先生と師匠
「今日か…。憂鬱。休んじゃおっかな。いや、逃げたみたいでカッコ悪いじゃないか。」
青木は今日、学校へ行かなければいけない。
教師ではないが、政府からのお達し。
今は、午前、7時頃。
出勤前である。
「稀少な能力使いってこういう時困るんだよね」
青木の能力は稀少で政府は軍事導入を考える程の稀少で強力な能力。
「破壊計画」
かつて、その計画に青木も参加していた。
破壊系の魔法使い。
彼は、そんな稀少な能力を持て余していた。というよりも、居場所が欲しかったのだろう。
魔法は先天的、魔術は後天的。いわば、魔法は才能。
彼は、魔法使い。 魔法使いに憧れる者は多く、才能の無い者には決してなれない職業。皆から羨ましがられ、また嫉妬の対象になる職業。ちなみに魔法教会が発行している「免許」を取らないと魔法使いとは名乗れない事になっている。 ペーパーテストではなくすべて実技試験というのも変わっている。
「破壊系」
破壊系と一括りにしてはいるが、実際、破壊系の中にも色々とある。彼は、自分を中心に円を作り、その中の物を自由自在に、動かしたり、壊したり……。円の大きさは自在という訳ではなく、最大は決まっている。
そんな能力。 もちろん、木っ端微塵に破壊できる事も可能なため破壊系と分類されている。
というか、破壊しかしてこなかった、なので、円の中に物を自由自在に操作できるというのは、本人しか知らない。
「能ある鷹は爪を隠すっと」
せせら笑う青木。青木の顔は中性的な造り。
動くとチラリと首筋に見える数字。
3
青木は、とある団に所属している。メンバーは、吉田、しずく、青木、バイル……「ピエロ」とルルミア
全員で5人、候補は2人いるが、破壊系はその中で青木とルルミア。
ルルミアは今、要人の暗殺をしているはずだ。
とにもかくにも、これから出勤。
行き先は、理図高校。
「行きたくねえ」
朝にはめっぽう弱い青木がこんな朝早く起きて、準備も万端というのに、ドアの前で座り込んでいる。
ブルルルルルル
着信
「青木。どうした?ルル?」
「要人の殺害、終わったよ。最初に連絡したかったんだ。そっちはどう?」
「――ご苦労様です。」
ガチャ。
切る。
これも、依頼なのである。理図高校で魔法ついて教えるようにとの。
「仕方ない、気に入らなかったら全部ぶっ壊してやるからなァ!」
叫び、ドアを開けて走る。
ほぼ同時刻
これで、いいのか?
私は魔術師ではなく、魔法使いに弟子入りし、今、高校に登校しようとしているなだが…・
「本当に行くのか?」
念のために聞いておく。
「制服も着たというのに、今更なにを言う」
「いや、見た目は大丈夫だと思うけど、受験してないよね? オーデさん」
オーデで良いと言ったはず、とすぐさま帰ってきた。
「なんとかなるって、もしもの時は魔法でちょちょいと」
「新入生への説明会があるから私は早めに行くから」
扉に手をかけ、急いでますアピールをする。
さすがに、一緒に登校などとは言わないだろう。
「一緒に行くからちょっと待って!」
「………。」
昨日は、親をなんとか説得し、とりあえず必要な荷物を運び、と急ぎ足だった為、殆ど睡眠は取れていない。
これから、この少し大きめの教会でオーデと共に住む、現実味がわかない。