番外話♀小1というもの♀
この物語は、シングルマザーとその子ども(女の子)のある1日の、ほんの一場面を描いたものである。
「なぁにこれ?」
女の子は、茶色い和菓子のような食べ物を指差した。
「…これ? これは饅頭だよ」
その答えに女性は、饅頭と答えた。
「おかあさぁん、まんじゅうってなぁに?」
女の子はさらに、その答えの上に質問を重ねた。
「…ん〜とね、甘くておいしいものだよ」
女性は困りながらも、特徴である部分を答えた。
「へ〜、それで?」
女の子は腕を組み、次の答えをまちどおしそうに待っている。
「え? 他に…何か質問ある?」
だが女性は困ったので、強制的に切り替えた。
「んーとね〜…じゃあ、じゅくじょってなぁに?」
「…っ! あ、え〜…」
女の子のいきなりな意外な質問に戸惑いを隠せなかった。
それもそのはず、どう答えればいいのか、分からなかったからである。
「なになにぃ〜?」
『どうしよう? っていうか何故そんな言葉知ってるの? あ、テレビか…。ん〜でもどう答えよう? …!』
「ん〜、ママみたいな女の人をゆうのよ♪」
女性は少し頬を赤めながらも言った。
「…は? なにいってんの、ママ。わたしが言いたいのは宿所。ママがいってるのは熟じ……」
「あぁぁぁぁぁああ!! ああ! そうだ、歪無! なんか買ってほしいものある? なんでも、買えるものなら買ったげるよ?」
「やったぁ〜! じゃあ、最新ゲーム機買って? ついでにソフトも」
「…分かったわ。とりあえず行ってみましょう」
女性たちはコンビニを出た。
女性たちが出て行った後、客、店員たちのざわつきが…
「うわぁぁあ、すずし〜い」
「そうね、涼しいわ」
そして、ゲームショップに来た。
「あ、これこれ」
歪無はあるゲーム機を指した。
「ん? 二万…四千…八百…円…」
女性が首を傾げて値段を読んでいると、右後ろから足音が聞こえた。
「んじゃあママ、先レジ行ってるね?」
「ちょっとまってー!」
と、女性は歪無の手首を引っ張った。
その反動で歪無は、体が少し宙に浮かんだ。
「え〜なにぃ〜…」
「とりあえずそれをここにおいて、先に他の見ない?」
歪無の疑問形を聞かずして、女性はあたふたなりとも、噛まずに喋った。
「う〜ん…分かったぁ」
少し寂しそうに、ゲーム機を棚に戻した。
「あ、ママぁ〜」
少し歩いたところで、歪無が立ち止まった。
「ん、なぁに?」
と、女性はゆっくりと腰を下ろした。そこにはーーー
「ほこり」
ほこりだった。
「ちょっ…捨てなさい!」
腕を振り切って、女性は大きな声で言った。
「え〜」
いやそうな顔で、手に持ったほこりを回し始めた。
「え〜じゃない! 汚いでしょ」
さらに大きな声になったので、歪無は悲しそうな顔をしてーー
「…はぁい」
と言った。
「あ、ママぁ。みてみて〜」
と、途中で歪無が何かを見つけた。
「え〜なんか見つけたの〜?」
と、女性は歪無が指す場所を見た。
「18〜」
「…そうだね、18だね」
『これは止めた方がいいよね。悪影響を受けそうだし…』
「入ろっか?」
「あ、歪無〜有名人だよ〜」
「え〜どこ〜」
『よしっ! 逸らせれた』
「あ~いっちゃった~、惜しかったね~」
「う~ん…」
歪無は俯いた。
「…あ、そろそろ夕食作らないと…歪無、今日は何が食べたい?」
さすがに歪無がガッカリしたので、話を変えた女性。
「ん~とね、焼き肉!」
満面な笑みでそう言った。
「おぅ……よしっ! いっちゃおうか!」
『仕方ないよ…二万四千八百円よりはましだっ!』
「いっちゃおー!」
そう言うと、歪無が母の手を取り、ゆっくりと焼肉店に行ったのである・・・