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シンデレラ召喚  作者: 桃巴


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シンディ22

 それから、二週間、エルラとドリは家事をみっちりシンディに叩き込まれていますわ。


 そして、ドリには第二店舗を任せるとシンディが判断しましたの。

 侍女だったので、ドレスの着付け、髪結い、お化粧はお手の物だから。


 何より、私たち不在時を任せられるから。


 シアと後見人のアーデルン夫人は昼の部、初日。

 私リゼとシンディ、保護者の母上は夜の部、三日めに出席しますから。




 そうしてーー件の会、三日前になりました。

 予約は九割埋まっています。

 本番に向けて、皆準備に余念がありません。


「今日は最終のドレス調整よ。と言っても、リゼ、シア、シンディのね」


 母上がおっしゃいました。

 お店のことで忙しく、私たちの最終調整がまだでしたの。


 閉店後の第二店舗にて、ドレスを着用しました。


 シアは昼の部なので、デイドレスを。

 私リゼとシンディは、舞踏会用のドレスです。


「微調整は……なさそうね」


 母上が私たちのドレスをチェックしています。


 姿見に映る私は……(かさ)増し(たばか)りボディですの。

 胸が苦しいわ。色々と違った意味で。


「母上、あの……ちょっと、増し過ぎかと思います」


 私は偽造の谷間に視線を落としました。


「リゼ姉、いつもより、多く入れておりますから」


 シンディが言いました。

 何よ、そのサービスしときましたわ、みたいな自慢げな顔は。


「皆様、素敵です」


 エルラが言いました。

 着用後のひと声は召使いとして必須ですものね。

 思い出しますわ、我先にと馬車に乗ったラルクよりも、エルラはわきまえている。

 ……きょわいシンディに叩き込まれているおかげでもあるかしら。


「エルラも本当は夜会に出たい?」


 エルラがちょっとだけ顔をしかめます。


「私は、もうドレスを着たくはないですね。母国でさんざん茶会やら園遊会やら、舞踏会に晩餐会と出席して、嫌気が差しております。ドレスを着て、煌びやかな世界に浸れるのは、そこが伏魔殿だとわかるまでの儚い時間だけですから」


 うわあーお、実感がこもっているわね。


「確かに、そうね。社交デビューしても、ウキウキワクワクと楽しかったのは、最初の数回だけだったわ。後は、言葉裏での応酬合戦だもの」

「でも、今はそこに出陣して、メイトレン家は益を得ていますわ。お仕事よね」


 私リゼとシアでウンウンと頷き合います。

 今回の会も、隅々に目を光らせて情報を得ようと企んでおりますし。

 王子など、どうでも良いのです。


「全く、家の娘たちは夢のないことを」


 母上が呆れております。


「だって、王子様に憧れるのも卒業済みですし、見初められるなんて確率は限りなく(ぜぇろぉ)、ってわかっておりますもの」

「そうそう。でも仮にリゼ姉様が見初められでもしたら……」


 シアが言い淀みます。


「したら?」

「謀った罪をどう言い逃れするか、考えておくべきよね」


 皆が、私の偽造の谷間を見ています。


「大丈夫。そんなことにはならないから。そうね……言い訳を考えるなら、『襲撃に備えた防具です』と開き直るわ」

「それなら、キューピットの矢が刺さっても痛くないように、と付け加えておきましょう」


 シンディが言ったわ。

 なんて、ウィットに富んでいるのかしら。

 私たちは、クスクスと笑ったのよ。



 でもね……

 本当に白羽の矢が立つ、なんて思ってもいなかったわよ、このときは!




 初日、昼の部。

 その早朝、密かな訪問がありました。


「ご迷惑をおかけしております」


 トルクさんが深々と頭を下げられました。


「はて、なんのことかしら? そうそう、廃教会を追い出され、路頭に迷っていた修道女と孤児を雇って、メイトレン家もやっと使用人が増えたのよ」


 母上がおっしゃいました。

 この受け答えに関しては、シンディが決めていたの。


「……なるほど、辻褄が合うわけですね。もし、追っ手が捜索しても謀れるように」


 流石、トルクさん。理解が早いわ。


「メイトレン家から廃教会を借りたアーデルン家が、廃教会に住み着いていた修道女と孤児を見つけ、文句があるならメイトレン家に行けと追い出した。そこで、メイトレン家は使用人として雇った。という筋書きですね」


「筋書きでなく、それが真実ですわ」


 母上がエルラとドリを見ます。


「はい。その通りです。アーデルン家もメイトレン家も私たちの素性を知らぬ体にしておくべきでしょう。この国に後々迷惑がかからないように。素性がバレても、両家は知らぬ存ぜぬと通せますから」


 エルラが言ったわ。

 それも、シンディの案なの。


「両家は私たちが姫や侍女だとわかっていないからこそ、使用人としてこき使っている事実がちゃんと残りますもの」


 もう、ドリに言わせることなく、エルラが発したの。

 トルクさんが頷きます。


「以降、この話は致しません。では、私はこれで」


 トルクさんが会釈してから、メイトレン家を後にしましたわ。

 それを皆で見送りました。

 私たちも、トルクさんと同じで、この話を蒸し返しません。


 そして、

 朝食でお腹を満たし、いざ、開店となりました。





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