魔法使いのわがまま
後日、昨日と同じ時間、同じ場所。
詳しい話を聞かせる。そう言ったのは相手からだった。
こちらはあくまで受け身の姿勢。
「まず…色々とごめんね…」
話を切り出した宮藤。
「まず、類は友を呼ぶってことわざあるよね?」
いきなり、ことわざ。
「うん。あるけど…」
「理図高校はね…類は友を呼ぶ形式なのだ!」
「類は友を呼ぶ形式? 聞いたこともない形式だけど」
「簡単に言うとね、理図高校ってものすごく偏差値高いじゃない?」
「そこで、偏差値が高いということは、まあ馬鹿は入れないよね、ここまではいい?」
「うん。言っていることは理解できてるよ。続きをお願い。」
急かす。
「そこで、登場するのが類は友を呼ぶ形式なのだ!」
「簡単に言ってしまうと理図高校は生徒が人を推薦できるの」
なんとなくだが分かってきた。
つまり、話の流れで行くと宮藤と長短宮が私を推薦してくれるのだろう。
念のために聞いておく。
「宮藤達は私を推薦してくれるの?」
聞いてみた。
答えは
「そうともさ!でもね、推薦で入る為には条件がいるの」
条件?ああ、その条件が
「本気で行きたいと口にする事か」
「そ。だからわざわざ追い詰めるような事を言ったの。ごめんね」
いや、純粋に私の事を思ってやったことなのに、謝られるのはおかしい、逆にお礼を言わないといけないくらいだ。
「でも、なんで本気で行きたい~なんて口にしないといけないの?」
核心。
「それがね…噂でね、嘘を見抜く案内人が居るって言うのを聞いて鵜呑みにしてるわけじゃないけど、やっぱり気になって」
嘘を見抜く案内人…興味深い。興味深いといえば昨日のあのこと。
―――――――。
「それでは、あなたが言うのでは、魔術や魔法はは存在すると…」
なんと馬鹿馬鹿しい。普通ありえない。魔術?魔法?違いわかんねーよ。
「それでね…あの赤髪の変態野郎は、私達、魔術師の中でも理不尽な理由で人を殺すことで有名なの」
「変態野郎…ですか。」
自分の直感って結構信じていいのではなかろうか。
「あなたは、おそらくこれから、奴に狙われることになるわよ」
狙われる?私が?何もしてない…いや盗み聞きはしたけど…。
「あなたは、才能があるの、見る限りではね」
それで、と話を続け
「今日からあなたは、私の子分になってもらう。いや、弟子になってもらう。」
「…弟子ですか?ちなみに拒否権は?」
「ない!」
でしょうね。でも、本気で嫌ってわけでもない。むしろ、学んでみたい。魔法やら魔術やらを。
「あ、それと、月謝としてお金は貰うわよ。」
へ?無料じゃないの?
「2.3百万ってとこかしら」
「…一般人である私がそのような額を払えるとでも?」
口を尖らせながら、言った。
「じゃあ、私の助手ってことで。それで、お金はいらないわ」
助手? まさか、怪しげな薬を飲まされたりするのではなかろうか、
そう思わせるような、ニヤけた顔。
話を戻して、
「助手って何をすればいいのですか?」
質問。
回答。
「んーとね、薬草を取ってきたり、私の変わりに仕事を引き受けたり…
「ちょっとまて!薬草を取ってくるのは構わないが、仕事を引き受けるってどういう事だよ?!」
「冗談も軽く流せない奴に私の助手は務まらないわね」
薄ら笑いでこっちを見てくる金髪さん。そういえば名前を聞いていなかった。
「名前、なんていうんですか?」
少し考えて、
「オーデ。オーデ・リンスラ」
オーデでいいわと名前を言った後にそう言った。
「で、いつから教えてくれるんですか?魔術とか魔法」
答えた。
「あなたは助手だから、仕事の合間に教えてあげる。あと24時間私の側に居なさい」
「無理ですよ!私にも親とか居るんだし!」
口を尖らせ、
「じゃあ、あなたの家に住むことにするわ。いい?これは決定事項よ」
はじめからそれが狙いだったかのように、詰め寄る
おそらく、私には無理だろう。説得するのは。
だから、妥協策として
「私がここに住むのはだめですか?」
ダメ元。
「別に構わないわ、24時間側に居てくれるなら。」
oh…今、ちょっとキュンとした。
「親御さんたちへの連絡はいいの?」
心配しているようだ、根はいい人なのだろう。
「もうすぐ、私も晴れて高校に入学するので、下宿先ということにしてなんとかしてみます」
「高校?行くの?」
「行きますが?」
「じゃあ、私も行くわ」
これも、止められそうにない。打開策は…見つからない。言うしかなかった。
「……ご自由に」