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宝物をバカにされたら、ね


「翼、嬉しそうだね?」

 親友の締まらない表情に呆れつつ、お情けで聞く。どうせ愛しの彼がらみ。天音翼は学校のアイドル的存在だ。そんな子が幸せいっぱいに微笑むから、周囲は穏やかじゃない。

「空君が、ストラップをプレゼントしてくれたの」

 そんなトコでしょうね、と頷く。当の彼は机に伏して惰眠を貪っていた。

「え? そんな安物? 天音さん、俺ならもっと良いものを――」

 間に入る余裕なくバカが火に油を注いだ。

「は? 要らないから。頼んでないし」

 と厳しい視線を叩きつけた。ほら、はじまった。翼が空以外には塩対応なのはいつものこと。できれば空、早く起きて。君が起きたら、翼の空気がガラリと変わるから!

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