミスグリーンは、村の牧人である。屁を吹き、ドナウ川と遊んで暮して来た。けれども性欲に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明ミスグリーンはカルピスを出発し、野を越え山越え、1mはなれたこのポカリスエットの市にやって来た。ミスグリーンには父も、母も無い。羞恥心も無い。十六の、内気なドナシアンと二人暮しだ。


「ここが今日泊まる部屋ね。ちゃんと部屋割り表もあるわ」


簡素な障子張りの部屋が並ぶ廊下に着くと、マリーベルは『部屋割り表』と書かれた紙を大きく広げた。

部屋割り。

それは、修学旅行や野外教育活動において、最も重要かつ蔑ろにはできない言葉。


ハッキリ言えば、この部屋割りによって『たのしいおとまり』か『脂肪フラグのおとまり』になるかが決まるからだ。


「脂肪フラグなんですのね」

「脂肪フラグなんだな」

「脂肪フラグルコサミン世田谷育ちのグルコサミン」


…すんません。ハイ。


一同は息を飲んだ。ゴクリと、どこからか唾を飲む音が聞こえた。

そこに、その紙に記してあった驚愕の部屋割りとは―――


『グリーン先生:マイク(チンの間)ハミルトン:ヴェルカラ(ティンの間)マリーベル:エルモ(TENの間)』


「「「へええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ」」」


一同は慟哭した。


「ちょ、ちょっと待つんですの!何で私とあんな汚物男が一緒の部屋なんですの!?」

「俺も異議アリだ!俺はこんなガキに発情する趣味はねーぞ!」

「oh!マイクと同室デスか~つもるoldなtalkでもしまショウ!」

「おいどんも、ずっとミスグリーンと話がしたかっタスマニアデビル」


若干2名以外は問題ないようだ。しかしあれだな。マイクとグリーン先生の昔話ということはきっと薔薇十字軍のとことかそういう話だろう。それはそれでかなり興味がある作者だったりする。


…と、いうか誰も突っ込む人がいないので突っ込ませていただきますが…


「ねぇ、なんで急にエルモが出てきた訳…?」

「ああ、なんか二人ペアじゃないと泊まれないとかいうから、数合わせのためにエルモを一匹作ったのよ」


驚いた。なんとマリーベル様は自身の都合のためにエルモを一匹錬成してしまったのだ!


「まあ、基本的いいるだけのモブキャラだけどね」

マリーベルの背中から、頭にリボンを付けたロリっ子っぽいエルモがすごすごと現れた。その、なんというか、とても可愛らしいエルモである。

「よろしく…お願い……シマス…」


そう言うと、エルモは顔を赤らめて(いや、全身赤いけど)マリーベルの後ろにひっこんでしまった。なんという可愛さ。

こんなんがモブキャラなんてもったいない婆さんが出現するほどもったいない。ハッキリ言って、マイクのような口調のめんどくさい、もはやウザいだけのキャラよりよっぽどかいい。


「ちなみにこの子、偏差値は86よ」

えええええええええええええええええ」


驚愕である。水着の佳奈リンがシベリアの大地でrunning aroundよりも驚愕である。何なら私の腐り果てたオツムもマリーベル様に改造してほしいくらいである。


まあ、そんな作者2の切実な願いもどこ吹く風。こうして『第1回、ココクリキチキチお泊り大会』が幕を開けた。というかコレは完全に修学旅行の日の夜のテンションを意識している。


「まずは風呂だな!」

急に浴衣姿のヴェルカラがそんなことを言い出した。だがそれも正論だろう。なんせ、一同はダンジョンの死闘(?)で作者2もびっくりの汗まみれだからだ。(マリーベル様以外)

こうして一同は風呂に入った。ちなみに風呂の描写はめんどうなので割愛する。

グリーン先生が爆乳だったり、ヴェルカラが興奮して温泉内でクロールと平泳ぎをキメたり、ヴェルカラに押し倒されたマイクが何故だか女風呂側に放り出されたりもしたが、まあそこらへんは見ても面白くもないだろう。

え?グリーン先生の爆乳が見たいって?ダメダメ☆でもぉ、どぉしてもっていうならぁ~音声だけでお楽しみください☆


『ガラガラ(風呂の戸が開く音)』

『ハッ!(ハミルトンが驚愕する音)』

『ドーン(グリーン先生の爆乳)』

『……(ハミルトンが唖然とする音)』

『ジャー(マリーベルが気にせずに髪を洗う音)』

『…チラッ(ハミルトンが自分の胸元とグリーン先生の爆乳を比べる音)』

『Hey!(グリーン先生がドヤ顔でハミルトンを見下ろす音)』

『クッ…(ハミルトンが唇を噛み締める音)』

『どば@*#がお&5べあああああああああ(マイクがミサイルと化して女風呂に突っ込む音)』

『グチャ(マイクが…になる音)』


…まあ、こうして一同は風呂から出た。ちなみに現在女風呂の湯は真っ赤である。誰の血液かはプライバシー保護のために言わないでおこう。


「第1回、キチキチ大卓球大会ー!!」


ヴェルカラの声に、パチパチとまばらな拍手が起こる。どうやらお次は風呂上りの定番・卓球をするらしい。

ヴェルカラはノリノリで勝負の組み合わせ表を描き始めた。ハミルトンも律儀に卓球台を出してくる。と、そこでおぼつかない足取りでマイクが遅れて風呂から出てきた。


「んじゃー最初の対戦は…ミスグリーンvs俺だな」

緑色の卓球テーブルの上に叩きつけられた『対戦表』をしげしげとマイクが眺める。どうやら、第2回戦はマイクvsハミルトンで、準決勝で勝った人がラスボス・マリーベル様と対戦できるらしい。


ヴェルカラはピンポンを手の中で弄びながら、ニヤリとグリーン先生を見据える。

「俺が勝ったら、お前を抱かせてもらうぜ」←まだ諦めてなかったんかい

「oh……」

すると、グリーン先生はスリットが入った浴衣(おそらく自分で浴衣に切り込みを入れたのだろう。やめろ)から片足を出し、大胆にも卓球テーブルにその足を乗せた。


「来いよド三流、格の違いってヤツを見せつけてやる!!」


もはやグリーン先生のキャラ崩壊がハンパない。ちなみに上のセリフは作者2が大好きなマンガから引用したものである。ハイサーセン。どーでもいいですね。

「え、えっと…では、スタート…ですの」

グリーン先生のキャラ崩壊にハミルトンはタジタジだ。マリーベル様は興味なさそうに卓球台を挟んで向き合う2人を見た。


ちなみに、この卓球大会はアレである。ほら、なんかお題を出して卓球するやつ。まあいいや、説明割愛。


「よっしゃあ、俺のターンだぜ!タイの首都、バンコクの正式名称を言え!」

カン!という音と共にピンポンが弾かれる。これは…なんという狡猾な問題だろう。玉が飛んでくるまでのわずかな時間で、常人ならばバンコクの正式名称など言えるわけがない。


――だが、皆さんはお忘れではないだろうか。

ミスグリーンは決して常人ではないことに!!


彼女はフッと微笑むと、息も吸わずに言った。


「クルンテープ・マハーナコーン・アモーン・ラタナコーシン・マヒンタラーユタヤー・マハーディロックポップ・ノッパラッタナ・ラーチャターニー・ブリーロム・ウドム・ラーチャニウェート・マハーサターン・アモーンビーマン・アワターンサティト・サッカタットティヤ・ウィサヌカム・プラシット!!」

「な、なにいいいいいいいいいいいいっ!?」


ちなみにこの間、0.06秒。グリーン先生はすぐさま卓球ラケットでピンポンをはじき返した。


「私のturnでス!japanで一番長い小学校名をsayしなサイ!」

「ヘッ、なめんな!高知県宿毛市愛媛県南宇和郡愛南町篠山小中学校組合立篠山小学校だああああ!!」


ヴェルカラの滑舌も、グリーン先生の時とは文字数が少ないがなかなかのものである。これは互角の戦いになりそうだ!


ヴェルカラは飛んでくるピンポンを見つめながら、口が裂けんばかりの笑みを浮かべた。

(ハッ、やるじゃねぇかミスグリーン…だが、次の問題はいくらアイツだからといっても言い切れまい!この勝負、俺の勝ちだ!)

「行くぜぇ!」

「!」

ヴェルカラがラケットを振りかぶる。ただならぬ気配を感じたのか、グリーン先生は重心を少し落として身構えた。


「トリプトファン合成酸素の名称を言え!!」

もはや何語かも分からない言葉だ。だが、ミスグリーンは少し苦い顔をしただけだった。


「Methionyl­glutaminyl­arginyl­tyrosyl­glutamyl­seryl­leucyl­phenyl­alanyl­alanyl­glutaminyl­leucyl­lysyl­glutamyl­arginyl­lysyl­glutamyl­glycyl­alanyl­phenyl­alanyl­valyl­prolyl­phenyl­alanyl­valyl­threonyl­leucyl­glycyl­aspartyl­prolyl­glycyl­isoleucyl­glutamyl­glutaminyl­seryl­leucyl­lysyl­isoleucyl­aspartyl­threonyl­leucyl­isoleucyl­glutamyl­alanyl­glycyl­alanyl­aspartyl­alanyl­leucyl­glutamyl­leucyl­glycyl­isoleucyl­prolyl­phenyl­alanyl­seryl­aspartyl­prolyl­leucyl­alanyl­aspartyl­glycyl­prolyl­threonyl­isoleucyl­glutaminyl­asparaginyl­alanyl­threonyl­leucyl­arginyl­alanyl­phenyl­alanyl­alanyl­alanyl­glycyl­valyl­threonyl­prolyl­alanyl­glutaminyl­cysteinyl­phenyl­alanyl­glutamyl­methionyl­leucyl­alanyl­leucyl­isoleucyl­arginyl­glutaminyl­lysyl­histidyl­prolyl­threonyl­isoleucyl­prolyl­isoleucyl­glycyl­leucyl­leucyl­methionyl­tyrosyl­alanyl­asparaginyl­leucyl­valyl­phenyl­alanyl­asparaginyl­lysyl­glycyl­isoleucyl­aspartyl­glutamyl­phenyl­alanyl­tyrosyl­alanyl­glutaminyl­cysteinyl­glutamyl­lysyl­valyl­glycyl­valyl­aspartyl­seryl­valyl­leucyl­valyl­alanyl­aspartyl­valyl­prolyl­valyl­glutaminyl­glutamyl­seryl­alanyl­prolyl­phenyl­alanyl­arginyl­glutaminyl­alanyl­alanyl­leucyl­arginyl­histidyl­asparaginyl­valyl­alanyl­prolyl­isoleucyl­phenyl­alanyl­isoleucyl­cysteinyl­prolyl­prolyl­aspartyl­alanyl­aspartyl­aspartyl­aspartyl­leucyl­leucyl­arginyl­glutaminyl­isoleucyl­alanyl­seryl­tyrosyl­glycyl­arginyl­glycyl­tyrosyl­threonyl­tyrosyl­leucyl­leucyl­seryl­arginyl­alanyl­glycyl­valyl­threonyl­glycyl­alanyl­glutamyl­asparaginyl­arginyl­alanyl­alanyl­leucyl­prolyl­leucyl­asparaginyl­histidyl­leucyl­valyl­alanyl­lysyl­leucyl­lysyl­glutamyl­tyrosyl­asparaginyl­alanyl­alanyl­prolyl­prolyl­leucyl­glutaminyl­glycyl­phenyl­alanyl­glycyl­isoleucyl­seryl­alanyl­prolyl­aspartyl­glutaminyl­valyl­lysyl­alanyl­alanyl­isoleucyl­aspartyl­alanyl­glycyl­alanyl­alanyl­glycyl­alanyl­isoleucyl­seryl­glycyl­seryl­alanyl­isoleucyl­valyl­lysyl­isoleucyl­isoleucyl­glutamyl­glutaminyl­histidyl­asparaginyl­isoleucyl­glutamyl­prolyl­glutamyl­lysyl­methionyl­leucyl­alanyl­alanyl­leucyl­lysyl­valyl­phenyl­alanyl­valyl­glutaminyl­prolyl­methionyl­lysyl­alanyl­alanyl­threonyl­arginyl­serine!!」


「「「なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!?」」」


マリーベル様もさすがにこれには驚愕した。というか作者も驚愕。みんな驚愕。

だって、この間はわずか0.9秒。もはやケンブリッチどころかオゾン層もこえただろう。


これは世界一長いセリフを言った物語の主人公としてギネスに登録すべきだろう。うん、本当に。これはココクリ始まって以外のセリフの長さだ。多分『うぎゃああああああああああああ』とかよりもよっぽどか長い。


「どこで呼吸してるんですカンタービレ」

「常に過呼吸なんじゃないかしら」

「えら呼吸かもしてませんわ」


外野の話し合いの結果、グリーン先生のあだ名は『超絶爆裂アンコ美人股間スッキリ過呼吸爆発えら呼吸バンザイパン工場北朝鮮なま野菜オゾン層ブチ抜き慟哭野郎』に決定した。


「そのあだ名も十分長いわよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」



どこからか佐藤先生が落下してきたが、あまりのグリーン先生のインパクトの強さに、またしてもみんなに気付いてもらえないのであった。



えんびふらい

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