短編小説・異常者
不思議な短編小説です
ご意見ご感想など頂けたら凄く嬉しいです!
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真夜。
彼女とは古い付き合いだ。
長く一緒にいると、相手が全てを語る事無く言おうとしている事が理解出来る。
「ねぇ」
真夜が口を開いた。
「ん?どうしたん」
「知り合いが自殺で亡くなったのよ」
真顔だったので冗談とかでは無さそうである。
「そいつは御愁傷様、御冥福を…」
私は知らない人物へ祈ってみた。
「世の中では自ら命を断つなんて許されざる行為とされているでしょう」
知り合いが亡くなった事ではなく本題はこちらのようだ。
「言いたい事は何となく分かった…自殺って本当にいけないのぉ?こんな世の中で生きている方が凄くなぁい?って感じでしょ」
私は真夜のムスっとした顔を真似しながら言った。
「くすくす、それ私の真似?全然似てない…」
真夜は少しだけ笑いながら話を続ける。
「まぁ、そんなところね」
基本的には私も真夜も楽天的にはなれない性分でネガティブである。
「こんな腐ったゴミみたいな世界で生きている私たちの方が異常なんじゃないかしら?自殺した人たちの方が余程正常だと私は思うわ」
生きる事は戦いだ。
そんな事を言ったアニメのキャラクターがいた。
「違いない」
私は自分が正常だなんて思った事などない。
きっと本当の異常者とは…
真夜が話し出した。
「私は思うの、本当の異常者とは…」
『自分を正常だと勘違いしている人間』
完璧な人間がいないように、人とは不完全である。
故に正常な訳などない。
異常こそが『人間』なのだ。
「あなたの理解の早いところ、私は好きよ」
どうやら私は告白されてしまったようだ(笑)
読んで頂きありがとうございました!
一日一短編
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