Game 9
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Game 9
田中絵里は急に足を止めた。
何で私こんなところにいるの?
急にこれまでの記憶が飛んだような気がする。
どうして?
立ち止まり、考える。しかし、どうしても思い出せない。
気づいたら、ここにいた。という感じだ。
じっと考えていると、あることに気づいた。
あれ?この携帯誰のかな?
私の右手には見たこともないキラキラとした携帯が握り締められていた。
ますます疑問は増す。
一体、どういうこと?
一応、携帯の中身を確認することにした。
おそるおそる携帯を開くと、知らない女の子2人が、楽しそうに笑っているプリクラが写っていた。
誰だろう?
気になり、携帯のプロフィールを見て、確認する。少し躊躇いながら、携帯を操作する。幸い同じメーカーの携帯だったため、簡単に探し出せた。
【神崎春】
やっぱり知らない名前だ。
絵里はまた待ちうけ画面に戻した。
右側の女の子には、「はる」と書かれており、左側のおとなしそうな子には、「れいな」と書かれてあった。
まさか、私、泥棒した……?
絵里は急に不安になった。
無意識のうちにやってしまった。ってよくあるパターンのやつじゃない。どうしよう。
絵里はあたふたし始めた。
こういう場合ってどうすればいいの?
焦りはどんどん募る。
そうだ、盗んだ記憶がないから、拾ったことにしておこう。
絵里はあたりを見渡し、交番を捜した。
幸い、交番はすぐ目と鼻の先にあった。
でも、なかなか一歩が踏み出せない。
私、盗んでないよね?
しかし学校から帰る途中からここに来るまでの記憶がない。
自分を信じるか、疑うか。
「章弘……」
つい好きな人の名前を呟いてしまい、恥ずかしくなった。
聞こえてないよね?
というよりは周りにはあまり人はいない。
章弘、今日もデート忘れちゃってたなぁ。
そう落ち込んでいたら、
あれ?そういえば帰宅途中に、章弘にずっと電話してて、それから……。
思い出せそうと思ったが思い出せなかった。
今度は自分の携帯を開いた。
章弘と自分との数少ないプリクラの一枚が待ちうけとして表示されていた。
章弘だったら、どうする?
「知るかよ。盗んでねぇんなら早く交番に持っていったら?」
と、無愛想なことを言われるのを必至で、章弘に電話を駆けてみた。
やっぱり出ない。
章弘今頃何してるんだろう。
人の心配より、自分の心配をしなきゃ。
絵里は大きく深呼吸し、交番に向かって歩き出した。
そうだ!私は盗んでなんかいないんだ!
交番に入ろうとした瞬間、
やっぱり怖いよぉ。
と、引き返そうとした。
しかし遅かった。交番の中にいた制服警官と目が合った。すると彼は絵里に微笑み、こちらに向かってきた。
きゃー。来ないでー。
と叫びたかったがそうはできず、とうとうつかまってしまった。
「どうした、お嬢ちゃん?」
「私何も盗んでませんから許してください~」
絵里の目には涙が浮かんでいた。