緑豊かな国・ペルミルン
「無事についたようだな。さて、屋敷を立てられる場所を探す」
そう言ってお父様は、何やらぼそぼそ唱えて消えた。
〖テレポーテーション〗かしら。
「見つけたぞー!」
数分後、お父様は帰ってきた。
随分早いわね……。
「ついてこい!」
お父様に私たちはついていく。
着いたのは、すごく広い空地。
確かにここなら、屋敷を建てられそうね。
「エイミ、やって頂戴!」
お母様が合図をして、
「〖クッピー&パット〗」
エイミが呪文を唱える。
すると、一瞬で屋敷が建った。
メイドたちが、屋敷にどんどん入って行く。
「それではお父様。私達は王宮に行きますわ。ほらっ、エイミも!」
「ああ分かった」
お父様が返事をする。
エイミは戸惑っていたけれど、ついてきた。
城下町は綺麗に舗装されているけど、緑が残されている。
色々な物も売っている。
魔物との戦闘の跡もあったけれど……。
こんなにきれいな街なんだから、聖女がいないと!
私の結界は災害も予防できるから。
つまり、エイミもできる!
私は、玉座の間らしき部屋の前にいる衛兵に声をかけた。
「あの、王様に会えますか?」
「お前は何者だ」
あ……そういえば名乗ってない。
「オマスペルマスのアンジュ・ティラー伯爵令嬢と」
「エイミですわ」
息を合わせて姉妹で名のった。
「オマスペルマスで聖女をしていました」
聖女のことも言っておけば、会える確率が増す気がするわ……。
「どうぞ」
あ、やったー!
衛兵たちに通されて、玉座の間へ。
玉座の間は、部屋というより広間のような感じで、壁が無い所もあり、開放的。白い玉座の奥には、人工的な池。
綺麗……。
王様は、若かった。
きっと三十代くらいかしら……?
綺麗な目に綺麗なブロンドの髪。
オマスペルマスの王様とはえらい違いね。
「僕に何か用かな? 初めて見る顔だね」
あ、自己紹介をしなければ。
「オマスペルマスで聖女を勤めていた、ティラー伯爵令嬢アンジュです。こちらは妹のエイミです」
すると、私達に興味津々という顔が、みるみる喜びの顔に変わっていった。
「それはありがたい‼ ぜひ聖女に……。あれ、というかオマスペルマスの勤めはどうしたの?」
話すのに時間がかかるから、ばれたく無かったけれど……。
どうにか後送りに……。
「あ……それは話すと長くなるので……」
この話は後々……ね。
うん、ハイ。
「それで、妹の方が聖魔力が強いので、エイミを聖女にしたいんです」
私が提案すると、驚いた顔になった。
「でも、アンジュも聖魔力は高いのだろう? 二人でやればいいじゃないか」