序
千と百年前、この世界は一度壊れた。
そういわれるほどの天変地異が静まり、生き残った人間は戦慄した。
青かった海は毒々しい紫色に変色し、猛毒に侵されていた。大地は枯れ、建物のことごとくが倒壊し、森は毒素を受けて枯れ、または変異していた。
湖や川の多くは毒に侵されていなかったものの、突然変異によって水棲動物が凶暴化・巨大化をしてしまい、近寄る事さえできない。山は枯れ、大地は崩れて地形を変え、火山は噴火した。
いくつもの島が沈み、余波を受けて沿岸部が崩れ、毒の海へと消えていった。
絶望の中、人間は死に物狂いで命をつないだ。
この混乱期は百年続き、その間の歴史は存在しないため、『無の一世紀』と呼ばれている。
歴史を記す余裕も、それに割く力も残っていなかったのだ。
生活の確立。技術の向上。ようやく世界が安定し始めた頃、新たな恐怖が出現した。
毒の海や森から生まれた突然変異の怪物、毒獣が人間に猛威をふるった。
新たな恐怖は、同じく突然変異をおこした人間によって払われた。
特殊能力を持った子供達の出現。
能力を持つ子供達は、毒獣に対抗する唯一の希望であり、人間にとっての最大戦力となった。
その時から千年の時を数え、未だ、毒獣の脅威は続いている…。