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EXPLOSION

今日は厄日なのだろうか?

少し前までは総てが最高だったはずだ。それなのに何で? なんでこうなるのよ。折角有給取れて、それで直と翔君と健と一緒にこの島に来て午前中はあのマリンブルーの麗な海で海水浴して、それからレストランで4人で昼食とって午後はビーチでゆっくりて、それからホテルで・・・・って感じだったのに。

なんでこうなったの? どこで間違えたの・・・・。


「香奈、今度の夏に思い切って長い有給取って海外行かない?」

私は急に電話越しで切り出された。相手は高校来からの付き合いのある友人、石浜直美だ。常にアクティブで明るい性格のため周りに信頼や人望が篤い。まぁ、唯一の難点としては性格が結構直情的なところが多く様々人間関係の中で結構トラブルが絶えない点だ。しかし、後に引かないそのサバサバとした性格は男女問わず好かれている。なんというか常に付き合いたい人間ではある。

「でも、いきなり海外ってのは・・・・お金とか全然貯めてないし」

かなり、急で唐突な話にすっかり戸惑ってしまった。なんで、急にこんなこと言い出したんだろう?

「大丈夫だって。ちょー格安のパッケージツアーがあってそれに便乗するし、それに中島の奴覚えてる? あいつさー旅行会社に勤めたっぽくて、それで優先券やらなにやらで安くなんのよ」

「それでも海外でしょ。色々お金かかるし、治安とかも悪いでしょ。それにまだどこにくかも聞いてないよ」

「それじゃ、教えたら行ってくれるんだよねー?」

「う、そこまではまだ決めてない、ていうか決めれないよ。メンツとかも全然聞いてないし」

「あー、はいはい。まずはあたしでしょ、あんたでしょ、それに不本意なんだけどやっぱ今回の旅行お膳立てしてくれたんだから健次の奴も連れて行かないと悪いしね」

「それじゃ、3人ってこと? それじゃ結構淋しくない?」

そう言うと、受話器越しで勝ち誇ったようなフンという音が聞こえた。

「あんたがそー言うと思って、今回は超VIPを呼んだわよ」

「何、直にそんな人脈あったの?」

「なっ、失礼ね。それくらい、いくらでもあるわよ。ていうか、本題はそこにないのよ。いい、折角あんたのために呼んだんだから成功させなさいよ!」

「成功? なにを?」

「翔君呼んだんだから」

「えー!!!」

私はベッドの上で跳び上がった。なんて余計なことをしてくれたんだろうこの人は。まともに顔を見て喋れもしないのにどーしよう・・・・。

でも、よく考えたらこれは好機(チヤンス)かもしれない。 このまま電撃的に告白出来るかも・・・。

「わかった・・・・、少し考えてみる」

「そうそう、あんたは顔もプロポーションも悪くないんだから、後はその性格さえ前面出せれば落ちない男なんていないよ」

「ちょ、何言ってんのよ、直!」

「ほらほら、照れない照れない。そういうとこ直せればいいのよ」

「うー」

「それじゃね!また連絡ちょーだい」

「わかった、バイバイ」

受話器を置くと私は「はぁ」とため息をついた。結構急な話だが特にこれといった用事あるわけでもないので会社からも夏休みとして一週間くらいは取れるだろう。こうなっしまったんだからいっそ思いっきり行ってみよう。それじゃ、取り合えず現地の情報をネットを・・・・・・あれ、直どこに行くか言ってないじゃん!!


同刻の全く異なった国のある地域のスラム街

男はひたすら走っていた。何かを警戒するように。何度も何度も周囲を見回していた。だいたい100メートルおき辺りを探り、150メートルおきくらいに逐一立ち止まる。立ちまった男の手には金属独特の光沢を放つ大型のミリタリーナイフが握られている辺りからもここは日本とはまるで異なる異質なアウトローの臭いを感じさせる。つまり、ここは平和ボケしたような日本人の悪ガキやらチンピラが仕切っているような生ぬるい乳臭ささえするような世界とは一線を画するのだ。その生粋のアウトローさえも焦らせるものとは一体何なのだ?

その正体は思ったほどに恐怖を煽るような容貌はしていなかった。いくつかのグループ分かれた集団だった。グレーの統一された上着で顔まですっぽり覆って個々人が判別さにくいようになっていた。

「Dammit」(畜生が)

明らかにアジアンの顔をしている青年の口から出た言語は英語だった。もちろんこのありとあらゆる負の部分の溜まり場のような街では英語自体もさほど珍しいわけではない。しかし、全力で走りぬけながら時々スラングを吐きまくる奴はなかなかお目にかかれない。

「止まれ、止まれ。5秒以内に立ち止まらないと実弾を発砲するぞ!」

そんな風に後ろから拡声器でも付けたかのような大声でわめき散らす集団。しかも、ふつーにドンパチと発砲している。

「Fuck off」(消え失せろ)

男は更にわめき散らしながら路地裏のモルタル製の柱の陰に隠れながらぶつぶつとつぶき始める。その間にも謎の集団はそこら一帯を完全に制圧し始めた。近寄れないようにざわざ人ごみ付近に銃を乱射し、ストリートチルドレンの脳天を平然と銃底で叩き気絶させたところをどしどし抱えて一箇所に纏め、ワイヤーで括り始めた。

「What're they doing? Shit for brains!」(何してるんだ奴ら?このクソ共が!)

「いたぞ! 捕らえろ!!」

リーダ格らしき周りとは異なったエンブレム入りの上着を着た男が叫ぶ。それに呼応しわらわらと虫のように集団が集まり最終的にはすっかり取り囲んでしまった。そして青年に英語でリーダー格が呼びかける。

「Can you speak Japanese? Can you understand what I said?」(日本語は喋れるか?俺の言ったことが理解できるか?)

「I hate Japanese.Hey never speak to me! Fuck you!」(日本人はクソ以下だぜ。二度と話しかけるな豚野郎!)

すると、リーダーらしき男はしばらく考え込むように口元に指を遣ると突然顔を上げた。どうやら青年の叫びを完全に無視することにしたらしい。

「I have just one reason to catch you.Say nothing and kneel on the ground right now.I have no time to tell you why.」(お前を捕まえる理由は一つしかなくてね.時間も惜しいんでさっさと何も言わずに跪け)

そう言い放つと右手をさっと挙げ、衆人に合図を送る。それと同時に一斉にハンドガン構える。

「Don't worry. I'll not kill you now. Freeze as much as you can. I wanna finish soon!」(心配するな。今すぐ殺すつもりはない。出来うる限り動くな。わたしも早く終わらせたい!)

そして、その右手を思いっきり振り下ろした。ズガガガガガガガという音と共にあっとう間に青年は土煙と硝煙の臭いに姿を掻き消された。きつ過ぎる鼻腔を刺すような刺激臭が一帯に充満する。それは、通常勝利を意味する臭いだ。

「はいはいはいストップストップ! あんまり撃ちすぎるといくら麻酔薬入りの特殊弾だからって死んじまうよ!!」

完全に余裕をかました表情を浮かべたリーダ格が気だるげに少し神経質そうに歩いてる。もちろん、彼だけが余裕を持っていたわけではない。その場にいた全員が成功を確していた。

「それじゃ、誰か回収しておけよ。そっちのカスガキ共も取り合えず一緒に持って来よ!」

そのまま、ワンボックスカーの後部座席に乗り込んだ。それが生死の境をさまよう原因なることも知らずに・・・・。ただ単に、気紛れに、特段意味もなくしたそれだけの行いのせいで男はとんでもない怪我を被る羽目になった。

数にして数十弾、ただ飛んできたのも併せれば100を優に超える弾丸をぶち込まれても未だ青年は気を失っていなかった。それどころかこの一方的なショットアウトにとんでもない不満を抱いていた。必ず報復しなければ、舐められてしまう。この街でそう見られることが死に直結することを感覚的に男は知っている。

「Kill them all! Geeks!They looked down on me!」(ぶっ殺す!あのクズ男共!舐めた目で俺を見やがって!)

握っていたミリタリーナイフに傍にあった酒瓶を叩き割って中の液体で浸した。麻酔がき始め朦朧とする意識をナイフの刃で太ももを刺して持ちこたえさせると脇にあった使捨てのライターで火を着けた。アルコールが高いため一瞬で炎の剣になる。

「Explode them all! Fuck you!!!」(燃えちまえ!ファックユー!!!)

ブン投げられたナイフは狙いを誤らずに真直ぐバンパーの真下辺りの通気口の隙間を無矢理ぶち抜きエンジンに突き刺さった。

刹那                轟音と業火に車両が飲み込まれた。

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