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恋なんて、めんどくさい  作者: mi✩.*˚(みい)
3/10

chapter3:モテませんが、なにか

「ロフトには上がらないで下さい、下で好きに寝て下さい、それが条件です」


「はい、わかりました!」


あとは好きにして、と言おうと思ったがすでに僕のリビングなのにリラックスしまくっているようなので、やめた。すごく不安だ、ユキミが家に帰ってくれる姿が想像つかない。頼むよ妹…と思うが、既読にならない。これはもう、今日は寝てるパターンだと諦めた。


「ねぇ、めっちゃ羨ましい屋根裏!」


「いや、ロフトね」


「いいの、私の憧れなんだから屋根裏!」


ユキミの感性が独特すぎて、毎度返す言葉が見つからない。なんだか自分の引き出しの少なささえ感じ始めてきた。でもここは僕の家だ、早く出て行ってもらうためにも威厳は保たなければならない。おもてなしするような関係ではない。



「先に風呂入るから、アイス早く食べなよ残すなら冷蔵庫勝手に使って?」


「コウタくんって、かわいいね」


「は?」


「コンビニじゃなくてスーパーなとことか、アイス一度に食べきらないかもって考えてくれるとことか!」


どれも僕にとって普通のことなのに、言われている意味がわからない。ユキミの感性に脳が追い付かないので、もう今日は早く寝たい。そして、明日にも速やかにお帰り願いたい。


「年上をからかわないでください」


とだけ返し、風呂に入った。入ってすぐ、リビングからわざわざ大きめの声で「のぞいていいー?」と言い、僕の返事の有無など関係なく自分の発言にケラケラと笑っているユキミの声が聞こえた。楽しそうでなによりだ。もう今日はそっとしといてほしい。


なるべくいろいろ質問されるのもめんどうだから、ドライヤーだのタオルだのいかにもコレどうぞとばかりに並べておいた。これでよし、あとは僕だけの時間を取り戻そう。


最初に上がるなと忠告した、僕だけの安全地帯。ロフトへ上がって、いつも通り缶ビールを飲み干す。そして、寝る前の一服。いつもならこのあと歯磨きをしに下りるのだが…今日は、もういいか。今ユキミが風呂に入ったところだ、変に出くわしたくない。もう今日は関わりたくない。いつものルーティーンに戻ろう。


充電器と目覚ましのセットを確認して、スマホを閉じる。代わりにイヤホンを付けて、眠るまではラジオを聴く習慣。必要以上な関わりを避けている反動か、いつも寝る前だけは人の声が聴きたくなるのだ。しかも、相槌も返事もしなくていい。ラジオが最適なのだ。


そしてこの習慣が、今日は役にも立っている。イヤホンのラジオでユキミの鼻歌も聞こえないし、シャワーの音だって聞こえない。別に変な意味ではなく、妹のシャワーの音を聞きたくないような、それと同じ感覚だ。聞こえてしまえば仕方ないが、聞かずに済むなら聞きたくはない感じ。


僕はラジオは、あえて有線イヤホンで聴く。すごくいい音質で聴きたい音楽とは、また違う。さりげない人の声がいいのだ。それが心地よくて自然と眠くなるので、限界手前でイヤホンをはずして寝る。今日もそろそろ…


「ねぇ今の大事な話聞いてなかったの?!」


眠りかけた僕の視界に、突然ロフトのはしごから顔をのぞかせて怒っているユキミが現れて現実世界に戻された。寝ぼけた顔でイヤホンをはずす僕の動きを見て、ユキミがため息をついた。


「ほんとに聞いてなかったんだ…」


「ごめん、寝る前はコレでラジオ聴くんだ…帰る気にでもなったの?」


もしかして、と明るい声になった僕とは裏腹に、ユキミはとても機嫌が悪そうだ。


「もういい、もう言わない!私も聴きたい、コウタくんそれ私にも聴こえるようにして」


僕は仕方なくイヤホンをはずして、拗ねてロフトの下に戻ったユキミにも聴こえる音量にしてラジオをシェアした。


「コウタくん、モテないでしょ」


「へ?」


「普通今の状況だったらイヤホン片方だけ貸してくれるんだからね、もういい!」


そう言ってユキミは布団をすっぽり被った。僕は言われている意味がピンと来なかった。そもそもユキミと僕の"普通"の価値観が遠すぎるというのに、なにを怒っているのだろうか。

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