プロローグ
初投稿!!
なんか緊張する…
深夜、とある丘に仮面をつけた怪しげな男が立っていた。その仮面越しには何処か絶望感を感じさせる昏い目が伺える。そんな男の目線の先には雰囲気のある巨大な建物がある。その大きさと美しさからして名門貴族の屋敷だろう。蝋燭の交換でもしているのか、使用人の姿がちらちらと見えている。男はおもむろに歩き出した。美しい庭園を抜け、屋敷の警備をしているであろう兵の横をすり抜け、迷路のような廊下を通った。そして、目的の場所についたのだろう、一つの部屋の前で止まった。男は一瞬何か躊躇うようなそぶりを見せたが、ドアを開け、その部屋に侵入した。その部屋はこの屋敷の主人の息子の部屋。つまり、貴族の息子の部屋だ。部屋の中は貴族の令息の部屋にしては質素な内装で、持ち主の実質健剛な性格が表れている。部屋の中央にはベッドがおいてあり、その上には11,12歳程度の少年が寝息を立てて寝ている。
男の目が一瞬、闇を灯したように見えた。
その男は、時には正義の味方として、時には人々を恐怖に陥れる悪として世界各地で出没する、素性が謎に包まれた存在。通称《闇の魔術師》。
その少年は、世界の約2割を支配する大帝国の侯爵家、リッチモンド家の長男。アダム・フォン・リッチモンド。《光の剣士》と呼ばれている。
何から何まで正反対な二人。
この二人の邂逅が切っ掛けで、世界は大きな変革を迎えることになる。その変革は、果たしで世界にどのような結果をもたらすのか。それは、誰にも分からない。
男が、去り際に、呟いた。
ーーお前の糞みたいな運命にーー
そう言って男は帝国式の敬礼をした。まるで全てを知っているかのような、昏い目で。