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第173話 牢獄の生活


石化で精神的ショックがあったのか1日目は皆、崩れるように寝た


そうやれることがなかったからか、石化で疲労していたのかもしれない


初めに集められた大部屋が一つ、トイレ部屋が一つ、そしてなにもない小部屋がいくつもあるだけ


スープは瓶から無限に湧き出るしスープ皿は積み上げられている、洗うことも出来ない


あとはいくら進んでもループしている廊下だ



すでに何人かはこの状況に耐えられなくなっている



「眠りたくない眠りたくない眠りたくない眠りたくない眠ったらまたああなるかもしれない」


「一緒にいてくれ・・こんなところで一人になるなんて耐えられないんだ!」


「離れろおっさん!」


「レアナー教を讃えよ!レアナー教を讃えよ!!」



初めに俺達に声を上げた男は余裕そうにしている



「A、お前はどう思う?」



名前はA、はじめに声を上げたからだ



「G、俺は目的があるんだと思ってる、俺たちが動けているのがその証だ」



俺はまず床を叩いてみたり音を聞こうとしたところを見られてグラウンドのGと呼ばれた



「というと?」


「俺たちがタイムストップしてたのをわざわざ解除する必要はなかったはずだ、俺たちにやらせたいことがあるんだろうよ」


「・・・だといいな」


「あぁ」



たしかに「働いたり協力的だったらいい事があります」と言っていたはずだ


下らない腹のさぐりあいをして時間を潰しているとゴゴゴゴゴゴゴゴとすごい音がした


地震の中心にいるかのような大きな音だ


ひどく振動し、座っていたことが幸運とも思える



「おい!部屋が増えたぞ!」



見に行くと幾つかの部屋が増えていた


なにか書いている



「好きに書け」「レアナー教信徒になりませんか?」「働くかは自由」



どういうことだ?意味のわかるやつが読んでくれた



「好きに書け」の部屋ではコピー用紙とボールペンがある


机も椅子もないが、これは所属する組織について告発しろということか?それとも他国の機密情報でも書けば良いのか?



「信徒になりませんか?」の部屋ではレアナー神像がある


像には見えない壁があり触れられない



「働く部屋」は幾つかあった


ダンボールからでてくる造花、レアナー教の刺繍をしろという指示に素材に針と糸


なにかの装置に四本の丸太がでている部屋、床に矢印があることから回せということだろう



「オラァ!!」


「やめろっ危な」



騒ぎの部屋を見に行くとすでに終わっていた


固まって転がる男達


転がるナイフと斧


この部屋には木材があり木を削るための斧やナイフが存在している



どうやら安全機能は働いているようだ


作業に使うペンや針、ナイフは各部屋から持ち出せもしない



やってられるかと新たな部屋の天井や壁を調べるもの、祈るもの、字を書くもの、働くもの、様々だ


道具や素材を取り合って一心に何か作りはじめ、みんな途中でクソ不味いスープを飲んだりトイレに行ったりした



「いでっ」



1人が自分のナイフで怪我をしたと思ったら石化した



自爆もダメなのか・・・



簡易的な椅子を作ったものがいた、なにせ丸太を切っただけ


気持ちはわかる、ここでまともに座れるものと言えばオープンタイプの何人も並んで座るタイプのトイレ以外には存在しない


トイレの紙がなくなればどうなるんだろうか?そしてトイレの先に行こうとした男はどうなったんだろうか?



座り心地を確かめたものは石化した


どういうことだ?彼は攻撃行為も自傷に当たりそうな行動もとっていなかった


尻に棘でも刺さったか?


周りの人間も何かが出来るたびに1人ずつ石化していく、どういうことだろうか?


恐怖感はあった、だがおそらく一度石化することで何かが起きるんだろう



ストレスか頭をかいて暴れるものもいるが、どんどん石化していっている


その中で俺が最後だろうか?



俺は木材でコップを作った


カナダ出身の妻の父に教えてもらったコップの作り方だ、側面にレアナーを彫り込んでいく


乾燥も足りてないしサンドペーパーで削りたいところだがナイフではこれが限界だ



気がついたら俺も石化し、意識が飛んでまた大広間にいた


各自、目の前に以前と違うものがある


俺の目の前にはパンツと荒いシャツ、それと軍手があった


周りで奪おうとしたものもいたがこりもせずに石化している


廊下で寝ていたものの前には何もない



「なるほどな」



ここでのルールがなんとなくわかった


労働には対価が支払われる


黄色人種のグループは謎の装置の部屋を占領していたがパンツをもらっている



おそらく俺の労働は気に入られたんだろう、俺とAは他の人間と違って上着を与えられている


質はそこまで良くはなさそうだがシャツ一つ着ただけでやはり安心した


飯を食ってからレアナー様の前で祈る、家に帰らせてくれと


それとレアナー様の姿や教会のシンボルマーク、レアナー様の部屋だけわずかに見える柱や入口のドアの装飾を見ておく、覚えておけば木工で便利かもしれない


次いで紙とペンでサンドペーパーや彫り物の道具があったらもうちょっとうまく出来ると書いておく、削りやすい木材の種類や塗る油の種類も


働きの間に行くと木材は補充されていた


それとすでに何人か石化している、退けるのは結構邪魔だな



「思いついた!」


1人が木材を石化した人間のところに持ってきた


長髪で背は高く細い石化した人間


何をするつもりだと見ていると石化して固まった彼のふわりと散った髪を木材に当ててギコギコと・・・あ、石化した



「馬鹿め」


「アイデアは良かったかもしれんがな」



そして昨日と同じく木材を彫り込んでいく、今度はコップではなく単なる台だ


教会における祭具は様々な台があった、どう評価されるかは分からないがやるだけやっていこう


先日はのこぎりを占領して木材を配っていたマッチョがパンツをもらっていたことから集団行動も評価されたものがいることがわかった



「のこぎりをよこせ!」


「やめとけって、これはお前らのためでもあるんだ」


「何だと?」


「こののこぎりはお前らが思ってるものじゃない、これは引いて切るものだ、意味がわかるか?」


「は?のこぎりなんてどれも同じだろ?」


「いや違う、ステイツののこぎりは押して切るものだがこれは引いて切るジャパニーズモデルで精密にできていて壊れやすい、俺は趣味で木工をしてるんでな、お互いのためにこれは任せてくれねーか?」


「ぬぅう」


「ほーらこんなに薄いんだ」



ビヨンビヨンと信じられないほど薄いのこぎりだ


ステイツののこぎりは押して切るものが多く、分厚く頑丈だ


いつかここを出れたらホームセンターで見れる日が来るんだろうか?



評価やコメントなど、ぜひぜひよろしくお願いします✨


僕は皆様に評価いただけて嬉しくて書けているまであります(*´ω`*)

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