表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンデレラ召喚  作者: 桃巴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/30

シンディ29

 破顔したレオナルドと手を繋ぎ、寄り添って野薔薇を眺めましたわ。



 こうして、王子様とお姫様は幸せを掴みましたとさ。









 ……なーんて感じで、物語は『終わり』となりますでしょうが、現実は終わりの先があるのです!


 私リゼ、ただいま絶賛、超絶、悶え中です。

 自分の口があんなヒロイン台詞を発したのです。

 自覚すればするほど、恥ずかしさで籠城したい気持ちになります。

 ……あっ、ここ、すでに城でした。


「はあ、どうしよう……完全に沼ったわ」


 きっと、もう抜け出せない沼よね。


 認めたくはないけれど、レオナルドのおかげで不安はなくなって、今は案内された部屋にひとりでいるわ。


「……物語は素敵な場面で終わりだけど、その後は続くのよ。私、どうしたらいいの?」


 ちょっと、モジモジしちゃいます。

 ムズムズしちゃってます。

 ソワソワと心忙しなく。

 宙に浮いたような感じですの。


 野薔薇が飾られた花瓶が、嫌でも視界に入ります。


「実際、嫌ではないけど……」


 もう、自分がよくわからないわ。


「シンディ、忍び込んできてくれないかしら」

「リゼ姉、お呼びでしょうか?」


「ふへっ!?」


 思わず、天井を見上げました。


「あれ? いないわ。空耳……」

「いいえ、こちらに」


 ハッと声の方に向きます。


「王城の侍女に化けたのね」


 もう、驚きはしませんわ。

 だって、シンディだもの。

 王城の侍女の制服に身を包んで、部屋の隅に佇んでいます。


「メイトレン家は大丈夫?」


 シンディが柔らかく微笑んでいます。

 言わずもがな、ということね。


「全て上手くいっているわね。没落は回避されて、社交界にも復帰できましたし、月々の収入も確保できている。敷地内店舗も軌道に乗ることでしょう。使用人の危機ももうないし……」


 それもこれもシンディが獅子奮迅してくれたから。最初の宣言通りにね。

 そう……忘れていたけれど、最初の宣言通りじゃないの。



『……寄せて上げてで誰しもが認める立派なお胸に仕上げるから、安心してね、リゼ姉ちゃん。その残念なお(ぺちゃ)を、私シンディがなんとかしてあげる。じゃあ、また明日!』


 からの


『リゼ姉、大丈夫です。このシンディにお任せを。王子様イチコロの立派なレディに成らせられますように、ビシバシいきますから!』


 からの


『プロ』仕様の(たばか)りボディ、


 からの


『ムラムラくるお(ぺちゃ)はバルコニーの下にいる』


 そして、


 平地の君は野薔薇の君になってーの、ヒロイン症候群を経てヒーローと手を繋ぎ……今。


「シンディ、これからの展開はどうしたらいいのかしら?」

「私シンディに全てお任せを」


 力強い言葉に安堵するわ。


「万事滞りなく、結婚式の準備を致しますので、ごゆるりとお待ち下さいませ」

「ちょ、え、はい!?」


「気持ちが通じ、両家が知るところになりましたら、そういうものですので。まさか、異論反論ありませんわね、リゼ姉?」


 ひっ……

 本気眼(まじがん)本気顔(まじがん)で、本気(まじ)雁字搦(がんじがら)め。

 是しか認めぬ顔圧たるや、蛇に睨まれた蛙ですわ、私リゼ。


 コクコクと頭を盾に振りますの。


「では、私はこれにて失礼しますわ」


 タンッ


 という飛躍の瞬間、シンディは消えておりました。





 パパパパーン

 パパパパーン

 パパパ……

 …………

 ………………


 私リゼ、現在ブーケを手にしておりますの。

 シアに手を包まれて。


「リゼ姉様に次の幸せを」


 ウェディング姿のシアはとても美しいわ。

 その横にはラルク。メイトレン家に婿入りするラルクでしてよ。


 シンディめ、シンディめぇぇーー!


『結婚前にメイトレン家に一度戻りましょう』と促されて、感傷に浸り帰ってきたら。

 まさかのシアとラルクの結婚式だったわよ!


 そりゃあ、火事で救い出したラルクにシアが心惹かれたのはわかっていたけれど。

 確かにアーデルン夫人がシアの後見人ですけれど。

 件の会で、王子の列に並ばなかったのは、もうすでに決まっていたのね、水面下では。

 ……両家の知るところ、まさにでしてよね!


 私、シンディに完全におちょくられたのだわ!


「ええ、ありがとう」


 でも、いいの。シアが幸せそうに笑っているから。

 メイトレン家の安泰な未来が見れたから。


「リゼ姉、これで心置きなく嫁げますでしょ? 私シンディ、万事滞りなくちゃあーんと、準備しましたわ」

 

 シンディがウフフと笑いました。

 この笑顔にも私リゼ姉は弱いのよ。そう……最初からシンディの笑顔には魅了されていたし。


 やっぱり、家のシンデレラには逆らえないわ。


 そろそろ締めてもよろしい気が。

 終わりの先も幸せが続きましたとさ。





 王城への帰路。


「何か忘れている気がするわ」


 小首を傾げました。


「ちゃんとブーケは持ってきているぞ」


 レオナルドが言いました。


「うーん、そういうのでなく……」


「そのうち思い出すさ。そういえば、遠洋から活きのいい魚が届くそうだ。最新の漁船はそういう設備が整えられていると聞いた」


 あ!


 忘れ去られた存在を思い出しました。

 父上の存在を。


「……ま、いっか。ウフフ」


 レオナルドと手を繋いで王城への帰りましたわ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ