Game 10
今回は長いですがどうか最後まで読んでください。
あと感想待ってます!!m(_ _)m
Game 10
「まぁ、たとえどっちかのコインがなくなってもゲームに負けるってだけだ!しぬとかありえねよ」
祐輔は無理やり笑顔を作った。俺にはそう見えた。
「と、とにかくだ。当たりと外れを見つけようぜ」
章弘も笑ってみせ、さっき座ったイスを調べ始めた。祐輔も同様に近くにあったイスを入念に調べだす。
「なんもねぇ。ただのイスだ」
章弘は違うイスを捜し始める。
「こっちもだ」
祐輔も違うイスに手を伸ばす。
「あった!」
章弘が突然声を上げた。
「どうした?」
祐輔が問うと、章弘は、
「じゃーん」
と自慢げにイスの裏側を祐輔に見せた。そこには、大きく『アタリ』と書かれていた。
「これ、楽勝じゃん!」
そう言って章弘はそのイスに腰掛けた。
「あってめー!先に座りやがって、ずりぃぞ」
祐輔が不平を言う。
「先に見つけたほうのものですぅ」
しかし章弘は聞かず、足と腕を組んでのんきに鼻歌を歌いだした。
「ちっ仕方ねぇな」
祐輔はそう呟いて、近くのイスに座った。
「またオレ様のコインが……」
祐輔がそう言った瞬間、彼の手元から5枚のコインがどこかへ跳んでいった。
祐輔は肩を落とす。一方章弘は上機嫌だ。
『それでは代ゲーム開始』
仮面男がそう言うと、2人はイスから立ち上がり、またイスを調べだす。
章弘はさきほど『アタリ』と示されていたイスの裏を見た。
「あれ?やっぱり一回当たりだったイスからはヒントが消えてる。不思議なイスだなぁ」
章弘が言うように、さっきのイスの浦には何も表示されていない。
「ま、どうにしろ座れないんだけどね」
章弘は鼻で笑ってちがうイスを調べだす。
「こいつも違うか」
章弘はまた別のイスを調べる。
「おい、やけにしずかじゃん?」
章弘はにやりとして祐輔に言った。
「さっきのそんな悔しかった?」
祐輔をばかにする。
「ちげぇよ。ちゃんと調べてるだけだよ」
祐輔は不機嫌になっていた。
章弘はまたもやにやりとして祐輔に言った。
「ねぇ祐輔くん、これ、見て」
章弘は満面の笑みで祐輔にイスの裏を見せる。
「オマエまさかまた見つけたのか!」
祐輔が大声を出した。
「え?なんも書いてないじゃん」
今度は疑問の声を投げかける。
「うっそーん。何もありませーん」
章弘はゲラゲラ笑い出す。対してだまされた祐輔は舌打ちをして、またイスを調べだす。
「おこんなよ。悪かった悪かった」
章弘は手を合わせて謝罪する。顔は笑っている。
「ささとみつけねぇと5分たつぞ」
祐輔は冷たく言い放った。
「へいへ~い」
章弘もイスを調べだす。
「あった~ん」
章弘が上機嫌な声を出す。
「よし!あったりー!」
章弘はそう言ってイスに座った。
「おいおいマジかよ……」
祐輔は溜息をついて適当に近くにあったイスに座った。
「次こそはオレが見つける」
祐輔はそういきごんだ。が、
「おい、祐輔。そこ、俺が最初座ったイス……」
章弘が今度は真面目に言う。
「は?うそだろ?」
祐輔は立ち上がる。
すると、仮面男がいきなりしゃべりだした。
『祐輔様、一度座ったイスにお座りになられましたね?よってルール違反とみなし、失格となります』
「は?やめろよ。またちがうイスに座るからさ」
祐輔は違うイスに座った。
『一度イスに座った場合、変更は認められません』
仮面男は冷たい声でそう言った。
「そんなん聞いてねぇぞ!」
祐輔が怒鳴った。
それを尻目に、仮面男は
『祐輔様、失格』
と言った。
「おいふざけんじゃねぇぞ!」
祐輔が立ち上がろうとした瞬間、何かが刺さるような音がした。
「祐輔、オマエ……」
章弘は目を丸くして祐輔を見つめる。いや、祐輔の、お腹を見つめた。
祐輔も自分のお腹を見た、そして、絶叫した。
祐輔の腹には、イスの背もたれから生えてきた長いとげに貫通されていた。
血が滲み出しているのが見えた。
「祐輔!祐輔!」
章弘はイスから立ち上がって祐輔のもとへかけよる。
祐輔は目を開けたまま死んでいた。