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小説の技術

プロとアマの発想の差

作者: 一色強兵

小説書きを始めた頃、いろいろと考えた時に書き留め、自ブログに掲載した駄文です。

こういう考え方もありますよ、という紹介です。


オンラインノベルの一大人気ジャンルとなればファンタジーか恋愛だ。

前者は文字通りお子様の絶大な支持があり、後者は女性に絶大な支持をされている。アダルトH小説支持層のおとな男性と合わせ、オンラインノベルを支える三大勢力である。

ネットで小説を公開しているプロ作家という人もごく僅かに存在するが大抵は有料だし勢力分布に大きな影響を与えるほどの存在ではないから、この勢力図はアマ作家の主要生息域としても見ることが出来る。


ここで改めてプロ作家さんの作品、つまり商業出版の世界とアマ作品のどのへんに差があるか考えてみたい。

一つ言えることは出版では、恋愛はマイナージャンルになってしまうということだ。この意味は中々に奥深そうで、考えられる仮説は一つや二つではない。それらをイチイチ上げ連ねてここで論じるというつもりはない。が、ブロットを練る段階で発想の差は確実にあるような気がする。

プロ作家はおそらく最初から何らかの形で読者を感動させることを狙いに置いている。それに対しアマ作家はシチュエーションに酔わせることを狙いに置いてしまう。その差が恋愛ジャンルの大小になって現れているように感じるのだ。


アマ作家は恋愛をとにかく書きたいから、素直かつ簡単に恋愛関係のある状態をストーリーの中に展開してしまう。

ところがプロは恋愛をもっと細かく分解し、惹かれる理由、理屈を作る。


この差はキャラクターの外見に強くこだわるアマと、むしろキャラの行動を魅力的に見せようとするプロの差となって現れることになる。行動なら感動に結びつきやすいからだ。

キャラが二枚目と美人では反感すら感じさせてしまう危険がある。だからプロの作品では主役の二人にはあからさまな欠点もしくは難点を設けることが多い。

が、アマはそれじゃあ恋愛関係が始まりにくいから完全無欠の二人を登場させてしまう。

なのでハッピーエンドでも、ちっとも感情移入できない。

あっそうとなるわけだ。読者の感動に結びつかないのである。


キャラの行動を魅力として演出するとなると行動描写のためにストーリーが別にいることになる。ヒーロー/ヒロインを勇敢と描くか、情け深く描くか、頭脳明晰と描くかはいろいろあるわけだが、それらが恋愛のトリガーとなるように描くわけだ。

当然こっちを描くのは大変な労力がかかるから最終的にはその作品はまず恋愛小説とは呼ばれなくなる。

つまり出発点は恋愛要素無し状態で、しかも恋愛は最終的に感動を呼ぶ仕掛けとして使う関係上、お話の展開から言えば最終局面まで決して表面には登場しないからである。

ハリウッド映画なんかはほとんどこのパターンだ。


恋愛という感情を読者と共有できる状態を作るとしたらやはりこういうやり方が効果的ということなのだろう。


やはりプロ作家というのは相当に強かである。

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― 新着の感想 ―
[一言] アマのって、自分だったらここはこうするってのが元だから、どうしても同人誌と同じシーン重視から抜けられないんだよな。シーンの継ぎ接ぎ状態と言うべきか。音楽で言えば小節ごとのつながりを意識しない…
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