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シンデレラ召喚  作者: 桃巴


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20/30

シンディ20

 二回りほど小さくなってしまった屋敷ですが、母上もシアもテンション爆上がりでしてよ。


 母上なんて感極まって泣いておられます。

 シアは私室の本棚に歓喜しています。だって、本棚が埋まっていたから。

 シンディと一緒に新書を買ったのよ。


「母様には、これを」


 シンディが母上に精巧な細工の箱を渡しました。

 ちょっと煤けております。


「嘘!? これ、燃えなかったの?」


 母上は箱を開けて中を確認しましたわ。

 母上が整理した書類です。

 廃教会の権利書も無事でしたの。


「この箱は、魔術付加しておりますから」


 シンディの言葉に、母上が目をパチクリさせています。


「……本当だったのね。旦那様が大枚はたいて入手した箱だったのよ。『魔法使いの禁書箱だ』とかなんとか……」


 あの破天荒の面を被った平々凡々以下の父上が!?

 こんな好プレイをしてくれるなんて……槍が降りそう。


「いえ、『魔術付加至宝箱』が正式です。……確か千年ほど前に竜人族の依頼で私が作ったのです。あの時は、マジックアイテムを生み出す魔術士でしたね。竜の鱗を使った特注品ですよ。メイトレン家で母様の部屋で見つけたときには、懐かしく思いました」


「「「……」」」


 母上も私リゼも、シアも無言です。

 詳しくは訊かないでおきましょう、三人で瞳の会話をしました。


「あ、皆様おかえりでしたか」


 店舗作業をしていたラルクの登場です。


「ラルク!」


 シアがラルクに満面の笑みを向けます。

 火中からシアを救い出したラルクですから。


「これで、メイトレン家全員揃いましたね」


 皆の笑顔が弾けましたわ。




 件の会、二週間前になり、ポツポツだったレンタル予約が、一気に埋まり始めました。


 事前のレンタルドレス決めのための訪問で、店舗はフル稼働。

 母上は接客兼ドレスのアドバイザー。昼用ドレスと夜用ドレスは違いますから。

 シアはドレスの貸し出し管理と会計。当日、ドレスが被らないように表にしたり、帳簿などを担当。

 私リゼはアーデルン家との連携、紹介された方々とのやり取りや、当日の流れの説明役。一応、店長。


 シンディは……なんと、第二店舗をレンタルドレス店舗横に建てたわ。

 第二店舗は、ドレスの着付けと髪結い、お化粧をするお店。

 確かに不慣れなドレスの着付けや髪のセット、お化粧は必要だものね。


 ですが、

 絶対必要な靴だけはレンタル品にはありません。

 だって、靴だけは本人の足に合うものでないと、歩くこともままならないから。


 それは、メイトレン家全員の総意です。


「はあぁあ、今日も疲れたわ」


 店舗の鍵を締めて屋敷に向かいます。


「お腹がペコペコね」


 母上がお腹を擦っています。


「あら?」


 門扉の方に灯火が揺れています。

 誰かご訪問のよう。もう、夜に近い夕刻ではっきり顔は見えません。ですが、影は二名。

 保護者と娘、に見えます。


「まだ予約の方いたかしら?」


 シアに確認します。


「こんな時間に予約は入れないわ」


 シアが答えました。


 カラーンカラーン


 門扉の訪問ベルが鳴ります。

 屋敷から、ラルクが出てきました。


 私たちはラルクに対応を任せて見守ります。


「早くシンディの夕食が食べたいのに」


 シアが呟きます。


 と、ラルクが私たちの方へ戻ってきました。


「修道女さんとお嬢さんの訪問です。アーデルン家からの紹介でなく、弟のトルクが内密に寄越したそうで……これを渡されました」


 ラルクが母上に文を渡しました。

 それを読んだ母上は、すぐにお二人を屋敷に迎えましたの。


 見るからにボロボロで疲労困憊の二人でした。

 服は土まみれ、ほつれや破れが目立ちます。何よりも顔色が悪くて、頬がやつれているの。

 何かご事情があるとひと目でわかります。


「ご夕食は?」


 玄関先でシンディが母上に訊きました。


 ギュウルルルルゥゥゥゥ


 お腹が鳴ったのは、お嬢さん。


「夕食にご招待致しますわ」


 母上は修道女とお嬢さんにおっしゃいました。


「あ、りがとう、ございます」


 お二人は深々と頭を下げます。


「シンディ、着替えをお願いできるかしら?」


 母上がシンディにトルクさんからの文を渡しました。

 シンディは文をサッと読んで頷きます。


「かしこまりました、こちらへどうぞ」


 シンディが文を私に渡してから、二人を連れていきます。

 私とシアはその文を確認します。


***

(エルラ)姫とその侍女

頼みます

トルク

***


 逼迫した文であることがわかります。

 短文がその証拠。

 必要な情報しか記されていませんもの。


 でも、まさかのB姫とは……第二王子の元婚約者よね。


 帰国の途についたのではなかったの?

 本当に何があったのかしら?


 それは、夕食時明かされますの。





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