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巻ノ十 K2エルモ

さすがにやばいなぁ。なんて考えていると、ふいにポンッという軽い音がして煙が湧き上がった。

「な、なに!?」

あわあわと煙を払うと何と、オカンの呪いが解けた。

「おおぁ――――――――――!!!!我は自由じゃあ!!」

誰だよ……。

マリーベルはそっと呟いた。


キング・コングエルモ――略してK2エルモ(←どこの科学兵器!?)は、大きな目をパチクリさせて3人を見た。

「すごい、本物は始めて見たわ。……本当に虹色なのね」

「ええ」

僅かに興奮した様子で2人の使用人が言う。佳奈は顔を引きつらせた。

まるで玉虫を滅茶苦茶に張り付けたような鮮やかな色で、K2エルモは立っている。

一番キモチワルイのは、顔が金の所だろう。すごく堅そうだ。


1分ほど無言でお互いを見つめた後、K2エルモは口を開いた。

『!“#$%&?』

「…………」

「…………」

「…………」

「ねえ?」

「何かしら?」

「何でしょう?」

「今何て言った?」


その問いに対する対応はそれぞれだった。

ユージンは困ったように首を捻り。

マリーベルは……マシンガンを構えた!!てッええぇぇぇぇぇ!!!

「ちょ!何してんの!?」

「何って言われても……れば言ってることなんか関係ないでしょう?」

なっななななななんて危険な思考を!?いかん。ヤバいぞ!ヤバすぎる。私がやられるぞ!?


どんびきした佳奈に花のような笑顔を向け、マリーベルはマシンガンをきっちり合わせ

ドガ――ン!!!

発砲した。けれど。

カキ――ン!

銃弾はK2エルモの顔にぶつかり、跳ねかえって空を舞った。ホームラン!!

バイバイキーン!

「なっなんてこと!私の特注の対エルモ209型が!?」


驚愕した様子のマリーベルに佳奈が驚愕する。

なぜ誰も『バイバイキーン』をつっこまない!?ていうか特注って!?

それぞれあたふたする3人に、キラリと光る目を向けK2エルモが動き出した。

『I Love you 今だけは悲しい歌~♪聞きたくーないよ~♪』

「歌ってる?……ていうか普通にしゃべれるんかい!」

妙に美声で歌いながら、K2エルモは目を吊り上げた。――怒ってる。マリーベルのせいだ!!


「いえ、リンカーンエルモのせいよ」

……なぜ、心の声が?

まるで先生に怒られた小学生みたいに、罪のなすりつけ合いをしていると、いきなりK2エルモが膨らんだ。

「まずいわね。攻撃の準備をしてるわ」

「どんなだよ!」

マリーベルはチラリと佳奈を見たが答えなかった。面倒くさそうに舌打ちはしたが……。

代わりに、しばらく首を捻り指笛を吹いた。

ボワーン。


『呼ばれて飛び出てパンプリリーン!』

「こ、この声はアクビちゃ――――」

「ナポレオンエルモよ」

「ナッナゼ――?」

確かにピンクの煙が消えると、首から下がエルモのナポレオンが馬に乗って現れた。

『余の真の栄誉は40回の戦勝ではなく、永久に生きるのは余の法典である』

「いきなりなにさ……」

英語じゃないのにホッとしつつ、思わず眉を顰めた。


「ナポレオン。ちょっと盾になりなさい」

マリーベルがさらっと恐ろしいことをいった瞬間、K2エルモがボフンと奇妙な音をたてた。細い針のようなものが次々に放たれる。

『ああ!!』

野太い悲鳴がした。見ればナポレオンが馬からずり落ち血を吐いていた。

『げぼっ!フ、フランス……ぐ…ん…たい――ジョセフィーヌ』

ナポレオンも星になった。


「えっもしかしてホントにただの盾?ていうか、ジョセフィーヌって誰?」

マリーベルは右手で髪をかき上げて、億劫そうに説明した。

「ナポレオンの最初の妻よ。6才年上だったらしいわ。でも彼は離婚して、オーストリア皇帝の長女マリー・ルイーズ19才と結婚したの。年の差22歳よ死ねロリコン。これによってナポレオンは大陸の王になったけど、ルイーズは故国の敵ナポレオンを憎悪して、子供の頃一番嫌いな人形にナポレオンって名前をつけてイジメてたらしいわよ。まあ結婚後は心を許したらしいけど。死ねロリコン」

「そ、そうデスカ…」


やや圧倒されて引きつった笑みを浮かべる佳奈を放置して、マリーベルは九字を切った(←誰かつっこめっ!)―――主人公はいったい誰?

「臨・兵・闘・者・皆・陳・列・在・前」

K2エルモはその力で一瞬足止めをくらう。

マリーベルは指笛を吹いた。…現れたのは――?

「今度は何?」

「孔子エルモよ」


ドドンという効果音付きで現れた場違いな服装のおじさんエルモは、K2エルモを振り仰ぎ、いきなり人生を諭し始めた。

『子曰く、「学而時習之、不亦説乎。有朋自遠方来、不亦楽乎。人不知而不慍、不亦君子乎」』

「な、なんじゃらホイホイ」

佳奈チーン。ご愁傷様…。

「勉強したことを繰り返し考え、繰り返し行っているうちに、その道理が――(中略)――本当の君子なのではないか…ということね」

「おおぉ!!」

こいつは天才か?なんでも知ってんなぁ!

「お褒めに預かり光栄です」

「いや、だから人の心を読……まあ、いいいや」


孔子エルモに諭されたK2エルモはなぜか泣いている。意味が分かったのか…?

何という疎外感…。

1人冷たい秋風に吹かれていると、マリーベルが何かを取り出した。

「な、なんデスカそれ…」

どこからか取り出したのは、両端に金属の重りのついた紐のようだった。

「何って?流星錘りゅうせいすいだけど?」

「何だソレッ!」

明らかにアブナイものだ。


「中国武術におこる暗器の一種よ。こんなふうに使うのよ~」

ふわりと笑ったマリーベルが紐を握って振り回した。紐は思いのほか長く、6mほど先にいた孔子エルモの後頭部に直撃する。

孔子エルモは星になった。

「分かった?」

「ハ、ハハハハハハヒ!」

怪しい笑い声のような返事をした佳奈は、そっと手を合わせた。

こいつはヤバい奴だ。逆らったらられる!


「何か?」

「いえ!」

2人が会話していると、ふいに涙を流したK2エルモが鼻水を啜りながら声を上げた。

『私は本当に感動しました。ぜ、ぜひあなた方の旅にお供させてください』

「どうぞ」

マリーベルは言下に言った。

「マ、マジでか!?」

「ええ、おおマジよ」

逆らったらやられます―――――――――――。


チャラチャタチャッチャッチャー♪

キング・コングエルモがパーティに加わった。


本当に申し訳ないです。

ミスで、投稿の順番を間違えました。

始めに読んで下さった希少な読者の方、本当にすいませんッ!!悪気はないですッッッッ!!

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