第4話 突破口
「なっ――!」
なんで!?
魔法が発動しない。
なんでだよ! と思っていると、目の前に浮かび上がる≪MPが足りません≫
の文字。
MPだって!?
くそっ、<ステータス>という異世界には存在しなかった概念に惑わされている。
――ギャオオオォォォ!!
「しまった!」
一瞬明るく灯ったおれの『魔法』の光で気が付いたのか、複数の魔物が雄叫びを上げて向かってくる。
【コモドオオカミ】だ。
「くっ――!」
その凶悪な牙を一切隠すことなく噛みつこうとしてくる【コモドオオカミ】を、なんとか抜いた剣と左手に持つ盾で弾き返す。
“ダンジョン内では<ステータス>のパラメータによって自身の人間性能が決定づけられる”、それがダンジョンにおける唯一不変のルールだという。
<ステータス>が低いのは仕方がないが、『魔法』が使えないのは想定していなかった。どうする! このままじゃ喰われる!
次々に襲ってくる複数の【コモドオオカミ】の猛攻をなんとか凌ぎながら、対抗策を必死に模索する。
何か、何かないのか……、!
【コモドオオカミ】を弾き返す中で、右手に持つ【木の剣】が反応するのを感じ取る。
これが使えるなら!
一旦距離を取ったおれは、右手に持つ剣を左の腰に据えて構えをとる。
自身の集中力の高まりと共に、木の剣が呼応するように反応を示す。
――ギャオオオォォォ!!
遅い!
一閃。
一直線に向かってきた【コモドオオカミ】に対して、ギリギリ横を通過するように剣を立てて交差する。おれの剣は魔物の弱点である“核”を正確に切り裂いた。
後方、ついさっきまでおれのいた場所には、体が真っ二つになった【コモドオオカミ】が倒れている。
<スキル 斬刃>
剣技の基本中の基本だ。
グルルルルル……
「まだくるか? まとめて相手をしてやる」




