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誰にも奪わせない、渡さない。触れさせない。



「空君のバカーっ!」


 教室内に怒号が響いた。


「空君が、私の処女を奪った!」


 ぶほっ。誰かがムセこむ。


「聖処女の祝福ね」

「ゲームの回復アイテム?」

「そうそう。察するに、空がスキルでアイテムを奪ったんだろうね」


 この二人の関係を知る俺と湊は慣れたものだった。


「また美紀ちゃんと、先にコンビ組んでたし!」

「だって翼は、バスケ部の練習で遅くなるだろ?」

「ログインするまで、待ってくれても良いじゃん! フレンドも女の子ばっかりで。本当に空君はスケベワンコだよ!」

「わん?」


 空よ、自分で犬であることを認めてどうするよ?

 見れば、湊の背中で、二人のゲーム友達、本馬さんがガタガタと震えていた。


「黄島君、海崎さん。つ、つ、翼ちゃんが怖いっ――」


 ココに痴話喧嘩の犠牲者がまた一人。心の中で、十字を切った。俺、仏教徒だけれど。


「……彩翔、助けて!」


 空よ。ようやく、大激怒(マジオコ)の天音さんに気付いたか。もう、かなり手遅れレベルだけれど。


「俺、このゲームのこと知らないから無理だよ」

「今度このゲームのオフ会に誘うから!」


 いや、それこそ俺にメリットないでしょ? (みー)も、睨まない。


「……オフ会? 私、聞いてないけれど?」


 確実にスナイパーエンジェルが空にロックオン。教室内の温度はさらに凍りついて――。


「天音さん、薄情な下河は放っておいてさ。今度、俺と一緒に――」

「あ゛?!」

「……いえ、なんでもないです」


 もうちょっと粘って欲しいトコなんだけどなぁ。

 空の視線が彷徨う。時計を見てもまだ休み時間は終了しませんよ?







「空君は、ドコを見ているの?」

「いえ、あの……翼しか見ていないけど」

「ふぅーん」


 あ。ちょっと、頬が緩んだ。空も、そういうことストレートに言っちゃうからなぁ。これ、絶対に冬希さんの影響だって思う。


(まぁ、仕方ない)

 息をつく。


 空が鈍感なのは、今に始まったことじゃない。

 でもさ、そろそろ天音さんの気持ちに気付いて良い頃合いだと思うんだよね?

 


 ――誰にも奪わせない。渡さない。触れさせない。本当の空を見せたくない。


 そう心底、思っていて。恋している女の子がココにいるのに。

 空が絡むと、ちょっと――いや、かなり暴走しがちだけど、さ。



(いい加減、気付けって)

第11回 毎月300字小説企画

テーマ「奪う」で参加予定も、文字数大幅に超過し。ボツに(笑)

ちなみに粘りきれなかった漢子は火花君(from「ほいくしさん!!」)でした(^^ゞ

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