4話♀違う視点から♀
「な、なにやってるんだろね」
屋上にいたマチをみて、ミリは顔が少し赤く染まった。
「お、顔が赤いぞ~ミリ~」
ほっぺたを触りながらミリをいじくる。
「も、もう~やめて~!」
ミリは数秒いじられただけで弱音をはいてしまった。
「やめないよ~、だって笑ってるもん♪」
「これは笑ってないよ~、怒ってるんだよ~!!」
だが、ミリのその怒り姿はとても怒ってるとは見えない。
「あはは…、可愛い…♪」
何故かマーレの息が荒くなる。
「…マーレ? 息、荒くなってるよ?」
「…え?」
さらに顔が赤くなる。
「だって好きなんだもん……」
ミリには聞こえないくらいの小声で、マーレは言う。
「…? 何か言った?」
「いや…何も言ってないよ。ただ可愛いなって思って」
「マーレも可愛いよ♪」
「…は、恥ずかしいよ……」
ミリに言われると何故か顔が熱くなる。
これってやっぱり「恋」? でもミリはマチに恋してるし、私の恋は実らないだろうな。
「……」
マーレの目から知らぬまに涙が溢れ出てくる。
「…ど、どうしたの!?」
マーレが涙してるのをとても心配するミリ
「…!! どうしたんだろ、あたし」
制服で拭う。だが涙は止まらない。
ゴソゴソ…ゴソ
「はい、ハンカチ。これで涙、拭いて」
ミリのかばんから、ぐしゃぐしゃのハンカチが出てきた。
「あ、ありがと」
涙をそのハンカチで拭くと、こんどは鼻血がタラリとでてきた。
「あ、鼻血…でてるよ」
「え…、どうしよう…」
鼻血が出たことにあたふたするマーレを見て、その隣でミリは言った。
「そのハンカチあげるよ」
驚くべき言葉だった。あのミリ、物を絶対あげないミリとして、この学校でとても有名なのに、そのミリの口から「あげるよ」という言葉がでるとは…。
「……」
その言葉に驚きを隠せず、口をポカーンと開けるマーレに、ミリはこう――
「だって私ら、親友だろ」
ニコリとほほえみながら、ミリは言った。
「親友」…か。やぱりあたしらは親友どまりで「恋人」はいかないんだ。仕方ないよ、女の子同士だもん。でもこの恋は突き通すよ。例え片思いでも、例え叶わなくても、「大好き」って言いたい。
「…? どうしたの? あ、鼻血止まってる」
いつのまにか鼻血は止まり、涙も止まっていた。
「…!! よかった~鼻血止まって~」
「あ、そうだ! ついでだからそのハンカチあげるよ」
「え…本当? 本当なの?」
「あげる」と言うことに対して二度も問うと――
「本当に、本当だよ♪」
て、答えが返ってきた。なのであたしは――
「ありがとう」
そう感謝の気持ちを言葉にあらわした。そしてそのついでにミリの胸を揉んだ。
「ひゃん…もう~!」
ミリは怒ってる。あたしは揉むのを止めた。今度は、ミリの制服の中に手を突っ込み、生で胸を揉み始めた。
生はとても温かく、とても柔らかかった。
「きゃっ…! やめて~!」
ミリの裏声がでた。その声に反応してあたしはさらに揉んだ。今度は激しく。
「や、やめて~~!」
「くくく…」
『やめてあげて!!』
「!!」
マーレの手が止まった。どこからか見知らぬ女の声がしたのである。
「誰?」
『私?』
マーレの問いに対して、見知らぬ女の声の答えが返ってきた。
「そうだ!」
「…マ、マーレ。誰と話してるの?」
不自然に思ったミリが話しかけてくる。
「ミリは…聞こえないの? 幼い…そう! 幼女の声」
『私は幼女じゃな~い!』
すかさず否定する幼女(?)の声。
「あ、そうそう、この声」
「…? 何も聞こえないけど? 私が聞こえるのはこのざわつきだけだけど…もしかしてこのざわつき?」
首を傾げ、ミリは言う。
「違う違う…。え…本当に~聞こえないの?」
「えっ、うん…本当」
マーレの問いに対して真面目に答えるミリ。
「マジか…」
『あ~そうそう。言い忘れてたけど、私の声はマーレ、あんたにしか聞こえないわよ』
「…え? そんなこと出来るわけないだろ~」
ミリの胸を揉みながら笑うマーレ。
『じゃあ、試しに…マーレはミリのことが大好きです!!』
大声で言った。
「ちょっ…何言ってんのさ!!」
頬が赤く染まったのも気にせず、キョロキョロと辺りを見渡し、ミリを見る。
「…? どうしたのマーレ、いきなり大声だして」
「あ~、ナンデモナイヨ、ミリ」
ミリから目をそらして、何でもないと言い放った。
にしても何で? あたしはミリが大好きって事、わかったんだ?
『ふふふ~♪ 心の声もまるまる聞こえてるよ~♪』
「…ちょっ!!」
『あんまり声にだして言わない方がいいよ~♪』
「…分かった」
と口を閉じた。
『じゃあ…、心の声ではなしてごらん』
なんで心の声が聞こえるの? ってかなんで私しか聞こえないの?
『…やっぱり来たか、その質問。では答えてあげよう! その答えは……』
その答えは……?
『その答えは………』
さっさといえ!! 幼女!
『…はいはい。それはあんたの脳に直接話しかけているからだよ』
そんなこと出来るのか?
『何故か出来るんだよ…私は』
ってかなんであたしに話しかけたんだ?
『いや、それは…あんたのことが気に入ったからだよ♪』
あ…あたしの事が気に入った? ななななな、なぜ?
マーレは焦りに焦りまくっている。
『それは…あんたのことが好きだから』
は…。あ…あたしにはミリしかいない! 幼女に恋心抱かれても…好きになるわけないじゃない!
『それでもいい…片思いでもいい…でも! 好きでいさせて!!』
しょ…しょうがないわね…
『やった~! ありがとうマーレ。そして好きだよ』
な…なんか好きって言われると照れるな
『お互い様だよマーレ。それじゃあマーレの脳と契約を結ぶから少し待ってね』
あ、あぁ…って契約!?
『よしっ成立~、これから宜しくね~マーレ♪』
…しょうがないか。あぁ、宜しくな、幼女。
『だ~か~ら~私は幼女じゃな~い!』
ならなんて呼べばいいんだよ!
『…ん~そうね。トピ・サイプリッドでいいわ♪』
…え~と、トピ! これから宜しくね♪
『うん♪ 宜しくねマーレ。ではまた呼びたいときに呼んでね♪ …あっ、ついでに心の声で呼んでね♪』
…あ、あぁ分かったわ。
「……ふぅ」
「マーレどうしたの? 長い間無言で」
「…それは、ミリの胸をどう揉もうか考えていたからさぁ~!!」
上級ドライバー並の速さの手つきでミリの胸をさらに激しく揉み始めた。
「ひゃん…」
ミリの顔が火照ってあったかくなる。
「あぁ~ミリの胸柔らかくてあたたか~い♪」
「も、もういい加減はなして~!」
「もう! しょうがないわね!!」
ようやくミリの胸から手が離された。
「ふぅ…マーレってば女の子見るとすぐ胸揉むんだから~♪」
「だ、だって~、柔らかくてあたたかいんだよ! そりゃあもう、揉むしかないっしょ♪」
キリッとした目でミリを見つめる。
「マーレは素直だな~」
「わ、私は素直なんかじゃない…」
「…な!? そ、そんなことないよ~。だって…む、胸に情熱がこもってるし…私なんて…」
「…もう!! そんな暗く考えちゃダメだよ! そんなんミリらしくない! …そんなミリ……好きじゃない!!」
「…え、あ。その、あ…」
思いによらぬ言葉にうまく反応できないミリ。
「だ・か・ら、そんなミリは好きじゃない!! ありのままのミリが好き! いや……だ、大好き!! ミリ!!」
あまりの恥ずかしさにマーレは顔が沸騰しそうなくらい熱くなった。
「…え…………!?」