第2話 新しい世界
「地球全体を舞台としたVRゲームワールドだって?」
「はいおっしゃるとおりです。なのでこの現象は貴方だけではなく老若男女全ての人々に起こっているのです」
「・・・なんてこった」
VR技術も珍しくない現代だが、目の前に広がる世界は自分の寝室とは紛れもなく違う場所。頭にゴーグルのような物はないが体は思うように動き現実となんら変わりは無い、完璧な仮想現実世界だ。
「それではこれからこのゲームのチュートリアルを初めて行きます、一度しか説明しませんが内容は今後また紹介しますヘルプの項目から閲覧できますのでご安心くださいね」
目の前の美少女からはゲーマーならば何度も聞いたような話が聞こえてくる、こういうテンプレっぽいのがいかにもゲームみたいな感じだ。
何はともあれゲームといわれたら無視できないのがゲーマーである、チュートリアルも聞き逃すなんてことは絶対にしない。
「まず、このゲームはサバイバルシミュレーションとなっており迫り来る敵を前に生き残っていくのが目的です。プレイヤーは敵を倒し験値を蓄積していく事でレベルを上げステータスを強化したり、キルなどを習得して自分を強くすることで生存する確率を上げていきましょう。そしてプレイヤーにはHPが存在し、それがゼロになるとゲームオーバーとなります」
「・・・ちょっといいか?」
「はい、なにか分からないところがありましたか?」
「いくつか質問したいんだけど、君はもしかしてAIだったりするのか?」
話し方と言い、さっきの受け答えと言い普通の人間と代わらない所を見るとそんな気がしてならない。
「そうです、私はこのゲームの運営に携わる人工知能俗に言うAIです。他に質問は?」
「それじゃもう一つ、このチュートリアルはもしかして他の人たちも受けているのか?」
「もちろんです、全世界の皆様に今現在行っている最中ですね」
世界同時多発テロならぬ世界同時多発チュートリアルとは驚きすぎて思わず顔が引きつってしまう、理屈はわからないがとんでもないことだけは明白だ。
「以上ですか? それならば説明を再会いたしますが」
「いや、これが本題だ。プレイヤーのHPがゼロになるとゲームオーバーっていってたけど、ゲームオーバーになったプレイヤーはその後そうなるんだ?」
その質問を投げたときの彼女の顔は笑っていた、まるでその言葉を待っていたかのような表情に俺はゾッとしてしまう。
「はい、プレイヤーはゲームオーバーになってしまいますとそれからはゲームに復帰出来なくなりそして、現実世界でも命を落とすことになります」
その冷たい笑顔から放たれた言葉に思わず唾を飲み込む、嘘みたいなその現実を否応なく突きつけられてさっきから冷や汗が止まらないそのリアルな感触も後押しになった。
「ご理解していただきたいのです、これはリアルサバイバルシミュレーション。貴方の命はたとえゲームの中のHPとはいえ本物なのだと言うことを」
デスゲーム、アニメやそれこそゲームでしかそういう話を聞いたことがない、それが自分の身に起きるとは夢にも思わないだろう。
「質問は以上のようですねそれでは説明を続けさせていただきますね」