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シンディ1
その日、二年ぶりに帰還した放浪癖のある破天荒な父上が連れてきたのは、巷で流行中の召喚術なるもので異世界から召喚してきたという少女でした。
名はシンディ、にしておく。
なあーんて、父が宣った。
「よろしくお願い致します。母様、ネキ一様、ネキ二様」
シンディはそう言って挨拶しましたの。
「……ネ、ネキ?」
聞き慣れない言葉でした。
「アネキのネキですわ。お姉様以上の親愛を込めて。ウフフ」
満面の笑みで答えちゃって、それには……私たち、お姉様改めネキの一&二はコロッとオチましたの。今思うと、あれは……巷でいうところの、魅了とやらだったのではないかと疑っております。
こうして、私たち家族に召喚者シンディが仲間入りしました。
メイトレン家、最大の過ちにして最大の祝福であったと思います。
ーーはじまり、はじまりーー
続きは8月2日より公開開始予定。
少々お待ち下さいませ。