ボーイミーツガール
……18禁ではないはず。
「ふぇ?」
「きゃ!? 何!? 誰なの!? 変な人が鏡から──」
…………何だろう。いやね、本当に鏡の中に入れたのはそりゃ驚きましたけれども。
ボーイミーツガール。この泉 利光、17歳、こんなところで青春するとは思ってませんでした。
鏡の中の世界が見知らぬ大浴場に繋がっていたのだ。言わずもがなだが、対峙した俺とこの少女の表情は今、物凄いことになっている。
「え~と……。 ありがとうございます?」
「ありがとうございます、じゃないわよニヤニヤしながら見ないで! この変態!」
両腕で器用に隠すところを隠しながら喚き散らす少女は俺の目から見て14歳位にみえる。
「俺だって風呂を覗きたくて覗いたわけじゃないんだが……」
「凄くニヤニヤしてたじゃないの!」
「いや、ニヤニヤしてたのは鏡に入れるかという好奇心が……」
「取り敢えずあなたそこでそのまま待ってなさいよ!」
少女は涙目になりながら早口にそう言い残すと、こちらを睨みつけながら後ろが見えないように後退しながら風呂場を後にした。
そのシュールな光景に笑いを堪えていた俺は、彼女が去った後、落ち着きを取り戻すのにかなり苦労した。
「隠すところが多いのは不便だよな、……うん」
そんなことを呟きながら、風呂場の鏡から上半身だけ乗り出した様な体勢の俺は言われた通り、そのまま待つことにした。




