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君が消えても、音は残った。

作者:白音透
「約束の音」——音楽を超えた絆の物語
二年間、声を出すことをやめた高校生・篠原結城。かつて起こした事故への罪悪感から、音を出すこと、誰かと関わることを恐れていた。その日々の中で、彼は透明人間のように学校生活を過ごしていた。周囲の笑い声や会話すべてが、自分には届かない別世界のものに思えていたのだ。
ある日の放課後、彼は旧音楽室でピアノを弾く少女・白石紬と出会う。下手だが、純粋な演奏。その音に心を動かされた結城は、二年間閉ざしていた心が、少しずつ開いていくのを感じた。紬の笑顔、彼女の音楽への向き合い方が、彼に再び音楽と向き合う勇気をもたらしたのだ。
しかし紬には秘密があった——進行性の難聴により、彼女は音を失いつつあったのだ。補聴器を装着しても、日に日に聞こえなくなっていく音の世界。音楽を愛する少女は、やがて訪れる無音の世界への深刻な恐怖を抱えながらも、結城と共に文化祭での演奏を目指すことを決意する。
「音が聞こえるうちに、たくさん音楽をしたい」
その切実な願いを胸に、二人は協力してオリジナル曲『約束の音』を作り上げる。ギターとピアノが織り成す温かい旋律には、二人の想い、絆、そして失われゆくものへの抵抗が込められていた。日々の練習の中で、二人の関係も深まっていく。
しかし本番当日、紬の体調は限界を迎えようとしていた。舞台に立つ彼女の青白い顔、震える手。音が聞こえない暗闇の中で、彼女は必死にピアノを弾く。一方、結城のギターは彼女を支える光となる。

失われゆく音。戻りつつある声。二つの魂が紡ぐこの物語は、音楽を超えた絆を描く感動的なストーリーである。二人が発見する真実——音楽とは、耳で聴くものではなく、心で感じ、誰かと分かち合うものなのだということ。障害や喪失を乗り越え、永遠につながる「約束の音」。それは、人生のあらゆる苦難を前にしても、希望を失わないことの大切さを教えてくれる。
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