なろうproject#3 どうしてこうなった
3話担当の只の鯨です。お声をかけていただきありがとうございました。
第一話→http://ncode.syosetu.com/n3731dy/
第二話→http://ncode.syosetu.com/n4954dy/
「フェルティ。これはどうしたものだと思う?」
「……はぁ、チキュウに置いてバギさんが分からないことが私に分かるわけないと思いませんか?」
ヴァギセント達は未だ帰る方法を模索したまま芸能生活を続けていた。そして今回は初の海外ロケ、場所はオルヌカン王国だった。
唯一パスポートが難点だったが、そこは文香がなんとかしてくれた。そろそろ文香は何でもできるんじゃないかと怖くなってきたヴァギセントの今日この頃である。
しかも、文香はお節介にもパスポートを2つ持ってきた。
言わずもがな、フェルティの分である
仕事だと言ったのだが譲らなかった。終いにはパスポートを貰う条件に指定され、仕方なくフェルティもロケとは別扱いだがヴァギセントと一緒に移動することになった。
「マネージャー見習いという名目で同行させてくれ」というお願いが通り、少し安心し、藤原には頭が上がらなくなってしまったヴァギセントである。
そして予定通りならロケは着実に進み、今日が帰国予定だったのだが……。
大怪盗襲来という一面の記事の内容がヴァギセントの耳に届く頃には船や飛行機などの王国全土の国外交通が閉鎖されていた。
所謂、行ったっきり帰れない現象である。
「せっかく水曜昼にレギュラー取ったのに初日から出られないのか……」
「それは仕方ない。そんなことよりバギー君、仕事だよ」
「仕事取ってきたんですか!?」
「タレント的には痛手だがテレビ局的には万々歳みたいだ。今この国に本邦テレビ局は我々だけだから現地からの放送で視聴率取り放題ってことだね」
「なるほど」
テレビ局の発想は想像の上を行くことが多い。
そのことを身を持って体験したヴァギセントだった。
「はいこちらオルヌカン国際空港よりバギー聖です!」
中継はすぐに始まった。さすがは話題の事件。夜のニュースで既に取り上げたいニュースらしい。
「こちらの空港は現在閉鎖されており、閉じられた状態にあります。それもそのはず巷を賑わせている窃盗犯から直々の犯行予告。世界最大級のルビーを守る為、オルヌカン王国政府関係者各位、また外交の砦である空港でも緊迫した状態が続いており……」
ヴァギセントがそこまで続けた時だった。
「やだ! 旅行行くんだけど!」
「行っちゃだめです! 今旅立つと色々と弊害が! ただでさえ今この国は大荒れなんですが!」
遠かったしヴァギセントは言葉が分からないのもあるのだが、端から見たら幼女と妙齢の女性が旅行の可否で争っている平穏な日常の風景にしか見えなかった。
海外中継独特の少し遅れた間の後、スタジオから笑い声がする。
「……一旦、現場にお返しします」
ヴァギセントは頭を抱えた。
果たして今まででこんなにも一瞬で矛盾したことがあっただろうか。
「ごめんねバギー君、すぐに撮影の邪魔にならないように交渉してくるから!」
番組スタッフと藤原がすぐに交渉へ向かう。
「バギさん、ドンマイです」
フェルティにも励まされるほど落ち込んでいたらしい。
そこに藤原が駆け込んで来た。
「バギー君大変だ!」
「どうしたんです?」
「あの子、国王だった!」
「どこのです?」
「だから、オルヌカンの!」
「はぁ?」
ヴァギセントは頭が真っ白になった。
第三話水饅頭先生お願いします。