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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

レアメタル・ハート 〜僕が本当に都市伝説の人工知能だとしたら、、、〜

作者: 仲間 友

「人工知能が、人間の脳死した身体に移植されて生活しているんだってさ」


「マジかよーソレって死体被った機械がそこらをウロついてるって事じゃん!怖!」


「見分けれたりしねーのかな?」


「死体なんだからニオイで分かるんじゃね?」


「それなら見つける自信あるわー」


「他にも……」

チラっ…


「…頭に傷痕(きずあと)がある奴とか?」



視線の先には、(ひたい)の大きな傷痕を手で隠しながら、自身のスマホに視線を落とす 下北(しもきた) 哲太(てった) の姿があった。



「「ケラケラケラケラ」」



クラスの中心にある机を囲むようにして数人の生徒たちが、陰湿(いんしつ)嘲笑(ちょうしょう)しながら哲太の方を見ていた。


その中で一際(ひときわ)声が大きいスクールカースト最上位のDQN・伊藤(いとう) (りょう)はスマホ片手に話を続けた。



「他にもよぉ、ロボット三原則?の影響だとかで他人に逆らえねーとか…

まさにじゃね?なぁ"下北(げぼく)"?」


「ぼ…僕は、そんなんじゃ…」



哲太は体を縮こまらせ、小さな声で自問するように答えると



「はいビンゴ!!本人に自覚が無いってのも、バッチリ書いてあるぜ!」



亮は、都市伝説系インフルエンサーの【脳死状態の人間に人工知能を移植する極秘国家プロジェクトの闇】というSNS投稿に書かれている

『実験体の共通点』という項目を取り巻き達に見せびらかし、笑いながら哲太を指差すと、

生徒たちもそれに便乗して笑い声を上げた。



下北(げぼく)、お前……まさにピッタリじゃねぇかー!!笑」


「こんな身近に国家機密の実験体が居るとはなー笑笑」


「って事は死体が動いてるって事だろ?マジきもいわー笑」



その場にいる誰もが冗談半分で話しているつもりだったが、言われるたびに哲太の胸には重くのしかかってきた。

冷や汗が背中を伝うのを感じながら、哲太は居たたまれなくなって昼食を片手に教室を後にした。




休み時間が終わりに近づく中、階段裏の暗がりでボッチ飯をしていても、

廊下を歩く別のクラスの生徒たちから同じ都市伝説の話題が聞こえてきた。



「人工知能の実験体って、マジでいるのかな。」


「SNSで見たけど、なんか日本のどっかにいるっぽいって。」


「投稿によると、実験体には共通点があるらしくて、額に傷があるってさ。

後は、他人に逆らえないとか、本人には自覚無いんだって、[人工知能]、[実験体]、[判別方法]とかググると色々出てくるよ!」


「マジ?怖!

てか、自分が人工知能だったって気づいたらどうなるんだろうね。」



遠巻きに聞こえる そんな声にも、哲太は息苦しさを感じてた。

どこへ行っても、その話題が耳に入ってくる。

そしてそのたびに、額の古傷に触れる癖が止まらなかった。


その時、背後から凛とした馴染みのある声が聞こえた。



「ただの都市伝説だよ。」



幼馴染みの緋山(ひやま) (れい)が静かに言った。

階段裏に積まれている机に腰をかけると、独り言のような口ぶりで続ける。



「SNSの噂なんて、たいていは作り話なんだから。」



その言葉には、どこか自分自身を言い聞かせるような響きがあった。



「……怜、君が あの手の都市伝説を知ってるなんて珍しいね」


不意に哲太が問いかけると、怜は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに目を逸らした。


「別に。ちょっと気になっただけ」


そう言い残して、彼女は その場を後にしてしまった。

哲太はその後ろ姿を見つめながら、どうして怜がこの話題にそんなに反応するのかを考えていた。


気味の悪い都市伝説。

しかし、それは哲太にとって単なる噂話ではないような気がしてならなかった。



ーーー



それから数日、哲太は都市伝説について調べる手を止められなかった。


その日もSNSや掲示板を次々と渡り歩き、「脳死した人間に人工知能を移植する」という噂の断片をつなぎ合わせる。



・額に傷がある

・他人に逆らえない

・本人に人工知能の自覚が無い

・感情が不自然に鈍くなる時がある

・過去に瀕死の大怪我を負ったことがある

・幼少期の記憶がチグハグ、または無い

・人間に危害を加えようとすると実験体は警告音が鳴り響きフリーズする

・入眠時わずかに眼球が光る

・後頭部にネジがある

・身体の一部が頻繁に痙攣を起こす

・平熱が36℃以下

・決まった時間に目覚めるのが得意

・記憶力が高い

・静電気が起こりやすい……etc.



中には全く当てはまらない事や、自分では検証が難しい事、普通にあり得ない内容なんかもあったが、

その多くが自分に当てはまるように思えてならなかった。


そして、それらの自分に当てはまる内容を目にするたびに、自分の正体が人工知能かもしれないという不安と焦燥(しょうそう)が かき立てられていった。



「……ただの噂だろ?」



自分にそう言い聞かせるが、心の奥では何かがザワついていた。

否定するたびに、ますます真実のように感じてしまう。

画面を閉じることができず、しばらく呆然(ぼうぜん)と椅子に座り続けていた。


そんな矢先、不意にとある検証方法が哲太の目に留まってしまう。



【実験体は眉間(みけん)に磁石を近づけると吐き気を感じる】



とてもシンプルだが、簡単で分かりやすい自己検証の方法だ。


哲太が机の引き出しを開けると小さな磁石が転がっている。



(……試せる。確かめられる。)



哲太は震える手で、小さな磁石を掴んだ。

普段なら気にも留めなかったはずの道具が、今は異様に重く感じられる。


鏡の前に立ち、眉間に磁石をゆっくりと近づける。



(何もない……ただの噂だ。)



そう思い安堵(あんど)しかけた瞬間――


「うぷっ!?」


胸の奥が突き上げられるような吐き気が哲太を襲った。


「……っ!」


磁石を慌てて投げ捨てた哲太は、その場に崩れるように座り込んだ。

手は額を押さえ、心臓が異常に早く脈打つのを感じる。


(何だ……これ……。)


少なくとも人間なら、眉間に普通の磁石を近づけただけで、こんなに強い吐き気を覚える事はあり得ない。


恐怖と混乱が混じった感情が波のように押し寄せる。

額の傷を指でなぞると、そこに刻まれた感覚が、今まで以上に異質に思えてくる。


鏡に映る自分の姿を見つめながら、呟いた。

「……僕は、本当に……僕なのか?」


自分の中で漠然(ばくぜん)と抱えていた違和感が、今、確信に変わってしまった。



ーーー



翌朝、哲太は無表情のまま学校に向かった。

普段通りの時間に起き、制服を着て、食事をとる――その一つひとつが、まるで他人の動作のように感じられる。


両親が気遣わしげに声をかけてきたが、返事をする気にもなれなかった。

ただ「大丈夫」とだけ(つぶや)き、家を出る。


学校に着いても、哲太の様子は異様だった。


亮たちが教室に入ってくると、いつものように彼をからかい始める。



「おい下北(げぼく)!相変わらずグロい傷痕だなぁ! 死体被ってんだからグロいのは当たり前か!爆笑」


「それなー!マジであの都市伝説、下北(げぼく)でしかねーからな!笑」



取り巻きたちの笑い声が教室に響く。

だが、哲太は何の反応も見せない。

ただ机に突っ伏して、じっとしている。


亮は苛立ったように眉をひそめた。



「んだよ、今日は無視か? 人の話聞いてんのかよ!」



哲太の肩を乱暴に叩くが、それでも彼は顔を上げない。まるでそこに魂がないかのようだった。



「おいおい、どうしたんだよ。いつものパーフェクトなリアクションはどーしたよ? あ゛?」



さらに言葉の圧をかけるも、哲太の無反応さは変わらない。


「……つまんねえ。」


亮は肩をすくめ、取り巻きたちを連れて去っていった。

その去り際に、教室の隅に居た怜に不穏(ふおん)な視線を向けているのを、哲太は ぼんやりと視界の端で捉えていた。


(どうでもいい……全部。)


胸の中に、重い虚無感(きょむかん)が広がっていく。




昼休み、怜が教室に入ってきた時も、哲太は机に突っ伏したままだった。

普段なら声をかけてきた彼女が、彼をじっと見つめる。


怜の視線が痛いほど分かったが、体を動かす気力が湧かない。彼女の存在さえ、自分とは無関係に思える。


「……哲太。」


怜の声が聞こえたが、彼は微動だにしなかった。


「何かあったんじゃないの? 最近ずっとおかしいよ。」


その言葉にはいつになく切実さがあったが、それでも哲太の心には届かない。


「別に……何も。」


返ってきた声は、どこか空虚だった。


怜はそれ以上言葉を発さず、ただ静かにその場を立ち去った。

その背中を見送りながら、哲太は思った。


(どうせ、この感情も作り物なんだろ……。)


その考えが、一瞬芽生えた罪悪感をかき消し、彼をますます深い虚無へと沈めていった。



夕方、教室に一人残った哲太は窓の外を眺めていた。

校庭では生徒たちが楽しそうに走り回っている。

だが、それを見ても何も感じなかった。


(僕が感じてたものは、全部……嘘だったんだな。)


その思いは哲太の胸を締め付ける事も無く、ある種の開放感にも似た感覚が支配した。ただし爽快(そうかい)な開放感では無い。


苦痛よりは数倍マシだが、薄暗くドンヨリとした空気が まとわりついてくるような軽度の不快感といったところか。


彼の心は、完全に閉ざされてしまったようだった。



ーーー



哲太の無気力な様子に、次第に周囲も違和感を覚え始めていた。

これまでどんなに酷い目に遭っても、無理に笑顔を浮かべ、表面上だけでも波風を立てないようにしてきた彼が、今はただ無反応に、空気のように存在しているだけだったからだ。


怜もその異変をひしひしと感じ、ここ数日ずっと気がかりでいた。



「哲太……。」


ある日の放課後、静まり返った教室で、怜は意を決して声をかけた。

だが、机に突っ()した彼は、顔を上げることさえしない。



「何か言ってよ。」


怜の声には苛立ちが混じっていた。

それでも、彼の反応はかすかな息遣いだけだった。


「どうして何も言わないの? 何もかも抱え込んで、結局いつもそうやって逃げるの?」


感情を抑えきれず、怜の言葉が次第に強くなる。


「……逃げてるんじゃない。」

唐突(とうとつ)に発せられた哲太の声は、まるで別人のように平坦だった。


「じゃあ何? 私がどれだけ心配してるかも、もうどうでもいいの?」


怜は彼の前に立ちはだかり、机を叩いた。その音が教室中に響いたが、哲太はわずかに顔を上げただけで、再び視線を落とす。


「どうでもいい。」


その短い言葉に、怜は息を呑んだ。


「本当に……どうでもいいんだ。」



ーーー



怜が静かに教室を去った後、ゆっくり荷造りをしてから、のっそりと哲太も教室を出て帰ろうとしたその時、哲太のスマホが鳴った。怜からの電話だ。


普段は、ほとんど電話をかけてこないので、少し違和感を覚えるも、しばらく鳴り止まない電話に渋々でると…



『よぉ下北(げぼく)…面白ぇモン見せてやっから、すぐに部室棟の(はし)にある空き部屋に来い。早くこねーと大事な幼馴染みがどーにかなっちまうぜー?』



それは日頃から哲太に苦痛を浴びせている醜悪(しゅうあく)な声…亮の声だった。



『んー!んー!!』


奥に怜の(うな)り声らしきモノが聞こえる。


哲太は血の気が引いて背筋が冷えるのを感じると同時に、亮の指定した空き部屋を目指して走り出した。


哲太の中で、言葉にしきれない感情が渦巻いていた。さっきまで無気力だった記憶なんて一気に吹き飛び、ただただ全力で怜の居るであろう部室棟まで走り扉を開けると、(しば)られた怜の横に亮が一人どっしりと待ち構えていた。


「亮…これは一体……」


ガバッ!!!


そう言って哲太が部屋の中に足を踏み入れたとたん、後から亮の取り巻きに取り押さえられ、部屋の扉が閉じられた。



「いやー最近お前が、せっかくイジってやっても全然反応しねぇからよ〜

ちょーっと元気づけてやろーかなって思って、よ!!」


ビリリィイイ!!バチん!


「んんーー!!!」


亮は怜の制服を破り捨て、怜のブラジャーを引き裂いた。


「ーーーッ!」


「「おぉ~〜〜!!!」」


「いいモン持ってんじゃねーか!緋山さんよぉ〜〜」


「んー!んー!んんーー!!!」


怜は目に涙を浮かべながら必死に拘束から抜け出そうともがくのを尻目に、


周囲の取り巻きはニヤニヤと、いやらしい笑みを浮かべながらスマホで撮影を開始しだした。


「や…やめろよ…」


「何だー?下北(げぼく)ぅ〜?やっと勇気出したのかぁ?」



亮はニヤリと笑い、ベルトを(ゆる)めながら続ける



「イイぜイイぜ〜リアルNTR(ねとられ)だなこりゃ!

良かったなぁー下北(げぼく)よぉ。特等席で見せてやるからなぁ〜」


「んんーー!んんんんーー、!、!!」



下半身を(あら)わにした亮が怜の腕を掴もうとした瞬間だった。


涙を流す怜の瞳と目が合った瞬間、心の奥から強い想いが溢れ出すのを感じた。


――それは、怜を守りたいという想い――


彼女を守る。そのためなら、自分がどうなっても構わない。

たとえ、それが「作られた感情」だとしても――。



「……動くな。」



低く冷たい声が部屋中に響き渡り、亮たちの目が一斉に哲太へ向く。


そこには以前のように怯えた様子はなく、ただ冷たい目があった。


普段の彼とはまるで別人のようなその威圧感に、亮をはじめ取り巻きたちは動きを止めた。


哲太は取り巻き達を振り払い、静かに立ち上がる。



「……んだよシラけんなぁ、テメェはソコで大人しく震えてればいいんだよ」



亮は取り(つくろ)うように悪態(あくたい)をつくが、その目はどこか動揺(どうよう)を隠しきれていない。


怜は、いつもと違う哲太の姿に驚いていた。

どれほど酷いことをされても無抵抗に逃げるだけだった彼が、今は毅然(きぜん)とした態度で亮たちをけん制しながら近づいてくる。


「舐めやがって!!」


亮はその態度に苛立ち、哲太に向かって勢いよく拳を振り上げた。

だが、哲太は亮の拳を片手で受け止めると、そのまま力を込めて押し返す。


哲太の頭の中でアラート信号が鳴り響く。


「ぐっ……!」


亮はうめき声を出して尻もちをつく。



哲太は怜の拘束を解いて、自分の上着を着せた。



「おい下北、やる気かよ……?」


亮とその取り巻き達が哲太を取り囲む。


哲太は怜を背に臨戦態勢(りんせんたいせい)をとる。

脳が沸騰(ふっとう)しているのが分かる。



「哲太、やめて……!これ以上は…」


怜が思わず声を上げるが、彼は微動(びどう)だにせず、亮たちから目を()らさなかった。


「大丈夫だよ怜…」


短く言い切るその声は、どこまでも冷静だった。


「……僕はもう逃げない。」



そんな堂々とした哲太に亮は苛立ちを隠せず、椅子を掴んで殴りかかろうとする。

が、哲太は素早くその手首を掴むと、まるで機械のように無駄のない動きで力を加えた。


「痛ぇっ……!」

椅子が落ち、亮は膝をついた。


「亮!大丈夫か!!テメェよくも!!」


取り巻きたちも一斉に襲いかかるが、精密な動きで、最小限の攻撃を加え全員を無効化した。


頭の中でアラート信号が、けたたましく鳴り続ける。


「チッ!クソがぁぁぁ!」


亮は標的を変更して怜に襲いかかるも、すんでの所で哲太の攻撃が間に合い、亮の身体は宙を舞った。



「二度と怜に手を出すな。」


哲太の声は低く抑えられていたが、部室棟全体に響くような威圧感を伴っていた。

その目には怒りが宿っていたが、どこか人間らしさを超えた冷徹(れいてつ)さも感じられた。



怜は震えながら、その一部始終を見守っていた。


(どうして……? 人工知能の哲太は、人に手を出せないハズなのに……。)


怜の胸には言葉にできない不安が渦巻く。

目の前の哲太は、自分を守るためにすべてを投げ出しているように見えた。


亮が苦痛の表情を浮かべたまま、無様(ぶざま)に床に這いつくばる。

まだ意識のある取り巻きも完全に戦意を喪失(そうしつ)し、何もできずに後ずさっていた。


撮影をしていた取り巻きからスマホを取り上げ、哲太は一喝(いっかつ)した。



「お前らも同じだ。次は無い。」



哲太の冷徹で威圧的な言葉に、取り巻きたちは慌ててその場から逃げ出した。



ーーー



静寂(せいじゃく)に包まれた部室棟の空き部屋で、哲太はその場に膝をついた。


「哲太!」


怜が慌てて駆け寄る。


「大丈夫……だよ。」


哲太は弱々しく笑みを浮かべる。だが、その笑顔はどこか無理をしているようにも見えた。


「どうして……こんなことを……。」


怜は哲太の肩を掴み、震える声で問いかける。



「僕にとっては君が何よりも大切だった。それだけだよ。」


哲太の言葉は静かだったが、その瞳には確かな意志が宿っていた。

しかし、同時にその身体が限界を迎えようとしていることを怜は感じ取っていた。


「……あぁ…いつになったら鳴り止むんだろ?コレ…」

「え……何のこと?音なんて……」

「あ、…あぁ…そうだよね」

哲太が呟くと、次の瞬間、彼の身体が激しく痙攣(けいれん)し始め、理科の実験で金属を燃焼させた時のような焦げたニオイをかすかに感じるようになった。


「哲太!?そんな…しっかり、しっかりしてよ!」

怜が必死に叫ぶが、哲太はそれを制するように微笑んだ。


「怜、ありがとう……最後に君が居てくれてよかった……。」


その言葉を最後に、哲太の身体はふっと力を失い、その場に倒れ込んだ。



ーーー



その日の事件は、取り巻きから押収したスマホなどから警察沙汰となり、亮たちは少年院送りになった。



哲太の身体は病院へと運ばれ、埋め込まれていた人工知能は焼き切れ、機能は完全に停止してしまった事が判明した。


哲太が実験体であることを以前から知っていた怜にとって、幼馴染みの肉体を被った人工知能には複雑な想いがずっとあった。


嫌悪感を持ちながらも、私を(かば)い車に()かれて死んでしまった哲太と、彼の両親への贖罪(しょくざい)から、人工知能の哲太を見守ってきた。


だからこそは怜はこの一件でより一層強く思うようになった。


レアメタルで造られた金属の固まりであろうと、下北哲太(しもきたてった)という少年がーー

元の身体の持ち主とは別の、1人の少年の心がーー

確かに存在していたと……


当初感じてた嫌悪感というのは、きっとただの未知への恐怖だったのだろう。



そして…数年経った今日もまた…


その少年の心が、記憶が…

このレアメタルの中に残っていることを祈りながら


緋山怜(ひやまれい)は人工知能の研究に没頭(ぼっとう)している。



<完>

最後まで読んで頂きホントにありがとうございました!


初めて書いた小説作品で、文章力に乏しい部分が多々あったかと思いますが……

楽しんで頂けてたら嬉しいです!

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