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紅い糸  作者: とん麻呂
1/6

第1話:タイプ

この1話で登場する主な3人(?)は後の話でも多く登場します。

意味の分からないところが多いと思いますが、どうぞお許しください(笑

飯沼咲姫(いいぬま)(さき)。

親からもらった極普通な名前。

あたしはこの名前で17年間過ごしてきた。

今までつき合ってきた男は、5人。

キスは100回以上。

エッチは無し。

いたって普通。

━━だと想う。

「ねぇ咲姫のタイプってどんなん?」

肘を机に着いて、ポテチのこんそめ味を頬張りながら、(ゆう)に問われた。

「どんなんってなにがよ?」

ストロー付きのカフェオレを音を立てて吸う。「男に決まってんじゃん。どうゆう系が好きなんってこと。」

そして憂が教室にいる男達を次々に遠目で見ていく。

マジメのオタク系、スポーツマン、いたって普通系、着崩しのヤンキー系。

咲姫をチラチラと見ては、

「あ〜ゆう系?」

「意外にアイツ?」

「もしやアレか?」

「いやいやコイツ?」

と、ふざけた笑いを浮かべている。

「あたしタイプなんかないし」

冷めた様子で憂から目をそらす。

「えーっ、嘘やん。じゃあ別にオタクでもヤンキーでもどっちでも可?」

「あ、オタクは勘弁」

咲姫は苦笑いを浮かべて、憂に返した。

憂は

「だろうね」

と言って笑っていた。

咲姫はまだ口の開いてないポテチに手を伸ばした。

「まぁ咲姫的につりあうのはヤンキーって感じやね。咲姫マジメやないから」

憂がにんまりと言った。

それを聞いて咲姫は少し戸惑って、

「それどういう意味さね。あたしヤンキー系もあんま好きでないよ」

ツンと口をとがらせた。

咲姫の返答に憂は驚いた。

なにせ咲姫が今までつき合った男は全部ヤンキー系だったから。

「なしてね?」

「ヤンキーはチャラ男が多いきね。そんなんヤダ。」

「それ偏見さね。ヤンでもチャラ男じゃなき男もおるがね」

憂は、思い出したかのようにある男をみた。

一人、机に座って携帯をつついている。

そして時折、窓の外を見ては、また携帯の画面に視線を戻している。

憂はソイツを指さして、

「あの藤原とかね」

と、咲姫に訪ねた。

咲姫は一瞬だけ藤原に目を向けて

「チャラ男っぽい。」

と、首を振った。

「何いうてんのん。藤原めちゃくちゃ女に人気あんだよ。外見イカついくせに一途で優しいって」

「何で一途ってわかるとね」

「だって藤原中学の時、3年間も片思い続けたらしいし」

「で、結局フられたと?」

「いや、それがね。その片思いの相手ね、病気で亡くなったらしいんよ。でも噂ではまだ想い続けてるらしいんけどね」

「へぇ〜……」咲姫は興味なさげにポテチを口に含んだ。

藤原は、今時系の目立つ存在だった。

髪は赤茶のオールバック。

耳には2つのピアス、右手の中指と人差し指にはDiorの指輪をはめている。

目はつっていて、鼻筋がよく、一言で言えば【クール】という印象をもっていた。

だが、顔とは裏腹に人への愛着もよく、優しいと評判だった。

でも、咲姫にとってはそこらへんにいる男と変わらない存在でしかない。

無論、喋ったことすらなかった。

「……咲姫って男に興味なさげだよねー」

からかうようにして笑いながら、憂が咲姫を見つめた。

「うん、今はね。そういう憂は彼氏とラブラブやんか」

咲姫がプウと頬を膨らませて、憂に舌をベッと出した。

憂は照れたように笑いながら、

「なは。でも咲姫が1番好き〜っ」

と、甘えたように咲姫に抱きつく。

咲姫は呆れた顔をして

「ハィハィ」

ぽんぽんと憂の頭を撫でた。

「まじだよ?なんならチューでもする?憂のキス超うまいよ。んぅ〜」

そう言いながら咲姫の方に唇を寄せる。

さすがの咲姫もこれには笑ってしまった。

「分かったから。やめぇアホ」

憂も声に出して笑った。

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