第319話 最後の扉
袋から顔だけ出したガレティレを隊員に運ばせる
このダンジョンから出ればミルミミスもロムもいる
戦闘系ではないにしてもここまでやれば拘束は出来そうだ
次の扉は何が書いてあるのか?
「よく探して!です!」
探すって何をだろうか?
注意して扉を開ける
さっきいたガレティレは隊長と言っていたしそれ以上の人がいるのかもしれない
開けるとそこは私の像が並んでいたように、人型の『何か』が並んでいた
黒い包帯のようなものでつま先から頭の天辺まで覆われたなにか
50体は居るだろうか?一体一体が体育座りしているミイラのようにみえる
ただここは・・・洋介との繋がりを感じる
さらに次の扉がない
ここに洋介が居る?
「母上っ!」
「えっ」
「敵だっ!?ウグッ!」
関羽に押されて何かが後ろから通り過ぎた
黒い何かが襲いかかってきて隊員の1人が斬られた
バットを振るようにハルバードを黒い人影に向かってフルスイングした
「ガッ!!?」
体勢が崩れていたし刃を向けていたわけではない、ただ何かが引っかかってそれを壁に叩きつけることが出来た
引っかかっただけだが無理やり、力いっぱい振りきった
「何奴!」
私はそのまま床にぶつかるように落ちたが関羽が前に出て追撃した
だけど黒いそいつは壁伝いにぬるりと奥に逃げていった
関羽も肩から血を流している
大きく2人の距離が離れ、関羽もそいつもなにかの玉を取り出して床に叩きつけて割った
「・・・!」
「・・・!」
にらみ合う2人
周りの黒い包帯と同じような装いだった男だが関羽の一閃が掠ったのか目元まで覆われた黒い包帯がはらりと落ちていく
黒目に黒髪、黄色人種、やや細身で・・・日本人?
よく見れば持っているのはどう見ても日本刀だ
「母上!おそらくここに父上がいるはずです!やつも聖王に連絡をとったかと!急ぎましょう!!」
「やるな貴様!!」
「某は関羽・ヴァン・元杉!貴殿の名は!?」
顔の包帯を剥ぎ取った男
日本人だが無精髭に痩けた頬、耳にイヤリングを付けて、真っ黒な包帯に覆われた男
「俺はタヌカ!サトゥ・タヌカだ!!聖下とは同郷らしい!」
「勇者の子孫か!相手にとって不足無し!!」
関羽が胸の中央を突くと刀で受け流しつつ佐藤なのか田中は後ろに下った
ギャリッ
タヌカは何も持ってない手を関羽に向かって振った
「すまんな!まともに相手をする気はない!!!」
タヌカが手を振った延長線上を関羽が前腕の手甲で守った
関羽は何かで服が切れた
魔法、いや魔導具か?
「ミーキュ!父上を探して連れて行け!」
「はい!です!」
すでにミーキュは何体かの黒ミイラの人型の顔の部分を切って洋介を探していた
私は少し前に出て作業をしている奈美や隊員をかばえる立ち位置に立って魔力で全身を強化した
ミーキュに向かって何かが飛んでいく
カァン!
私は間に入ってそれを打ち払う
手裏剣!?
ハルバードは威力も攻撃範囲もいい武器だ、だけど等間隔に人質の並んだここでは使えない
関羽は人質の間をするすると動くタヌカを猛然と攻めていた
器用にも超重量のハルバードを木の枝でも振るように人質の間を縫って振るい、タヌカを追い詰めていた
だがタヌカも負けておらず後ろに下がりつつも関羽を傷つけていく
「うぉっ!!!??」
壁際まで追い詰められたタヌカが飛び道具を関羽に放った瞬間に私はハルバードを投擲した
どうせ持っていても使いにくいしね
当たりはしなかったが人質を無視したタヌカの見えない攻撃と手裏剣を止めさせる事が出来た
関羽は人質を考慮してかその体で見えない攻撃を受けていたしそれを止めさせることが出来ただけで充分だ
私も盾と棍棒を取り出して参戦する
このまま壁際のスペースで倒してしまいたい
「降参・・降参だ!!」
「なら武器を降ろせ!!」
「わかったよ」
刀を床においたタヌカ
だが正座になってすぐに両手を大の字に広げた
関羽が持っていたハルバードがいきなり私に飛んできた
「母上っ!!?」
避けきれずそれを盾で受け、私は交通事故のような衝撃を受けた
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