出会い
「...グレイズ...グレイズ目を覚ませ!!」
「.....ぅぁ」
グレイズは車の中で目を覚ます。
「あれ、すごいな」
「んぁ」
横を見るとそこには大きな城ような建物があった。
「あれが...アングリージュ魔法学校...」
「もうすぐ着くぞ」
車が減速をする。
校門の前に止める。
「忘れ物はないな」
「あぁ、大丈夫だよ父さん」
鞘に収まった剣と鞄を持ち車から降りる。
「確か大広場に集まるんだったな」
広場に着くと既に数多くの生徒がいた。
その生徒を部屋から見下す男がいた。
「ほぅ、今年の新入生は弱そうな奴らばかりだな」
「ガルスカさん!流石です!!」
いかにも柄の悪い風貌をした男達が言う。
「全員、雑魚共だから俺達がしつけねぇとなぁ」
グレイズは視線に気づきガルスカを睨む。
「ッ!!」
「どうしたんですか?ガルスカさん?」
「い、いや。別に何でもねぇよ...」
(何だあの魔力...いや殺気か...)
「それでは皆様、良い学校生活を」
校長の話が終わり。
教室へと案内される。
(俺のクラスは1_3か...)
グレイズは机の横に剣を置く。
「はいみんな座ってー」
「じゃあ自己紹介、担任のカリスです、よろしく」
しばらく長話をされた後に各々が寮の部屋の鍵を貰う。
一日が終わり寮に着く。
グレイズは鍵を刺しこみ扉を開く。
中は古さを感じさせるタンスや時計が置いてある。
「ふぅ、疲れた」
ベッドにうつ伏せになる。
顔を横に向け壁に置いた剣を見る。
「はぁ...」
グレイズがこの学校に来た理由は魔法を極める事。しかし体力がなく運動も苦手だった両親から離れるために寮のある学校を選択したのだ。
シャワー室に入りシャワーを浴びて服を着替えて眠りに着く。
小鳥の囀りと共に鐘がなる。
「...朝か...」
歯磨きをして顔を洗い制服に着替えて部屋を出て食堂に向かう。
出された食事は目玉焼きにベーコンと野菜などかなり栄養バランスが良い食事だ。
「いただきます」
その時、大きな音がしてその場にいた全員が静まり返る。
一人の女子生徒が三人の女子生徒に囲まれている。
「あなた。アイン様に謝りなさい」
「わたしは...何も」
「嘘つかない方がいいわよ貴方がわたしの制服に埃をつけた」
「だからそれは自然現象で...」
「あぁ!」
周りはざわざわとし始める。
「やべぇよ...やべぇよ...あの女。アイン・イニスってセブンナンバーズの七番目だろ」
「マジかよすっげー強いって事じゃん」
朝から騒がしいな。
グレイズは立ち上がると三人の場所まで来る。
「あなた...何?一年?」
「あぁそうだ」
「何よ」
アインが言う。
「貴方が言っている事は難癖にすぎない大体あなたの制服に埃がついていたのは自然現象によるものだ。なのに無関係な人に難癖をつけるなんてムカつくんだよ!」
「...ッ!生意気ね!!いいじゃない、だったら勝負しましょう。わたしは貴方がそこの女も今後口が開かないくらいには喋れなくしてあげるわ」
「分かった」
二人はグラウンドに場所を変える。
大勢の観衆が集う。
「セブンナンバーズの七番目と新入生がバトルなんて...」
「あの新入生ちょっとカッコいいかも...」
「勝敗は見えているが面白そうだ」
声が沸く。
「何でわたしの為なこんな」
「ん?だってこのまま難癖つけられて罵られるなんて嫌だろ」
「まぁ」
「俺はああやって権力を使って好き勝手してる奴が嫌いなんだよ」
「貴方達は手を出さないで」
「勿論ですアイン様」
魔法により透明なドーム状の壁が作られる外部からの攻撃はこれにより不可能になる。
「じゃあ行くわよエクバブルス!!」
アインがそう言って杖を構えると火球が出現して一直線にグレイズに飛んでくる。
グレイズは攻撃をかわす。
「バエリオン!!」
そう言うと鞘を被せた状態の剣に水色のオーラが出てくる。
グレイズは走り出す。
そしてアインに近づき剣を振るう。
アインはギリギリで躱す剣は空振りに終わると思われたが周囲に大きな波動が出てアインは波動に押されて透明な壁にぶつかる。
「ぐっ!ガイアフライト!!!」
その瞬間、地面が揺れ始め無数の固まった土が宙に浮く。
固まった土はグレイズに向かって飛んでくる。
グレイズは一発目は避けるがすぐに二発目が飛んでくる。
二発目は剣で防ぐ。
どんどん飛んでくる固まった土。
(捌き切れない!)
「グハッ!!」
お腹に命中して吹き飛ぶ。
すぐに体制を立て直し腰に装備した杖を取り出して構える。
「ダスクガード!!」
障壁が生まれ身を守る。
攻撃が止んだ瞬間にグレイズすぐに杖を構えて。
「エクバブルス!」
と言い火球を放出する。
「ならばわたしも」
二つ火球が衝突し合い爆発が起きる。
アインは顔を腕で覆い守る。
「どこに!?ッ!」
上を見上げると、灰色の煙から出てきたのはグレイズ。
「うォォォォォォォォ!!!」
「まずい!!ダスクガ____間に合わっ!」
頭に強い衝撃。しかしそれも一瞬だったグレイズが剣な回復魔法を纏わせたおかげで痛みは無い。
「くそっ!なんで!なんでなんでなんで!!!」
透明な壁にヒビが入る。
「ん?」
その瞬間、透明な壁が割れ出てきたのは6人の生徒。
セブンナンバーズだ。
「アイン...貴女は何をしているのかしら」
セブンスターズ6番目、カイニ・ラユナイルが言う。
「カイニちゃん...」
「アイン。事情は聞きました」
「ゲイル様!!本当にすみませんでした!!!」
ゲイルと呼ばれた女子生徒は冷たい目でアインを見ながら。
「教育してあげます、後でね...それで。グレイズ君でしたよね?」
「あ、はい」
「今回については不問にします。しかし貴方の強さは外から見てよくわかりました」
「この学校にはルールがありますセブンナンバーズのメンバーの一人と戦ったらメンバー全員と戦わなければなりません。貴方にはまだ伸び代がありますいつかわたしすら越してこの学校の頂点に君臨するかもしれませんね」
セブンナンバーズの面々はアインを拘束して校舎へと歩いて行った。
「あの...怪我はなかったですか?」
「大丈夫だよ。そう言えば名前を聞いてなかったね。俺はグレイズただのグレイズだ」
「わたしはカルミア・アリシスです」
「これからよろしくな」
二人は握手を交わす。