え? 本当に来たのですか? 正直言って馬鹿ですね……
……ふわぁ……。
朝ね……。
「お母様、料理は出来ていらして……あれっ、いない」
お母様が料理を作っていると思って、ダイニングへ行ってみたけれど――誰もいない。
寝ているのかしら?
私と同じ行動をしに来たのか、エイミもやってきた。
「お姉様、お母様はどちらに?」
「わからないわ。寝ているのかしら」
とりあえず、王宮にでも行こうかな。
聖女の服に着替えてと。
着替えた私は、普段通り呪文を唱える。
「〖テレポーテーション〗」
「いやー愉快愉快。陛下は……フィック」
「セオドアも意外だよ……ヒック」
ええええええっ!?
玉座の間に入ると――なんと昨日のパーティー仕様のまま‼
そしてお父様と陛下がワイン飲んでる!
昨日と同じ服で……。
これってもしかして……。
「本当に夜明けまでパーティーした……という事ですね」
声が聞こえて右を向くと、聖女の服を着たエイミが立っていた。
私を見て、ついてきたみたい。
ありえない……本当に夜明けまで飲み明かすとは……。
陛下、少しくらい王様の自覚持ったらどうですか……。
これで王様の勤めに影響が出たら……。
勝手にかけていいかしら?
でも、やったほうが良い……。
「イッテンニラルアルコール」
私は、少し多めに魔力を込めて呪文を唱えた。
普通の人には出来ないけど……。
「陛下~ぁ……あれ、俺は?」
「セルドぉアぁ~……あれ? 僕は?」
あの、こんなところで口調をそろえても面白くないです……。
「酔っぱらっていたので、魔法でアルコールを消させていただきました。陛下、扉の外に依頼人が5人来ていますわよ」
「そうか。じゃあ扉を開けてくれ」
「陛下! まだパーティー仕様です‼ 元に戻さないと……」
こういうところ、しっかりして欲しいものだわ……。
「でも、どうやるの? 家具を運ぶの大変だよ?」
なんで私に聞くのです!
まあいいですわ。今回だけはやって差し上げますわ。
「〖アビートゥワドイマミーモア〗」
私が呪文を唱えると――いつも通りの玉座の間になった。
「わお、すごい、何これ‼」
陛下は、子供のようにはしゃいでいる。
「これは私が記憶した玉座の間のイメージを使ってその状態にするという魔法ですわ」
「でもお姉様、玉座の形がなんだかフニャフニャしていますわ。あんまり覚えていないのではなくて?」
……はい、そのとおりです……。
「〖アビートゥワドイマミーモア〗」
あ、そうそう、これよ‼
はふー、やっと家に帰れましたわ……。
ピンポーンピンポーンピンポーン!
なんですの? 呼び鈴をこんなに押すなんて、なんて行儀が悪いのかしら?
「はー……っ」
扉を開けると――そこには若干痩せて服もボロボロだが、あの王がいた。
「元聖女アンジュ……いや極悪人アンジュ! お前を逮捕してやる‼」
そう叫ぶオマスペルマス王――ルーヴィヒ・オマスペの姿があった。
「え? 本当に来たのですか? 正直言って馬鹿ですね……。ルーヴィヒ・オマスペさん?」




