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7.準備と忘れ物のお話

「準備といっても、武器とか防具類はユリとドラコが何とかするから後回しでいいよねっ。とりあえず、保険の回復薬から買にいこっ」


 そうして、なっちゃんの先導で雑貨屋さんへ。お店の中は木でできた棚の上に綺麗に商品が並べられていてる他、観葉植物と暖色系の照明が店内を照らしていて、ちょっとおしゃれな雰囲気。


 さっそく棚を眺めつつ商品を観察です。えっと、ロープとかレジャーシートみたいなもの、鋏とかスコップに何かの種みたいなもの、ねずみ花火や線香花火まで。


 結構いろいろあって面白いです。それに、花火類はちょっとほしいかも……。そんな感じで商品を眺めていると、なっちゃんがささっと買い物を済ませて戻ってきたみたい。


「あ、なっちゃん。買い物任せちゃってごめんね」

「いいのいいの!その分、ユキちゃんには本番で期待してるからねっ!それじゃ、回復薬も買えたし、後はのんびり見て回ろっ」


 それから、なっちゃんに案内されながら色々なお店を回ったんだ。本当ならもう少し早く案内してくる予定だったみたいなんだけど、ウィスパーに気付かなかったために、今頃になってしまったのです。……うん、ちょっと反省。


 まずは定番の武器屋や防具屋から。

 武器屋は木刀から鉄剣、他にも鞭とかハンマー、槍などいろいろありました。防具屋のほうは、服屋も兼ねているみたいで、なっちゃんが着ているような魔女っ娘衣装や和服、全身を覆う金属鎧や鎖帷子、動物の皮でできた皮鎧。靴もあって、草履や下駄もあったのが結構驚きです。

 ユリさんからの頂き物品と比較もしてみたけど、同じ素材を使ったと思われるものでも、補正が弱いのにそこそこ高かったり……。


 それから食材屋さんや従魔屋さん。

 食材屋さんでは各種食材が所狭しと並んでました。色とりどりの野菜や、お肉に卵など。野菜の中には見た目は大根とか蕪みたいに現実のものと同じような感じなのに、色が青かったりカラフルだったりで、見ているだけでも楽しめたんだよね。でもこのお店自体は、【料理】スキルを持っている人が利用するほかでは、NPCとかが買い物に来るぐらいで、あまり用はないかも、とはなっちゃんの言葉。


 従魔屋さんはいわゆるペットショップみたいな感じ。おいてあるのは、【従魔】スキルで仲間にしたモンスター用の装備品とかエサ、それから何かの卵みたいなもの。いろいろなモンスターがいるのかなってちょっと期待したけど、そういうのは別な場所にいるみたい。ただそこにいるのはレンタル用の騎乗用の動物とかモンスターが主らしいんだけどね。後は、ここでも貸出をやってるみたいで、ここで料金を払ってその場所にいって借りるってこともできるんだって。後、レンタルの一覧をちらっと見た限りだと、お馬さんとか大きなダチョウみたいな鳥さん、それから大きな豚さんとかが借りられるみたい。


 ついでに、街の東西南北のエリアごとの特色も教えてくれました。

 東側は宿泊施設とかが居酒屋とかお食事処みたいなのが占めているエリア。結構NPCとかがご飯時に集まってたりするんだって。

 西側は生産関連のエリア。鍛冶場とか細工場とか、生産系に利用できる施設があって、それらはレンタルでそういう生産に打ち込める部屋を借りられるらしい。確かユリさんからも同じようなことを聞いた気がするけど、現状だとわたしは生産系のスキルを一切持ってないから、借りるにしても遠い話な感じがします。

 南と北側は居住区のエリア。NPCとかのお家が集中してるとかなんとか。後北にはやたら豪華な館!みたいな感じのがあって、きっとこの街の領主の家なんじゃって言われてるらしい。


 一般的な販売所みたいなところは、中央広場の外周をぐるっと回ってる感じに配置されてるので、何かあったら中央広場までくればいいみたい。……なんというか、わたしは中央広場で全部終わっちゃいそうな気がしたりしなかったり……。




 まだ待ち合わせに時間があったけど、一通りぐるっと見て回ったので、一足先に集合場所である南門に行くことに。



○●○●○


 うん、やっぱりまだ早かったのか、ドラコさんもユリさんもいませんでした。なので、しばらくなっちゃんと雑談して、二人を待つことに。


 うさぎさんのところにいなかったから何処に狩りに行ってたのかを聞いたら、βの時の人とパーティを組んで東門の先で戦ってたとのこと。まず最初に、ひよこさんを追っかけまわした後は、狼さんを追っかけまわしてたんだって。

 というか、やっぱり東門のほうが初心者用のフィールドだということで、何も言わずに南を進めたことをあやまられました。結果的には、問題なかったし人もいなくてのびのびできたから気にしないでっていておきました。相手が強かったのもあって、実際なかなか楽しめたからいーのです。


「うん、楽しかったならよかったよ~。強敵のところにだまして放り込んじゃったようなものだからちょっと心配だったんだ。それはそうと、ユキちゃん!安定して熊狩りしてたならレベルも結構あがったんじゃない?あたしのほうは今9で、後1つ上がるとクラスチェンジなんだよっ」

「わたしのほうは10レベルになったばっかり。ドラコさんとユリさんの力もあるけど、かなりサクサクだったかな?なっちゃんのほうもだいぶあがってるね」

「まさか、レベルが上だなんて……。これでも最前線を駆け回ってたからだいぶ上位のはずなのに~」


 ずずーんといった感じで沈んじゃった。混雑してるところで駆け回って9ならかなりすごいと思うんだけどね。わたしのほうなんて、人がまったくいないからより取り見取りだったわけだし。


「うん、とりあえずそれは置いといて。10レベルになったならクラスチェンジはもうしたんだよね。何選んだの?」


 ……クラスチェンジ?あれ、なんか忘れてる、ような……?


「……あっ」

「何、その「あっ」って。も・し・か・し・て~、インフォ見落としたか忘れてたの?」


 そういってジト目になってます。


 うん、そういえばなんか変わったインフォメーションがあった覚えがあるんだよね。結局後で確認しようって思って、後回しにしてました。


「あはは……。決して忘れてたわけではナイ、デス、ヨ?」

「まったくもぅ~。出発前にちゃちゃっと確認、確認だよ!」


 改めてそのインフォメーションの確認です。

 ちなみにこんな感じ。


------

キャラクターのレベルが上昇しました。

レベルが10になりました。


レベルが規定値に達したため、クラスチェンジ条件を満たしました。

ステータスからクラスを選択してください。

------


慌ててちょっと変わったインフォメーションとしか思ってなかったけど、ちゃんとクラスチェンジって書いてあります、はい。


早速ステータスから確認です。どうやらチェンジ先は2つあるみたい。

まずはひとつめ。


------

ウォーリアー ― (戦士)


経験を積んだファイターがなることができる上位クラス。

その身を剣として敵に切り込むさまは、味方に勇気を与える。


STR+4,VIT+1,AGI+1

------


 こっちのクラスは攻撃面の強化みたい。攻めて攻めてって感じなのかな。



------

ナイト ― (騎士)


経験を積んだファイターがなることができる上位クラス。

守ることに重点が置かれており、その身は敵から仲間を守るための盾である。


STR+1,VIT+4,DEX+1

------


 こちらはどちらかというと防御面の強化かな。名前からするとガチガチの鎧とかで固めたくなる感じ。


 う~ん、現在のわたしのステータスから考えると、単純に攻撃力を伸ばすならウォーリアーで、バランスよくするならナイトかな?


 ちょっと悩ましいけど、【盾】も育ってるし、ステータスのバランスもよくなるしナイトでいこうかな。うん、そうなると【盾】の派生先は【重盾】で大体決まりかも。実際に決めるのは、ユリさんに実物を見せてもらってからだけどね。


 というわけで、クラスチェンジでファイターからナイトになりました。ナイトになったことでステータスこんな感じに。


------

雪花 Lv10

職業:ナイト

-ステータス-

STR: 10 [+0, +1]

VIT: 10

INT: 3

DEX: 4

AGI: 11 [+0, +1]  

-スキル-

【片手剣 Lv1】【両手剣 Lv3】【盾 ☆】【鎧Lv3】【神聖魔法Lv1】【筋力上昇Ⅱ Lv3】【敏捷上昇Ⅱ Lv3】【分析Lv1】

------


 うん、攻撃面は結構バランスとれてて満足満足。


 剣と盾のほうはとりあえず今のところ未装備です。盾を持ったほうがいいとは思ってるけど、両手剣にするかもしれないしね。

 

 さて、クラスチェンジも終わったし、忘れてることはないはず、……多分。



「あら、二人とももう来てたのね。ドラコは~、まだいないみたいだから私が3番目かしら」


 わたしの確認が終わったところにちょうどユリさんが到着したみたい。


「さて、ユキちゃん。ごちらをご覧くださいな、っと」


 何だろうと思ってると、ストレージから大きな盾が!形は正方形に近いけどちょっと縦が長めで、大きさは鉄の盾の1.5倍より大きいぐらいかな?

 どういう物か見たいっていったから、灰色熊に行く前に【重盾】に該当するものを作ってきてくれたみたい。


 うん、これは確かに頑丈そうな盾です。しっかり守れそうだし、ここはすぱっと!【重盾】で決定で!女の子は度胸です!……なんか違う気がするけどね。


「気にいったみたいね、作ったかいがあったわ。茶熊が一人で狩れちゃうぐらいだもの、脱初心者ってことでそれはプレゼントね」


 片手剣に盾に両手剣までもらってて、さらに重盾まで。ちょっと申し訳ないといったら、先行投資っていわれちゃいました。なので、ありがたく頂戴しちゃいます。


 ちなみに装備の性能はこんな感じ。


------

鉄の四角盾

VIT+8 AGI-2 耐久:A 品質:A

― 鉄で造られた四角形の盾。

  大型の盾でカバー範囲が広いが、その重量から扱いが難しい。


  品質がよく若干性能がよい。

  製造者:ユリ

------


 VITが鉄の盾の2倍の数値もあります!……代わりにAGIがちょっと下がっちゃうのが難点かも。実際に装備してみると、ずっしりとした重さが手に伝わってくる感じ。これは途中で慣らしたほうがいいかも。


 そんな感じで盾を確認していると、ドラコさんやってきて全員集合です。


「うむ、どうやら我が最後のようだな。さて、ユキの防具だったか。簡素なものにしかならなかったがな」


 そういってドラコさんもストレージからアイテムを取り出して渡してくる。受け取って確認してみたんだけど、なんだろう。


 とりあえず装備してみればわかるかな、ってことで早速装備してみることに。


 ふわぁ……、とってもふわふわです!それにもこもこしててきもちいい~。


 いけないいけない、危うくトリップするところだったよ……。えっと、これはなんだろう。


「えっと、ドラコさんのこれは……、えっと、毛皮?なんか手もあるんだけど……」


 ちょっと言葉に困るこの装備。

 とってもふわふわもこもこしてるんだけど、肩にかけて前のところでちょうど熊さんの手が交差して落ちないように留めてるみたい。遠目には熊さんが、ぎゅって抱きしめてる感じ。

 とはいってもこれ、何よりただの毛皮です。そう、床とかに置いてる人もいたりする、あの!熊さんの毛皮そっくりなんだよね。


「うむ、それは、茶熊の毛皮ショールだ。ふわふわもこもこにするのに手間どってな。危うく超過するところだったが、なんとか納得いく出来になったのだ。いやはや、実にいい手触りだろう?」


 どうやら毛皮の敷物じゃなくて、ショールみたい。そういわれたらだんだんそんな気もしてきたよ。うん、確かに手触りもいいし、それにだんだん熊さんのお手々の部分がかわいく見えてきた。うん、これはいいものです。


「うん、大満足です。それにちょっとかわいいかもだし」


 お代のほうを聞いたら、さっきの熊狩りの報酬の一部だっていわれたので、こちらもありがたくもらっちゃいます。


 こちらの性能はというと。


------

茶熊の毛皮ショール

VIT+2 AGI+2 耐久:A 品質:A

― ブラウンベアの毛皮で作られたショール。

  ブラウンベアに抱き留められてるように感じられる一品。

  ふわふわ、もこもことした手触りは非常に気持ちいい。


品質がよく若干性能がよい。

  製造者:ドラコ

------



 なんと、AGIが上がっちゃうのです!ちょうど四角盾のペナルティと打ち消しあってるのもまたグッドかも!


 それからドラコさんと二人でこの装備について盛り上がってると横から呆れたような声が。


「ユキちゃんってちょっと変わってるわよね。ドラコのほうは言わずもがなだけれど」

「だってユキちゃんだからね。それと、はいこれ。みんなの分の回復薬の初級赤ポーションだよっ。それと、そろったんだし早速出発しよっ!」


 この初級赤ポーション、初心者用ポーションより少し高いぐらいの効果みたい。ちなみに初心者用は最大HPの5%ぐらいらしい。……結局使ってなかったからどのぐらいか実感してないんだよね。それで、少し高いっていうことだから、1割には届かないけど、5%よりは大きいぐらいなのかな?


「うむ、助かる。では、早速出発するとするか。何か他にあるか?」

「なっちゃん、ありがとう。後、灰色熊さんに行く前に、ちょっと装備品の感触を試したいんだけど、大丈夫かな」

「なら、行く前に茶熊を狩ってから行きましょう。二人もそれでいい?」

「我は問題ない。このパーティの要はユキだからな。ユキが装備に慣れるまで我らにとってもちょうどいい練習になろう」

「おっけー!あたしの力をお見せしましょうっ!他にはないかな?ないよね?夜の森、楽しみなんだよねっ!それじゃ、しゅっぱーつ!」


 そうしてみんなそろって、南門をくぐって夜のフィールドへ。夜の大冒険の始まりです!



 結構真っ暗なのかと思ったけど、思ったほど暗くないみたい。どうやら月明かりで結構明るくなってるみたい。平原だからさえぎる物もないもんね。

 そのまま、夜空を見上げると、うわぁ、満天の星空が広がっていて、とっても綺麗!思わず足が止まっちゃって、なっちゃんに呼ばれて慌てて合流するハメに……。


 こんな綺麗な夜空、都会じゃ殆ど見られないもん。不可抗力なのです。


 そんな感じで、時々なっちゃんに呼ばれたり、ドラコさんやユリさんに苦笑されたりしながら、のんびり熊さんのところへ向かったのでした。


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