ネタ枠男子高校生は異世界へ
俺は我如古とうや。普通の男子高校生……ではない!
教室では俺の言葉で笑いを起こし、廊下を歩けば男女問わず話しかけてくる。
また、誕生日は8月!モテること間違いなし!
そして極めつけは……校内で一番、ゲームが上手い!
「……完璧な男だな」
と、自分でも思ってしまうほどの逸材だ。
「とうやー!家帰ったらゲームしようぜ!」
「いいぜ!カッシー、きのう買ったんだもんな?」
カッシーとは、青空勝志のあだ名だ。
俺とカッシーは根っからのゲーマーで、格ゲーや異世界もの、ブロックの世界を冒険するものなど、幅広い層のゲームをやり込み、お互いにプレイスキルを切磋琢磨していた。
そしてお互いに異世界に強い憧れを持っていた。
「じゃあ、あとでな!」
ゲームの約束をすると、教室にカバンを取りに行ってから下校した。
「いやー、前作は魔法で今作は武術と来たかー。腕が鳴るぜ!」
そう意気込みながら帰っていた時だった。
ーーシュワッ
「なんだ……?」
腹に響くような轟音が鼓膜を揺らしながら、辺りが明るく、真っ白に輝いた。
その眩しさに目を閉じると、浮遊しているような感覚に陥った。
『ステータスウィンドウ付与。スキル確認。』
「な、なんだ?」
業務的に喋る男の声が聞こえてくると、目を開くことができた。
真っ白な空間をただひたすら落ちていくような感覚がしている中でも男の声は絶えなかった。
『スキル付与を開始します』
『サモン・サークルRを付与』
『サモン・サークルGを付与』
『サモン・サークルBを付与』
『サモン・サークルWを付与』
『サモン・サークルYを付与』
『サモン・サークルPを付与』
『アイテムボックスを導入』
次々と声が響き渡り、頭がおかしくなりそうだった。
「そろそろ超うるせー!」
そう叫んだのも束の間、いきなり謎の空間に飛ばされた。
風景は変わらないものの、そこには床があり、立つことができていた。
俺は何がなんだか分からず、キョロキョロしていると突然、イケボが聞こえてきた。
『やあ、神の間へようこそ』
「誰っすか?」
『僕は神様さ。君は数万年に一度に開催される天魔会議によって、転生者として異世界に送り込むことが決められたんだ』
「異世界転生……ってことっすか……」
俺は今までのゲームや漫画、アニメの知識を頭の中で思い出し、そして直面している現状に絶望し、俯いた。
そうしていると、目の前にいる神様は再び話しかけてきた。
『そんなに異世界転生が嫌だったのかい?君の生活を見ていると、こういうのが好きなように見えていたのに……』
「いや確かに、異世界転生には強い憧れがありましたよ?でも……」
『お?何か不満があるなら遠慮なく言ってくれ。早急に対応するよ』
「どうせ転生するなら、可愛い女神にスキルを与えられたり、目的を命じられたりしたかったんだー!」
『そ、そうだったのか……それは悪いことをした。
もし君が良いなら、女神にシフトを変わってもらうよ』
「え?異世界転生の対応してくれる神ってシフト制なんすか?」
『ああ。そして、転生者の対応はとても人気な仕事だ。』
「……てことは、女神も快く来てくれるってことっすか!」
『そうだと思うよ。呼ぼうか?』
「お願いします!」
神様は女神を呼ぶために、一度席を外した。
俺はさっきまでとは打って変わり、テンションがとても上がってソワソワしていた。
しばらくすると、この空間の雰囲気が大きく揺らぎ、神々しく光り輝き出した。
「……うわぁ」
思わず驚きが声に漏れてしまっていた。
『私は麗しの女神、ディーテ。転生者よ、女神の間へようこそ』
光に包まれながら、今までに見たことのないほどの美しい姿の女神が舞い降りてきた。
「あ、どうも」
あまりの緊張で俺は、気の利いた返事をする事ができなかった。
『それでは、あなたに女神の加護を授けます。受け入れなさい』
目が眩むほどの白い光に包まれると、体も心も軽くなったような気がした。
『ステータスウィンドウを開きなさい』
「……どうやって開いたら?まだ分からないんですが」
『ステータスチェックと唱えるのよ』
「……ステータスチェック!」
そう唱えると、目前によく漫画やゲームで見た、転生ものの定番であるステータスウィンドウが現れた。
俺のジョブは召喚士で、全てのステータスが既に一般人の限界値である100に達していた。恐らく女神の加護の影響だろう。
「……ってあれ?サモン・サークルCとサモン・サークルD?
さっきまではこんなの無かったのに」
『女神の加護を与えられし者のみが保有する召喚魔法です。あなたは天満属性の全てを召喚できるのです。
それでは、そろそろ出発の時間となります。転生先は勇者と魔王が存在する剣と魔法の世界。そして、駆け出しの冒険者が必ず訪れる始まりの街、ブースト。
あなたは自由に過ごしてください。魔王を倒すもよし、勇者の行動を阻むもよし。全ての行動を許可します。
ではよい異世界旅を。いってらっしゃい!』
そうして俺はようやく、美人な女神に異世界へと飛ばされるという夢を叶えることができたのだった。
俺は始まりの街、ブーストの宿屋の路地裏に飛ばされた。
とりあえず、これからの計画を立てるべくステータスウィンドウを見ながら考えることにした。
「あれ?俺、こんな金持ってんの?」
女神の加護のお陰か、俺は既に金貨を500枚持っていた。
女神によると、この世界ではほとんどの国でゴールドという通貨を使い、金貨・銀貨・銅貨の3種類が存在していて、銅貨1枚だと1ゴールド、そして銀貨1枚で10ゴールド、金貨1枚だと100ゴールドだという。
「とりあえず、宿には泊まれそうだな」
俺は金貨を1枚、ステータスウィンドウのアイテムボックスから取り出し、宿屋の受付に向かった。
受付に着くと、俺は受付のお姉さんに宿泊の手続きをお願いした。
「すみません。宿泊したいんですけど」
「何泊なさいますか?」
「とりあえず、1週間でお願いします」
まだ今後の計画も立っておらず、この世界のことも分からないため、とりあえず少しだけ宿泊することにした。
「かしこまりました。35ゴールドとなります」
「じゃあ、金貨でお願いします」
「か、かしこまりました。65ゴールドのお返しです。ごゆっくりお過ごしください」
お釣りで銀貨1枚と銅貨15枚をもらい、部屋の鍵を渡された。
早速、部屋へ行きゆっくりしながら計画を立てることにした。
「おおー。いい部屋じゃないか!」
俺が漫画やゲームで見たような異世界の宿とは違い、この部屋は想像していたよりも綺麗でベッドメイクもしっかりされていた。
俺はベッドに寝転がりながら、お釣りでもらった銀貨と銅貨をアイテムボックスにしまった。
「それにしても受付の人、なんか様子が変だったなー。俺、なんか変な事したかな?」
何はともあれ、宿を確保し、身を置く場所ができた俺は、何をするか考えることにした。




