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チェケチェケラッチョ(閑話9 side:下河大地 青年団ver )

(side:上川大地 青年団ver )



「「「トリック・オア・トリート」」」

「「「オヤツをくれないとイタズラしちゃうぞ!」」」


 そんなチビさん達の声を聞きながら、つい頬が緩んでしまう。それは娘がまた参加できたこともそうだし、息子が積極的に声を出し、盛り上げている姿も嬉しい。


「総長!」

「……今は団長な」


 声をかけてきたのは青年団・団員の田島辰彦(たじまたつひこ)――愛称タコ。朱雀春風時代から慕ってくれる、可愛い後輩だ。ただ、こいつちょっとアホなんだよな。


「子ども会に負けないよう、大人も気合いれるべきじゃないっすか?」

「いや、これ子ども会主催のイベントだからな」

「だとしても、ですよ。子どもらに比べて覇気がねぇっす。大人が本気じゃなければ、子どもに火がつくワケないと思いませんか、総長?」

「団長な」


 とは言え、タコの言うことももっともだ。青年団が大人を巻き込んで、盛り上げていくのも悪くない――そう一時は思った、俺がアホだった。






「タコさんで、本当に大丈夫なの?」


 空に言われるが、タコももう大人だ。だからハチャメチャなことはしないはず――だと信じたい。

 だから雪姫、そんな氷の視線を送らないで。


「任せてくださいよ。確実にこの集会を盛り上げてみせますから!」


 ハロウィンパーティーな? 族の集会じゃないから。


「それじゃ、いきますよー。トリック・オア・トリート」

「「「トリック・オア・トリート」」」


 子供たちが元気に追随する。お? ちゃんと盛り上げてくれてるじゃんか。これなら安心だ。


「お菓子をくれないと、イタズラしちゃうぞ!」

「「「「お菓子をくれないと、イタズラしちゃうぞ!」」」


「さぁ、大人の皆さんもご一緒に! say yeahー!」

「「「せい、いえー!!」」」


 タコ?


「チェキチェキラッチョ、チェキラッチョ!」

「「「チェキチェキラッチョ、チェキラッチョ!」」」


 おい、まてタコ?


「生麦生米生卵! チーターが池に落っこチータ!」

「「「生麦生米生卵!! チーターが池に落っこチータ!!!」」」


「隣の客はよくガキ食う客だ!」

「「「隣の客はよくガキ食う客だ!」」」


 マテマテマテ、タコタコ!  タコタコラッチョ、タコラッチョ!?

 子ども会で言っちゃダメなヤツ! 見ろ、お母さん達の冷ややかな視線、今すぐ気付け!


「トリック・オア・トリート! お菓子をくれないと突撃しちゃうぞー!」

「「「突撃しちゃうぞー!」」」


 言うやいなや、テンションマックスの子ども達は、タコと一緒に駆け出してしまう。

 ど、どうすんのさ、コレ……?


「お父さん」

「父ちゃん」

「大地さん」


 見れば、家族から非難のまなざしが集中。え? これ俺、悪いの?


「冬希君ー!」


 思わず、娘の彼氏に救いを求めるが、ウチの【雪ん子】さんには逆効果だったようで、なおさら氷の視線が強くなる。『私の冬君を巻き込まないで』と表情があからさまに語っていた。


「とりっく・おあ・とりーと……」


 お菓子くれなくて良いので、勘弁してもらえませんか?

 秋風が、寒々しく俺の足元を吹き抜けていくのだった。



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