第13話 乙女不運
私には彼がいた
吉川春樹
癖っ毛のある茶髪に清潔感のあるスタイルに合った服装
同じ講義で話が面白くて3年になって付き合い始めた
結婚を約束した、大好きな彼
「いいじゃん、付き合って半年だぜ?そろそろ旅行とかホテルとかさ」
「ごめん体調悪くてさ」
私もそういうことには興味がある
だけど「卒業してすぐに結婚しようか」なんて話していたしどうせならロマンチックにしてみたいという気持ちもあった
そういうのを抜きにしてここ一週間は気分が酷く悪い
大学の3年後期、少し講義を入れすぎてテストとレポートが一気に来たからかな
「ごはんよー」
出たい講義の曜日が偏ってるのよね
ちょっと夜更かししたり無理もした
多分それとは関係なく体がだるい気もする
「・・・はーい」
朝ごはんと母さんが呼んでる
起き上がるどころか布団から出るのも辛い
ここ最近いつもだ、寝不足か頑張りすぎて過労?気味になってるのかもしれない
今日絶対病院行こう・・スケジュールは・・・だめ、みんなで春休みのプチ旅行の計画建てるんだっけ、最近春樹のこと蔑ろにしてたからなぁ
ちゃんと話せるといいんだけど・・あ、これだめなやつだ
階段を降りようとして、一気に視界が暗くなった
次に目を覚ましたのは病院だった
片目が見えない、いや包帯の中では少し見えるんだけど
「気が付いた!?」
「自分が誰かわかるか?」
「とにかくナースコール」
私は階段から落ちたらしい
しかも顔から、下手したら死んでた、植物人間や半身不随の可能性だってあったそうだ
鏡を見るとフランケンシュタイン、いや包帯人間だ、ミイラだったかな
全身どこを動かそうとしても痛みが走る
包帯で覆われてるってことは顔も酷いことになってるんだろうな
前歯も折れたのだろう、ざらついた感じが舌でわかってぞっとする
・・・でも、命があっただけ儲けものかな
倒れた原因も分かんないし、検査のためにもしばらく入院ってことになった
多分過労か貧血だと思うんだけどなぁ
それより早く治して旅行の・・この顔じゃ無理だ、外歩きたくない
春休み終わるまでに治るかな?
単位前倒ししてとっててよかったー・・・あ、やば
はっとしてスマホをチェックする
メッセ結構きてるなー
私が旅行先の候補まとめてたし、みんなの1日潰したかー
口の中も首も痛いしまだ話すのはちょっときつい
-ごめん、ちょっと階段から落ちて入院した-
すぐに友達からかかってくるけどすぐにきる
看護師さんにも言われたし親とも話したけど個室に空きがなくて4人部屋だ
私以外男性だがみんなほとんど動けないらしい
-ごめん、4人部屋でさ、あんま動けないからメッセだけでお願い-
-大丈夫?怪我は?-
-ダイジョブ!って言いたいけど死ななかっただけ良かったかな、顔から落ちたしすごい痛い-
-そっか、お大事にね、体のこと一番にね!-
直ぐに連絡が来ることに安心する
-ありがと、今日はどうなったの?-
-だべってただけー、あ、借りてた本返したいんだけど、試験助かったわー、またなんか奢るよー-
-試験いけた?-
-どうだろ?あの先生結構落としてくるしね-
-たしかに-
-入院してるなら何でも行ってくれれば手伝うよ!-
-ありがと、でもまだ来てほしくないかなー、顔から行ってるしね、醜いもんよ-
-あんたは美人だからそれでトントンじゃない?-
ちょっとくすっと来る
この親友には本当に辛いときでもなんでも話せるしこうやって冗談も言える間柄だ
面と向かって会ったらまだたまに人見知りが発動することもあるけどメッセだと普通に話せる
-まじやばいからね?冗談抜きで-
-ごめんって!でも私も事故したことあるしそういうときは助け合いよ!なにか助けてほしいことある?-
-あー、スマホの充電ケーブルとか無くてさ、親も機械音痴だしモバイルバッテリー借りたいかも-
-わかった持ってくね!-
持つべきものは親友だ
春樹にもメッセは入れたが連絡はこない
もう結構な遅い時間だし、嫌でもまだ起きてる時間なのに・・
病院での生活のこととかやっぱり買ってきてもらうことにしたモバイルバッテリーについてとか話していて、いつのまにか寝ていた
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