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3話♀現実は非現実に♀

 チュンチュン…


「…よく寝た~、…ん!?」


 窓から外を見ると漆黒が空を染めていた。


「…今何時~?」


 時計が毛糸になっていた。けど、しっかりと時計の形はあった。


「…だじゃれか!! …っと、ついツッコミをしちゃった…」


 階段を下り、一階のリビングへ行ってみようとする。


 ミシッ ミシッ ミシッ


 ミシミシという音がやけに響きわたる。


「お母ーさ~ん!」


「何だ? 騒がしい」


 流石お母さん、即答。


「お母さん、今何時?」


「7時37分36秒」


 流石お母さん、また即答。名は知られていないけど、体内時計が産まれてからずっと、一寸の狂いもない。


 時計を見ずに今の時間を正確にいえる特技は伊達じゃなかった。


「ありがとう、お母さん! …でも、なんでこんなに外暗いの?」


 お母さんは机の上に置いてあるテレビのリモコンを足で弾いて自分の手まで跳ばし、赤いボタンを押し、電源をつけた。


―ピッ―


『――こちらブグの時計塔に来ています。ブグの時計塔は、建築からずっと、523年も狂いがなく、世界文化遺産として登録されていますが、ご覧ください!! 時計が逆方向に回ってます! しかも歯車はなく、軸だけで支えられているということです! こんなことは有り得ません! いや、無理です。このように世界中で有り得ない事が起きています! 皆さん、なにが起こるかわかりませんので十分注意をしてください!! ――以上、ブグからの中継でした。』


―プツン―


「分かったろ、ミリ」


「このテレビも壊れてるの?」


「壊れてない、今は」


「…え、今は?」


「そう、今は」


 沈黙に包まれる。


「ミリ、学校は?」


「あ……忘れてた」


 慌てて学校のバッグを持ってきて、教科書を詰め始めた。


「ミリ、ご飯と味噌汁をおいて置くぞ」


 どんぶりに入ったご飯と茶碗に入った味噌汁が横滑りで滑って、ミリの目の前でぴたりと止まった。


「分かった~」


教科書いっぱいのバッグを両肩にかけて、ご飯と味噌汁を食べ始めた。


「あぁ~、やっぱり米だよね~♪」


 頬いっぱいにご飯を詰め込むミリ。もうこれ以上詰め込めないくらいいっぱいに。


「私は仕事に行ってくるが、ミリも学校に行けよ」


「あ、お母さん。お父さんは?」


「あ~、あいつは一昨日からどこか行ったぞ」


「ふ~ん」


 続けてご飯と味噌汁を食べ始めた。


「じゃあ行ってくる」


「行ってらっしゃい~」


 ガチャ――ガチャン


「さて、私もそろそろ学校行かないとな」



 ■□■□■



 ~学校周辺~


 ザワ…ザワザワ…ザワ…


「学校の屋上見て見ろよ」


「え…、あいつってうちのクラスじゃね」


「あいつは何がしたいんだ、黒いマントなんか着て」


 いろんな生徒の声が聞こえてくるなか、聞き覚えのある声がした。


「…お、ミリ~、ミリんところは大丈夫だったか?」


 マーレだ。


「ん、別に時計が毛糸になっていた位だよ~」


「…ミリんところは大丈夫そうだね…」


 悲しそうな、でも、嬉しそうな表情を浮かべる。


「え…、マーレんところは大丈夫じゃなかったの?」


「うん…ちょっとね…、いつも行く道が歪んでたんだよ…」


「あ…その、大丈夫だった? マーレ」


「何とかね…あ、家も歪んでたよ。あたしの家は何とか大丈夫だったからよかったけど」


「良かった~、マーレが無事で…」


「ぷっ、ミリは大袈裟だな~」


 ミリが真面目に言ったにも関わらず、笑ってしまったマーレ。


「もう! 酷いよマーレ! せっかく私が心配してるのに~」


 怒るミリをマーレは優しく撫でる。


 なでなでなで


「ふにゃ…にゃあ♪」


 気持ちよくてミリは面白い声がでてしまった。


「可愛いな~ミリ。でも、あたしを心配してくれてありがと♪」


「は、恥ずかしいよ~///」


 その言葉にミリは顔を赤らめる。


「あ、そういえばミリ。学校の屋上にいるのって、マチじゃない?」


「え? …あ、本当だ」


目をこらえてみるとそこには本当にマチがいた。



 ■□■□■



 バザバサ…バザ…


「本当に…なったんだな…」


 屋上からマチが見上げて見ると、そこは、漆黒な空に歪んだ町々が広がっていた。


「あ~あ、見窄らしい町になっちゃったぁ~よ」


 マチの後ろにいたサク・サレが突然そんなことを言った。


「雑魚の分際でボクに許可なく喋んな! サク!!」


「あ…、申し訳ありませんマチ様。余りにも見窄らしかったのでつい…」


「だ・か・ら、喋んなと言ってんだよ!! サク!!」


「も、申し訳ありません!!」


 サクは土下座をする。


「チッ…、こんな事になるんだったら……くそ!!」


 バギャ……ビシッ…ボコ


 マーレは強く右拳を床に叩きけた。すると人がニ、三人くらい入れる大きな穴があいた。


「…この世界中の人口は何人だ? サク」


 何かに気づいたマチは急にサクを呼び、世界中の人口が何人か聞く。


「あ…えぁ~あ、その…あ…」


 急に聞かれたのでサクは驚いて、とりあえず土下座から通常に戻して、調べようとするが――


「おーっそい! お前のような雑魚でカスでも情報収集は晩飯前だろ!! このボクを待たせるな!」


 ビャコン!!


 サクが遅くてイライラしたので、右足で床を叩き始めた。


「ひぃ!! ………えっと、俺の解析では、世界中の人口は89億5842万639人…今、89億5842万640人になりました」


 異常な早さでサクは世界中の人口を言った。さらに増えたこともついでに言った。


「44億7921万320人か、全く持って少ない…」


「えっ、いきなりどうしたんスか?」


「あ~、破壊計算だ」


「…? 何スか、それ…」


 首を傾げるサク。


「今の地球を破壊、すなわち壊すと、どれだけ地球回復ができるかという計算だ。サク、覚えとけ!」


「でも…その計算式はどんなのですか? 俺はバカですし分かりません」


 またしても首を傾げるサク。


「んなもん簡単だサク。世界中の人口の半分だ」


「えっと…その半分の人間たちはどうなるんスか?」


 またまた首を傾げるサク。


「はっ? そんなもん決まってる。現実から跡形もなく消えてなくなる。そいつがいた存在さえも…」


 さらに話をつづけるマチ


「ついでに説明しておくぞ。この歪みは通常と五分五分なんだ。もしこの地球が壊れたとする。すると地球はなくなる。だが歪みが逆回転をし、地球は戻る。だが歪みは五分だ。歪みが戻るさい、五分五分の五分がなくなるということになり、人々が五分消されるんだ。でもそのかわりに歪みは五分なくなるんだ」


 長々と説明をしたマチはサクを見た。


「全て記憶させていただきました」


「よし、でもあと一つ方法があるんだよ…」


 マチは頷き、座った。


「え、教えてください!!」


 土下座で頼むサクを見たマチはこう言った。


「それは……鍵だ!!」



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