表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/18

5.熊さんと初パーティのお話

 布陣を確定した後、ドラコさんとユリさんとわたしの3人で熊さん狩りを開始。

 まずは連携の確認もかねて、近くにいた1匹に挑戦です。


 2人共流石にβテストもやっていただけあって慣れたものなのか、攻撃がかなり的確なんだよね。


 まずユリさんなんだけど、熊さんの側面や背後に回り込んで的確に攻撃を叩きこんでます。2足で立ち上がった熊さんが両腕を叩きつけようとしたところに、足への痛打で熊さんがずっこけた時なんて、思わず笑っちゃった。そんな感じで隙をついて体勢を崩したりしてくれるので、かなり楽ちんです。

 ドラコさんのほうは結構わたしが動き回ってて邪魔しちゃってないかなって思ってたんだけど、そんなこともなくて。こちらも側面や背後に回るところまでは一緒なんだけど、わたしとユリさんの動きを見ながらきちんと斜線を確保するように動いて魔法で攻撃をしてます。時々目くらまし代わりに熊さんの顔に炸裂させたりして、熊さんが嫌がってたのが印象的。


 そんな感じで、あっさりと1匹目が終了。やっぱり3人だとかなり早いかも!



 そんな感じで、あっさりと1匹目が終了。やっぱり3人だとかなり早いかも!


「始まったばかり故、あまり意味はないかもしれぬが、まさか我が攻略の最前線に立つとはな」

「本当よ。普通に考えたら私たちって生産メインだもの」

「まったくだ。それに我らのレベルからいえば格上狩りで済むが、な……」

「言いたいことはわかるわ。普通ならもっと苦労するもの」

「うむ。ユキに感謝せねばな」


 ドラコさんとユリさんは1匹倒したあたりでしみじみとそんなことを話してる。う~ん、でも人数が増えたこともあるし、あっさり終わっちゃったから、やっぱりそこまで強くないんじゃないかなって思っちゃうんだよね。


「ユキ、あっさり終わった故、他の者もパーティを組めばたいしたことがないとか思ってるのかもしれん。が、本来我らぐらいのレベルであれば、瞬殺されるのがオチだからな」

「ほぇ?」


 あれ、読まれてた……?まさか――


「……ユキちゃん、エスパーじゃないわよ。まぁ、ドラコの言う通りよ。間違ってもこんなレベルで挑んじゃいけない相手なんだから」


 取られちゃった……。ちょっとしょんぼり、ってそうじゃなくて。


「そうなの?」

「まぁ繰り返しになるから、あまり言っても仕方あるまい。それよりも、だ」

「ええ、こんなおいしい状況ないものね」


 そういって、二人とも若干にやにやした悪い顔でこっちを見てくる。言いたいことはなんとなくわかっちゃうから、わたしもにやりと悪い顔で。


「えっと、がんがん……いってみよう?」

「うむ。壁役は任せるぞユキ」

「がっつり稼がせてもらいましょう。お願いね、ユキちゃん」


 そうして3人での狩りの再開です。ユリさんの言葉通り、ガッツリ稼がなきゃ!


○●○●○


 3人で熊さんを倒して始めて順調にレベルやスキルが上がっていく中で、ちょっと気になるインフォメーションがあったのです。


 早速確認って思ったけど、ちょっと時間がかかりそうなので。


「ユリさん、ドラコさん。ちょっとステータスを確認したいんだけど、大丈夫かな?」

「うむ、問題ない。我も結構上がってる故、一度確認したかったところだ」

「私も、大丈夫よ。ものすごくサクサクなんだもの。後、一番大変なのは壁役やってるユキちゃんなんだもの。もっとバンバンいってもらっても大丈夫よ」


 二人からもありがたいお言葉をもらえたので、確認もかねて休憩タイムになったのです。

 若干申し訳なさそうだったけど、わたし自身楽しめてたから全く問題ないって伝えたら、苦笑されちゃいました。



 というわけで、問題のインフォメーションの確認タイムなのです!

 肝心のその内容はこんな感じ。



------

【剣 Lv9】 がレベルアップし、上限に達したため【剣 ☆】になりました。

レベルが規定値に達したため、スキル派生条件を満たしました。

スキルを派生させることができます。派生先スキルを選択してください。

また、未選択スキルはスキルリストに追加され、SPを消費することで習得することができます。

------


 こんな感じのインフォメーションが【剣】以外に、【盾】にも。

 【筋力上昇】と【敏捷上昇】は、若干違うみたいで、


------

【筋力上昇 Lv9】 がレベルアップし、【筋力上昇 Lv10】になりました。

レベルが規定値に達したため、スキルが進化します。

【筋力上昇 Lv10】は、【筋力上昇Ⅱ Lv1】になりました。

------


 こんな感じに。

 【筋力上昇】と【敏捷上昇】のほうは、それぞれⅡってついてるから、今までよりワンランク上になったよーってことなのかな?


 順番に確認するとして、最初に【剣】と【盾】の派生先を選択しようかな。


 まずは【剣】のほうからなんだけど、派生先は【片手剣】【両手剣】【刺突剣】【短剣】の4種類みたい。それぞれ、その分類に当てはまる武器を使用時に、与えるダメージが少し上がるみたい。

 う~ん、現状の装備を考えると【片手剣】で確定かな。他もちょっと魅力的だけど、SPを消費すれば取れるみたいだから、ほしくなったら覚えればいいよね。


【盾】のほうは、派生先が二つで、【軽盾】と【重盾】みたい。

 これは、どっちを選べばいいのかちょっと悩む、というよりわからない……。名前から考えれば、【軽盾】は軽くて小さ目で、それに対して、【重盾】おっきくて重い感じはするんだけど、具体的な違いって何だろう……。

 困ったときは先人の知恵ということで、聞いてみよう。



「ユリさんとドラコさん。スキルのことで質問なんだけど、【盾】スキルの派生先の【軽盾】と【重盾】って具体的にどう違うのか、わかったり……しないかな?」

「ほう、スキルがもう派生したのか。かなり早いな、流石といったところか」

「ドラコ、まったく答えになっていないわ……。その二つはちょっと紛らわしいわよね。簡単に言えば、【軽盾】っていうのは小型の盾のことで、いわゆる冒険者とか軽戦士とかっていう人々が持つような軽めの盾のことね。重盾に比べて小ぶりだから取り回しやすいけれど、防御できる面積が小さいの」

「うむ。【重盾】のほうはざっくりいえば大型の盾のことだ。イメージしやすいのは神殿騎士とかパラディンとか呼ばれるような者みたいに、ガチガチの重戦士が持つようなやつだな。大型で重くなる場合が多いのがデメリットではあるが、防御できる面積が大きいのと、軽盾に比べて頑丈なものが多いことがあげられるな」

「なるほど。ということは、今の感じなら【軽盾】のほうがいいのかな?でもちょっと【重盾】とか使ってみたいかも」


 今みたいなヒット&アウェイの戦闘スタイルなら【軽盾】だけど、いかにも騎士!って感じのガチガチの重装備で固められたのもいいよね。そうなると【重盾】もちょっと捨てがたかったり。

 いっそ両方!って思うけど、それはそれでちょっともったいない気もするし……。


「そこまで悩むのならば保留しておけばいいのではないか?まぁ、【軽盾】ならば、今の戦闘スタイルからあまり使用感も変わらなくていいかもしれんがな」

「それに、【重盾】なら街に戻れば防具屋にも置いてあるし、私なら作れるから、それを見てからでもいいんじゃないかしら」


 なんと、願ってもいない申し出です。というわけで、【盾】に関しては暫く保留の方向で。


「うむ、ところでユキよ。熊との戦闘で少し気になったのだが、盾でガードもしているようではあるが、殆どの攻撃を回避しているだろう。基本的に敵の攻撃をガードすることに重点を置いてはいないのではないか?」

「それは、私もちょっと思ったわ。ユキちゃん、本当は熊さんは全部避られるんじゃないの?もしそうなら、その分を武器に回したらどうかしら。たとえば両手剣とかね」


 熊さんとの初戦闘の時も、最初こそびっくりしちゃって盾で受けることになったけど、それ以降は全部避けられてたし、確かに避けることはそこまで大変じゃないんだよね……。最初に【盾】を選んだけど、あってもなくてもあまり変わらないような気もちょっとしてたり……。

 でも、それ以上に重要な問題があるよね。


「う~ん、確かにそんな気もちょっとはしてるんだよね。それに両手剣とかはちょっと惹かれはするけど、そもそもこの鉄の剣しかないのです」


 そうなんです。初期装備の木剣は壊れちゃったので、ユリさんからもらった鉄の剣しか手持ちにないのです。

 もう1本あったら二刀流だーとかいって振り回せるかもしれないけども。でも、スキルがないから厳しそうな気もする……。


「ふふふ、私は鍛冶屋なのよ、ユキちゃん。練習用で作った両手剣がストレージにあったりするのよね、これが。もし【両手剣】スキルを取得するなら、そのままプレゼントするわ」

「それだと、なんかユキさんに悪いような。この剣と盾もあるし……」

「そんなこと気にしない気にしない。そもそもこの狩り自体がユキちゃんありきなんだから、このぐらい大したことじゃないの」

「うむ、その通りだ。むしろパーティの恩恵がかなり大きいからな」

「そういうことね。それでユキちゃん、両手剣でいいのかしら。短剣とか刺突剣もあるんだけど」

「それなら、両手剣でお願いします!」


 そんなこんなで、ユリさんから両手剣をもらっちゃいました。ちなみにこんな感じだったり。


------

鉄の大剣 STR+8  耐久:A 品質:A

― 鉄でできた大型の直剣。刀身が長く重量もあるため、扱いに難がある。

  要:【両手剣】スキル 

  丁寧に作られており、品質がよい。

  製造者:ユリ

------


 ……うん、練習用という割には性能が高くないですか、ユリさん。



 とりあえず武器はいったんおいておいて、改めてステータスの確認をすることに。


 スキルの確認、っていきたいけど、ベースレベルのほうが2つ上がってたみたい。普通にスルーしちゃってた……。あぶないあぶない。

 SPのほうは、2Lv分の+2に、4つのスキルが上限になったことのボーナスで+4が加算されて、合計10に。

 それからBPのほうは、やっぱり即決で2つともAGIへ。これでようやく素の値が10になったよ!次はSTRにでも振ろうかな?


 それから改めてスキルの確認です。

 【剣】のほうは、派生先で【片手剣】を選択。それから、SPを2消費して【両手剣】をリストから取得して、これでSPは8に。

 【盾】のほうは、街までとりあえず保留かな。でも、なんとなく【重盾】を選びそうな気がしたり。防御重視の時と、それ以外の時とで装備自体変えると考えると、断然【重盾】のほうが防御高そうだしね。


 ステータスとスキルの確認が終わったから、早速ユリさんからもらった大剣を装備して軽く振ってみたんだけど、両手剣っていうだけあって重量感が大きい。というより今までの装備と比べて結構重い……。

 う~ん、STRあたりを上げていけば、改善されるのかな?


 鉄の剣と違くて、流石に両手剣というだけあって現状だとぶんぶん振り回せるわけではないから、要所要所で的確に攻撃を当てていくって感じになるのかな。STRが高くなったらそれもちょっと変わりそうだけどね。

 うん、装備変わったけど、結局やることは変わってないよね。後は実践あるのみなのです。


「準備できたみたいだな。それでは、再開といこう。勝手が変わって大変だろうが、危なくなれば我らも一時的にはカバーには入れる。故に好きにやってみるがよいだろう」

「ありがとう。それじゃ何かあったらお願いします」

「任せて頂戴な。ではでは、茶熊狩りを再開しましょ」

「うむ」

「おー」



○●○●○



 それから熊さんを狩ること数十分、合計時間が1時間ちょっとぐらいになったあたりで再度の休憩になりました。というのも、なっちゃんからウィスパーの申請飛んできたんだよね。


 狩りを再開して少しの間(2~3匹ぐらいかな?)は、両手剣を使い始めたばかりだったこともあって、何回か危ない場面もあったりしたんだけど、数を狩っていくうちにそれにも慣れて、終わり際はかなりスムーズに倒せてたんだよね。


 それこそ、最初のころは武器に若干振り回される感じで、振り下ろした後に若干バランスを崩したり、片手剣の時と同じように熊さんの腕を躱してあいている胴体にいざ攻撃!って振ろうとしたけど、重量の分が抜けてて体勢を整えられちゃって危うくカウンターをされそうになったり……。そういう場面になると、すぐにユリさんとドラコさんがカバーに入ってくれて。

 そうやっているうちに、徐々に武器に慣れることもできて余裕ができてくると、大剣の威力を実感するように。攻撃力が違うっていうのもあるけど、明らかに討伐ペースが速かった!それに武器の重量からか、熊さんの体勢が崩れることもあったんだもん。


 それからユリさんとドラコさんの2人のだけど、ユリさんのほうは相変わらず熊さんの体勢を崩したり、時々顔やお腹にフルスイングでハンマーを打ち込んでて、見ているこっちがちょっと痛そうって思っちゃった。いい笑顔でハンマーを振ってるので迫力がすごかった。敵じゃなくて本当に良かったって感じ。


 ドラコさんは、魔法を打ちつつ槍をもって突きかかってた。槍を持ち出したときにびっくりしたけど、そういえば戦闘前に槍も使う予定みたいなこといってたから取得したみたい。こちらも相変わらず、魔法を熊さんの顔に炸裂させたり、それから槍で脇腹や足をしつこく狙ったり。熊さんが体勢を崩してるときには、顔とかを集中的に狙ったりしてて、結構えぐい感じに。ひたすらに弱いところを集中攻撃されるような形になってて、ものすごくいやらしい戦い方だったかも。



 それで、前半後半合わせた最終的な戦果のほうはどうかというと、毛皮が14枚と、なんと!新しいアイテムが1個という感じだったんだ。

 ちなみにその新しいアイテムはこんな感じ。


------

茶熊の手

― ブラウンベアの手、そこそこ大きい。

  食材として使われる場合も。

------


 熊の手です。説明を見て、食べられるんだ!って思ったけど、料理スキルもってなかったよ、残念。


 それからレベルとスキルの確認です!

 今までしていなかったのか、とかいわれそうだけど、大剣がだんだん楽しくなってきちゃって、すっかり頭から抜けていたのです……。

 レベルのほうは2つ分のアップでSPの合計は10に、スキルのほうは【両手剣】と【筋力上昇Ⅱ】と【敏捷上昇Ⅱ】がそれぞれ2つ上がったり。派生スキルと進化スキルだけど、覚えたてだからなのか上がりやすいのかな?

 BP2つはSTRに振ることに。他のステータスも上げていったほうがいいような気もするけど、とりあえずSTRの素の値が10になったら考えることに。うん、【両手剣】とかとったし、今後もし【重盾】とかとったらSTRが重要になりそうな気もするし。

 というわけで初めてのパーティ狩りでの成果はこんな感じ。


------

雪花 Lv10

職業:ファイター

-ステータス-

STR: 17[+8, +1]

VIT: 6

INT: 3

DEX: 3

AGI: 11[+0, +1]  

-スキル-

【片手剣 Lv1】【両手剣 Lv3】【盾 ☆】【鎧Lv3】【神聖魔法Lv1】【筋力上昇Ⅱ Lv3】【敏捷上昇Ⅱ Lv3】【分析Lv1】

------


 現在の装備が両手剣なので、盾についてるVITの補正が取れて、代わりにSTRが大幅に上がってる形に。


 ステータスを一通り確認し終えて、ひと段落。って、なんかもう1個変わったインフォーメションがあるんですが!確認しなきゃ!って思ったけど、なっちゃんからウィスパーの申請も来てたんだった!

 ユリさんとドラコさんはまだ確認してるみたいだし、大丈夫かな。

 先に連絡を取っちゃいましょう。というか早く出ないとまた呆れるか、今度は怒られそうだからね……。というわけで、なっちゃんとの通話オンです。インフォメーションは終わってからの確認にしましょう。




ここまでお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ