表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンデレラ召喚  作者: 桃巴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/30

シンディ27

 パッカパッカパッカパッカ


「……」


 なぜに私まで、狩りに同行なのよ。


 パッカパッカパッカパッカ


「風が気持ち良いな」


 なぜにこいつと同じ馬に乗っているのよ。


 パッカパッカパッカパッカ


 ……でも、仕方なかったわ。

 皇太子を平手打ちしちゃったから。

 手打ちにされても仕方がなかったけれど。

 実際に近衛が剣の柄に手をかけたのだけれど。


『今はただのレオナルドだから、問題ない』と、制してくれたの。


『狩り場デートに一緒に行ってくれるよな?』との脅し文句つきで。私の乗馬服まで準備する周到さを見せてね。つまり、断れない状況だったのよ。


 私リゼ、平常心を失ってしまって、失態しちゃったわ。


 それもこれも、シンディのせいよ!

 諸悪の根源よ!

 ……きょわいから、逆らえないけれど。


 そのシンディは一行の先導をしているわ。

 いったい、どこに向かっているのかしら?


 パッカパッカパッカパッカ


 ……視線を感じます。

 超背後から。


「レオナルド」

「な、何も見ていないぞ! べ、別に背後にいるからと、覗くなどするものか!」


「見事なまでの自白ですね、変態」


 レオナルドのせいで、謀り仕上げなく、ありのままの自慢のボディでしてよ。


「好物を目の前によそ見するするほど、私は不誠実な男ではないのでな」

「素敵に言い換えていますが、単に自制ができない男性ということですわね」


「なるほど、わかったぞ。お預けを食らうという気持ちが」

「そこまで、私たち進展していまして?」


「じゃあ、どの程度の進展具合?」

「単なる顧客と店員ですわね。会って二日で気を許すほど安い女ではありませんの」


「私は一目でリゼだと決めた」

「っ!」


 耳元で言わないでよ!


「身体目当てでしょ!?」

「身体も目当てだ!」


 くぅぅ……なんでも言い返してくるのね。


「もうすぐ、到着します!」


 先導のシンディが大声を出しました。

 目前になだらかな丘と小道。緑眩い木々がそよ風で葉を揺らしているわ。


「丘を登ると廃教会があります」


 あ!

 つまりは、メイトレン家の所有なのね、この辺りは。

 ……うん、確かに何もない。

 建物は、見上げた先の廃教会しかないもの。

 母上の手元に残った理由がわかるわ。


 今は、アーデルン家の沿岸見張り番が在中しているはず。


「さて、行こう」

「何を狩りますの?」


「リゼの心を」

「ふっ」


 鼻で笑ってさしあげましたわ。




 廃教会横に陣幕が張られ、そこでのんびり座っております。

 随行騎士が私の警護のために数名残っていますが、他は狩りに出かけています。

 シンディもなの。


「確かに気持ち良いわ」


 海風が吹く丘の上。

 そして、廃教会。

 確かに二人だけで誓い合うのにふさわしい雰囲気よね。


「フフ」

「どちらに?」


 立ち上がった私に、騎士の方がついてきます。


「廃教会の中を」


 見てみたくなったから。


「ご一緒します」

「……よろしいの? 殿下が拗ねなければいいのだけど」


 自分より先に、騎士が私と一緒に廃教会に入ったとなれば。


「それは、そうですね」


 騎士の方が苦笑いしております。


「大丈夫よ。中にはアーデルン家の在中の者も居ますから」


 廃教会の上階鐘つき部屋にですが。灯台代わりにしているのです。


「では、何かあれば大声でお知らせください」

「ええ、わかりました」


 私は廃教会の扉に手をかけて開きましたの。


 アーデルン家の方が、廃教会をところどころ修繕してくれていて、中は整然としております。


「綺麗……」


 真正面のステンドグラスの美しいこと。

 何箇所か欠けていますが、そこからの光の差し込みもまた神々しくて。


「素敵、私もここで誓いたいわ」


 脳裏を過ったのは、レオナルド。

 いけないいけない、雰囲気にのまれちゃっていますわ。

 小さく首を横に振ります。


「簡単に絆されないわよ」


 椅子に座りしばし眺めておりました。



 ガコンッ!

 バサバサ

 キーン

 カキーン

 ザザザザ



「え?」


 何やら、外が騒がしくなっています。


 ドドドドドドドド


 上階から降りてくる足音がして、


「襲撃のようだ。お嬢さん隠れて。俺らが引きつける」


 アーデルン家の者が降りるや否や、私を椅子の下へと促します。

 教会の箱型ベンチ椅子だから、身を隠せます。

 お二方はそのまま、出入り口に向かって行きました。


 私の視界には、足が見えるだけ。

 そのとき、


 バッターンッ


 出入り口から二人入ってきました。

 騒動のせいでしょうか、誇りが舞っています。


「どこだ!? どこに居る!?」


「おいおい、なんだい、あんたら?」

「ここには俺らしかいねえぞ。沿岸の見張り番だ」


 アーデルン家のお二方ですわ。


「さっさと、出してもらおうか。ここに『華』を隠してんだろ?」


 ドクン


 大きく跳ね上がった鼓動が、早鐘を打ち始めます。


 外ではまだ応戦が続いているのでしょう。剣の打ち合う音が続いています。


 どうしよう……。


「痛い目に遭いたくなけりゃあ、とっとと出しな」


 ボコッ


「ウッ、ケホッ」


「すまねえ、先に手が出ちまった。おーい、こいつがどうなってもいいのかーい、出ーておーいでー」


 アーデルン家のおひとりが踞って、床に押さえられました。

 その瞳が私を捉えています。

 出るな、と目が訴えています。


 小さく首を横に振りました。

 出なくても、どうせ見つかってしまう未来しか描けないもの。


 砂埃が上からパラパラと落ちてきます。

 鼻がムズムズして……


「クシュン、ここですわ!」


 私は立ち上がりました。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ