じゃあ、やっちゃう?
「でも、アンジュも聖魔力が高いのだろう? 二人でやればいいじゃないか」
ええっ!?
それ、前例は……?
「そのほうが、結界の質も上がるんじゃないか?」
うーん、それもそうだわ。
この際二人でもいいかも……。
でも……。
「聖女の服は〖チュピギー〗すればいいだろう?」
き、気になった事先に言われた!
確かにそうだわ。
私は言われたまま、服に手を当てる。
「〖チュピギー〗」
すると、私の服が光に包まれ――正面に全く同じ服が出現した。
王様の顔がぱっと明るくなったのが分かった。
しかし〖チュピギー〗終了後も尚、手を動かす私に王様は首を傾げる。
私は聖女の服の複製の胸元にある赤い宝石に触れた。
「〖ションスモードゥクラー〗」
そう唱え手をどかすと、赤い宝石が青い宝石に変化した。
色違いの方がいいかなと思って……ね。
「アンジュ。伯爵令嬢と言っていたが、ティラー伯爵は土地を持っていて、捨ててきたのか?」
「いえ……。オマスペルマスでは土地を持っているから伯爵、ではなく貴族の力の順番ですわ」
変だとは思っていたけれど、やっぱりそうだったのね。
「って話ずれてますわ‼」
あ、失言ですわ……。
謝らなくては!
「あわわ、すみませんでした‼」
私はあわてて正座して謝る。
地面に突っ伏した状態から恐る恐る顔を上げると――国王様、いや陛下がクスリと笑っていた!
えっえっ何かおかしかったかしら!?
それなら顔から火が出そうだわ……。
「謝らなくてもいいんだよ。ここでは王はあくまで『国民の代表』だから。王族とかがいるわけでもないし、国民と同じ地位だからね」
陛下の発言に、私は目を見開く。
この国、不思議。
オマスペルマスとすごく違うのに、ずっと居たくなる……。
「分かりました。二人で聖女を勤める件、謹んでお受けいたしますわ」