37/78
この隕石、二人だけのナイショだから
「これ、スゴイだろ?」
彼が興奮して言っていたのを今でも思い出す。
「二人だけのナイショだから」
そうそう、こういうトコなんだ。コイツは容赦なく距離を埋めてくる。
からん。ころん。それぞれ形が違うスベスベした石が、音を鳴らす。
「すごいだろ、この隕石! 湊と俺だけの秘密な!」
きっと君は知らないよね。私の 抽斗のなかには、河原で拾ったあの石が眠っていることを。私の目の前で、君と――あの時はいなかった子が、楽し気に喋っている。彼女は「《《自称隕石》》」のことを知らない。私は知っている。意地悪だ、って思うけどでも仕方ない、君が「秘密」って言ったんだから。だって、約束は守らないとだもんね。
だから、誰にも教えてあげない。
Twitter300字SS 第89回テーマ「石」に参加。
海崎湊視点、空君の幼い頃の姿を。
彼は幼い時、石コレクターでした(笑)




