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紅い糸  作者: とん麻呂
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第四話:笑い声

咲姫は俯いたまま、黙りこくっている。

憂が咲姫をチラチラと見ては肩を震わせている。

咲姫の座っている後ろ席から、右に2個進むと、藤原の席がある。

藤原は何事もなかったかのように、済ました顔をしている。

「……ちょっと。憂何ふるえてんの」

かなりの不機嫌な様子で憂をにらむ。

憂はまだ肩を震わせていた。

「……ねぇ憂…」

もう一度問いかけるが返答もなく、ただガタガタと震えていた。

「……憂どうし……」

少し心配になって斜め後ろに座っている憂に手を差し伸べた。

と、その瞬間。

「ぶっ!!!」

憂が笑いを吹き出した。

咲姫は驚いて、出していた手を引く。

授業中にもかかわらず、憂は声を出して笑い出した。

憂の不思議な笑い声に皆唖然としていた。

「ぷぷぷっ!」

必死に口を押さえながら、笑いを我慢しているが声が完璧漏れていた。

「こら霜田!!何授業中に笑っとんだ!!」

教科担任から指摘を受けたが、なかなか憂の笑いは止まらない。

「ご、ごめっ……ぶっ!アハハ!!」

これには皆が参り始めていた。

咲姫と藤原を覗いては……

咲姫はさっきの出来事で憂が笑っていると、直感し、憂の頭に消しゴムを投げた。

憂は軽々よけると、咲姫ににんまり笑みを浮かべた。

一方の藤原も意味に気づき、咲姫の方を見ながらニヤニヤと笑っていた。

咲姫は顔を真っ赤にして

(憂のアホッ)

と言わんばかりに思いきりプィと顔を背けた。

(だーっもうイラつく!!!何じゃあのクソ原!!憂の言ってた性格と全然ちゃうやんけ!)

咲姫は怒りを露わにしていた。

言葉に出さずとも今の咲姫の顔はクラスをびびりあがらせるほど恐ろしい。

もはや一匹の獣化していた。

憂は、そんな咲姫を見て何かをひらめいたように、シャーペンと紙切れを取り出した。

そこに何かを熱心に書いていた。

一方の藤原は咲姫の反応を楽しんでいるかのようだった。

まさか自分がこういう性格だと思っていなかったのだろう。

咲姫にキスをした瞬間のあの呆然とした顔が忘れられない。

今度は藤原が気づかれないように笑いを立てた。

そんなこと知る由もない咲姫は一人グレていた。

(だいたいやっぱあのての男は皆チャラ男や!!!まじほんま他の女の気がしれひん!!あんなチャラ男のどこがええん!!キスとかされて……まじ気持ち悪い……最悪や……)

咲姫はまるで印刷機械のように、藤原を否定する言葉を次々に頭にインプットしていく。

怒りで頭が爆発しそうになった時

(ねぇ……飯沼さん……)

フと暗い声で声をかけられ咲姫になぜか悪寒が走った。

「へっ?」

見ると、それはオタク系マニアの(いさむ)だった。

手に何かもっている。

(これ……霜田さんが渡してくれって……)

先生に気づかれないように、そっとソレを机の上においた。

見ると小さな紙切れだった。

ニキビがたくさん吹き出て黒テカリしている油肌。

カビの生えたパンパースのような口臭。

咲姫の顔が思わずひきつる。

「……ア、アリガトウ」

勇はニタァと気色悪く笑った。

ゾワゾワと寒気が走る。

咲姫は急いで目をそらすと、置かれた紙切れを手にとった。

(憂のやつ……ちょっとは反省したんかな……)

少しムッとしつつも、心の中では憂に対してはそんな怒っていなかった。

紙を広げて、書かれてある内容を目で追う。

「……………」

無言、無表情のまましばらく紙切れを見つめていた。

そしてグシャッと握りつぶすと、咲姫の顔には死のオーラが漂っていた。

この瞬間、咲姫の怒りは頂点に達していた。

『咲姫ちょん

なかなか藤原とラボ仲ぢゃんヽ(´∀`●)

この調子で頑張れば美男美女のカッポー

できちゃうかもね(゜∀゜)

たっくんラボの憂ょり』

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