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少年神官系勇者―異世界から帰還する―  作者: mono-zo
―異世界から帰ってきた少年―
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第11話 ショタ神官と国家権力<警察サイド>


いつもの日常、いい天気、今日もこの街に乱れなし!



と、思いたいところだけど朝礼では昨日病院で患者が騒いだそうだ



病院患者が集団で騒ぐとか何かあったのかもしれない


だが騒動などこの仕事についていれば日常茶飯事だ、なにせ騒動があればそこに行ってどうにかするのも仕事だからだ


患者がいきなり集団でスポーツマンのように健康になって暴れるなんて珍しい、新薬か何かかって署内で話題になってた



パトロールしていると不審すぎる少年を見つけた



見たことのない民族服に読みにくい字で「信とぼしゅう中」と、だんだん小さくなり右に曲がっていってる字の看板、何か他の文字も書いているが読めない


肌の色は日本人、中学生?いや小学生ぐらいかな?150センチほど、見えているわずかに覗く手首や足首から少し痩せているようにも見える



宗教の勧誘で看板を使ってる?



いや普通に考えてこんなに頭の悪い方法は使わないし、いじめか罰ゲームかな?それにしては服がこっている


中世とかゲームの西洋系の神官服に見える


いや、何にせよ声をかけるべきだろう、周りに撮影でもしてるいじめっ子でも・・いないか



「こんにちは」


「こんにちは」



にこりと笑いかけて挨拶してくれた少年


よかった日本語が通じた



「何してるの?」


「いま病院に行ってるとこです」



まさか患者?しかしそれなら保護者は・・やはり周りに人影はいない



「一人で?お父さんとお母さんは?」



少しうつむいた少年



「5年前にふたりとも事故で」


「っごめんね!でも職務上の質問だから、あ、そうだ、すぐそこが交番なんだけどお茶でも飲んでいかない?話が聞きたくてね」



無神経なことを聞いてしまった、もしかしたらこの子を探してる情報が本部から回ってくるかもしれないし、この近辺で探してるなら交番で保護した方がいい


でも最近の子供に交番にどうだい?なんて嫌な顔をするに決まってるか



「いきます」



最近暑くなってきた


やかんに入れた麦茶を冷蔵庫に常備しているのでそれとお礼に頂いたコンビニの菓子を出す


よく見るとこの子、うっすらとだが体中に怪我をしたあとがある


それも1箇所や2箇所じゃない・・事故?いや虐待か?



「病院にはなんで行くの?」


「伯父さんがガンって病気で入院してて」



ーーーー内容が重いっ


少し唇を噛んで耐える



「ステージフォーっていうらしいんです」



癌のStageⅣ、1~5の段階で数が大きくなるほどに重症、だったはず



「お、お菓子も食べるといいよ」


「いただきまーす、あ、こんな美味しいの初めてかも」



いま小さな声で「こんな美味しいの初めてかも」って言った?


コンビニのレジの上とかにある1000円ぐらいの詰め合わせだよそれ



「じゃあご両親がなくなった後はそのおじさんと一緒に住んでたの?」


「いえ、色んなところに行ってました」


「ふぐっ」



親族をたらい回しにされたのか!?それでこんなお菓子一つもらえずにおじさんのところに!?しかもおじさんは重い癌!??



「ちょっとトイレ借りてもいいですか?」


「いいよ、奥の右ね」



よかった、泣いてしまいそうだった



「ありがとうございます、よっと」



帽子を脱いで、大きな長袖の上着、かっぱのように上から羽織るタイプだろうか


肩から膝まであったそれを抜いで、明らかに安っぽいボロのノースリーブのシャツと半ズボンになってトイレに行った少年


シャツもズボンも縫い目が粗い、普通に考えれば雑巾にするような状態だ



きっとまともな服を着せてもらえないんだ



そこも問題だが彼の体、細い首、細い腕、細い足首、あまり食べさせてもらえてないんだろう


よく見るとだがうっすら全身、いたるところに傷がついてる、それも「大怪我」と呼べるような傷が幾重にも無数に重なっている








・・・・・・・・・・・・・ちょっと泣いた




トイレから帰ってきた少年に話を詳しく聞いてみる


昔事故にあって両親を亡くし色んなところにたらい回しにされ、怪我もその時した、最近伯父さんにあったは良いが重度の癌


何より驚いたのは年齢、16歳だそうだ、高校にも通えてない、そこは良い、いや良くはないが、この細さで、この身長、きっと、食べさせてもらえなかったんだ



「あの、泣いてます?」


「ーー花粉症でね」


「あぁ目が痒くなるやつ!大変ですね」



なのに純真な優しさは残ってる


宗教か何かはしらないが彼にとってはそれが救いなのかもしれない


数は少ないが交番内にあるお菓子を全部ビニール袋に詰めて渡す



「わっ、こんなにもらっても良いのかなぁ」


ふぐぅっ


「んっ・・・病院行くんでしょ?持っていくと良い」


「わー、ありがとうございます!あなたに神の祝福を!」



ぺこぺこ頭を下げる彼を見送って、泣いた





なんか日誌が濡れてるぞ?


こ、子供が、全身傷跡だらけで...親戚をたらい回しになって、おじさんのところに行けたけど、お、おじさんも癌で、病院にいて........お菓子、お菓子を、コンビニの安いお菓子を、こんなに美味しいもの食べたこと無いって..........(`;ω;´)

評価やコメントなど、ぜひぜひよろしくお願いします✨


僕は皆様に評価いただけて嬉しくて書けているまであります(*´ω`*)

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