5話♀出会い[前編]♀
それはとても暑く、とても湿っている夏のある日のことだった。
ミーンミーンミーーン
「…暑っ!!」
汗が溢れ出てくる
「どうして今日はこんなに蒸し暑いんだぁ!」
『――マゼさ~ん!!』
『は~い! 今日は日中にかけてさらに暑くなるでしょう。さらに昨日は雨が降っているので、湿度が高くなり、夕方以降は湿って、寝苦しくなることがあるでしょう。では、全国の今日の天気です――』
テレビから天気予報のまえの情報が流れた。
「朝でこんな暑いのにまだあがるのか…」
汗を手で拭う
「どこか行って涼しもう…」
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~本屋~
「只今、店内はクーラーが故障しています。店員が扇風機を用意していますのでしばらくお待ちください」
ちょうどよくアナウンスが入った。これは…運が、悪い。
「あぁ~、暑い~!」
止めていた自転車を取りに行き、颯爽と次の店へいそぐのである
■□■□■
~コンビニ~
「暑っ、なんかあつくね、このコンビニ」
「そう!? やっぱりそう思うよね、俺もそう思う」
「なぁ、どっかちがうところいかね?」
「賛成」
「よしっ、行こう!」
若い男性二人が私が入った時には出て行った
「あたしは…今日、運が悪いんだ! 違うとこ行こーか」
また、自転車に乗り、颯爽と…いや、汗をかきながら自転車をこいだ
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~ゲームセンター~
「…くっそ、取れん! 店長よべや! このフィギュア取れん……」
「…ば、番長。うし、ろ……後ろ」
「あん……あ、あぁぁぁ!!」
バタン
「? ……不良たちがでてきたけど、なんか…あったんかな?」
ホタ、ポタ…ポタ
「きゃ!」
汗塗れの気持ち悪いオッサンが後ろから急に出てきた。速攻、自転車で次の目的地へ急いだ
違う日に行ってみると、その汗塗れのオッサンは店長だったらしい。このゲームセンターもそのとき、クーラーが壊れていたらしく、さらに店長は汗かきだったらしく、クーラーが壊れたことにより、ゲームセンターの中の気温が上がり、汗塗れになったらしい。
この店長は大丈夫なのだろうか、不良さえもビビらす汗塗れの顔は…
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~第2のコンビニ~
「ここは大丈夫だわ! …きっと」
ふわっ
「「わ~、涼しい~!」」
ん? …何か声が重なったような…
くるりと振り返る、するとあたしの通っている中学校の制服を着た少女がたっていた
「よっ!」
「よ、よぉ…」
いきなりの「よっ!」で困った
「あんたって沢中だよね?」
「えぇ、そうだけど」
そう、沢中。沢兎中学校。あたしが通っている中学校。近くにコンビニが四件あるくらいしか取り柄がない学校。
「私、ミリ。ミリ・レンチャ」
「あ、あたしはマーレ。マーレ・トレス」
あたしはこのとき初めて、ミリに出会った。