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スカウト

私は校長室の前に立ち、ドアをノックした。


「入りたまえ」

と校長の声がした。


「失礼します、聖女様をお連れ致しました」


ドアを開けると校長と若い男性が立っている。

男性は慌てた様子で駆け寄って来た。


「聖女様! どこに行ってたんですか!」

「すまんのう、歳を取ると(かわや)が近くてな」


「言ってくだされば同行したのですが」

「なんじゃお主、女子(おなご)(かわや)についてくる気だったのか?」


「当たり前です、護衛が私の任務なのですから」

「とんだ変態さんじゃのう」

「トイレの中までは入りませんよ、入口までです」


(かわや)の帰り道で迷ってしまったのじゃが、この(わらし)が案内してくれたのじゃ」


「私はエリス・バリスタと申します」

「僕はギルベルト・シュタイアートだ、聖女様を案内してくれてありがとう」


「こやつは(わらわ)の護衛じゃ、勇者の格付け(クラス)を持っておるぞ」


勇者はこの国で一人しか存在しない、つまりこの国で最強の人物と言う事になる。


その最強の人物に守られているのが聖女なのだ。

さすが教科書に載っていると言うだけの事はある、国の要人としてはトップクラスだろう。


勇者は聖剣エクスカリバーを常時帯剣している、いつでも抜刀できるようにアイテムボックスには入れないのだ。


ちなみに私のオリジナルスペル(固有魔法)もエクスカリバーだが、適当に名前をつけただけで勇者の持ってる聖剣とは全然関係が無い。


「授業がありますので、私はこれで失礼させて頂きますわ」

と言って教室に戻ろうとした時


「待ちたまえ、君にも話がある」

と校長に呼び止められた。


一瞬ドキっとしたが、最近は大人しく過ごしているので何かやらかした覚えは無い。


「こやつが例の女子(おなご)じゃったか……」


「何か問題でも?」

と私は恐る恐る聞いてみる


「僕たちは優秀な人材が欲しくてね、この魔法学校に視察に来たのさ」

とギルベルトが言う


「学校の壁には魔術的な結界が張られていてね、君はその結界を貫通したんだ」

「うむ、校長から聞いたぞ、学校の壁をブチ抜いた女子がおると」


「そ…その話はもう済んだ話ですし、時効と言う事で……」

私は取り繕うが逃げられなかった


「何を恐れておる、優秀な人材を探しに来たと言っておろうが」


「他を当たっていただくわけには……」


クラウディア(聖女様)はガシっと私の腕を掴む


「せっかの人材じゃ、話だけでも聞いてゆかぬか」



ここで選択肢が出た。


- クラウディア(聖女様)に捕まってしまいました、どうする? -

 

 1.観念する

 2.逃走を試みる

 3.クラウディア(聖女様)のパンツを下す



いつも疑問に思うんだけど、このゲームって時々関係ない選択が肢混じるよね。


と心の中で思いながら”3番”を選んだ。


「とりゃあああ」


私は気合で地面スレスレまでしゃがみこむと、タックルするようにクラウディアの下半身に突進してパンツを引きずり下ろした。


「な……何をしておるのじゃああああ」


校長は真っ白になって固まっている。

我が校の生徒が国の重要人物のパンツを引きずり下ろしたのだ、厳罰どころの騒ぎではない、校長も含めて責任者はクビだろう。


私は華麗に回れ右をしてドアに向かってダッシュする。


「縮地」

後方でギルベルトがスキルを発動した。


ほんの一瞬で進路を塞がれ、目の前にギルベルトが立ちはだかる。


「ですよねー」


私の逃走は失敗し捕縛されてしまった。


校長と私は土下座してクラウディアに許しを乞う。


「「申し訳ございませんでしたー!!」」


「本人の意志を尊重するつもりじゃったが、これで断れなくなったのう」


「「と言いますと?」」


「妾に協力するならば無礼は不問に致すぞ、ちなみにNOと言う選択肢はない」


「「喜んで協力させて頂きます!」」


こうして、私の身柄はクラウディアに引き渡されたのだ。




「国家特別待遇学生?」


「そうじゃ、この学校の学費の免除と単位修得の免除じゃ、その代わりに卒業後は士官学校へ放り込まれる事になるじゃろう」


「普段はちゃんと学校に通うのじゃぞ? 在学中に任務や研修があった場合、こちらから要請があった日数だけ授業が免除になるしくみなのじゃ」


「なかなか良い待遇ですわね」


「勘違いするでない、あくまで優秀な人材の場合じゃ、無能ならば当然放り出すぞ」


「それら今すぐ放り出して頂いても……」


「ほう、妾に無礼を働いた罪を今すぐ償いたいと申すか」


校長が私に向かって腕でバッテンを作り、冷や汗を流しながら首を左右に振っている。

校長のクビが飛ぶかどうかの瀬戸際なので当然の反応だろう。


「わかりましたわ、どうあがいても逃げられませんもの」


「わかれば良いのじゃ」


「君、よほど聖女様に気に入られたみたいだね」

ギルベルトが感慨深げに言う。


「君には人を惹きつける何かがあるのかもしれない」


私は一瞬ドキっとした。

魅了(チャーム)のスキルがバレたのかと思った)


「さてエリスの件はこれで決定じゃな、校長よ、他にも推薦したい人材はおらぬか?」


「あのー」


「何じゃエリス」


「縮地を使える剣士と、魔槍を使える剣士に心当たりがありますわ」


「君、本当かい?」

ギルベルトが食いついた


「縮地が使える剣士はトップクラスでもごく一部だ、とても貴重な人材だね」


「あと、聖剣や魔槍は手にしただけで威力を発揮するわけじゃないよ、起動術式による武器の能力解放がなければ力が解放されない、それが可能な剣士も限られている」


「よかろう、剣士の事はギルベルトに任せる、見極めるのじゃぞ」


(うけたまわ)りました、聖女様」



授業中のキャサリンとウェンディが呼び出された。


学校のグラウンドを借りて、ギルベルトと模擬戦をやる事になったからだ。


もちろん勇者に勝てるはずがない、技量を見極めるだけであり、勝利が条件となるような試合ではなかった。


「妾が結界係と立会人を兼ねるぞ、存分にやるが良い」

クラウディアが聖女の力で大規模な結界を作った、グランドのほぼ全てを覆っている。


聖女の結界は特別で『聖域』と呼ばれる物理攻撃防御と魔法防御の多重結界だ。


この結果内ならば人が怪我をしたり建造物が破壊されたりする事はまず無いだろう。


私は推薦人として立ち会っている。


「まさか2人共、女の子だとは思わなかったよ、最初は誰からにする?」


「じゃあ最初はこの私、槍マ……」

「わー、わー、彼女はウェンディですぅー!」

と私は必死に誤魔化した。


「なんで真名言っちゃうかなぁ、まぁいいですけど、ウェンディ・グリーンバリーが相手をしますよ」


あれからウェンディは実力を認められ、師匠から槍を譲り受けたと言っていた。

その槍をアイテムボックスから取り出す。


伝承の槍(ネームドランス)が使えればいいんですよね」


「そうだね、その槍を起動できるかい」


「恐槍ドゥヴシェフ、起動!」

キーンと言う音と共に槍に刻まれたルーン文字が発光する。


ウェンディは穂先を相手に向けると構えを取った。


「ほう、確かに使えるようだね」


「魔槍ゲイ・ボルグも使えますよ、あれは師匠が譲ってくれないので持ってないですけど」


「相当な使い手とお見受けする」


「聖剣エクスカリバー起動!」

刀身が青白く光る。


ギルベルトは特に構をとらない


「いつでも……」

いつでもどうぞと言う前にウェンディが先に仕掛けた


「縮地」


(えっ?ウェンディって縮地使えたの?)


もちろんギルベルトも縮地を使えるのでちゃんと迎撃しているらしい。


立会人と言っても、何が起こっているのか私には把握できなかった。


映画のコマが飛んだような光景だ、瞬間移動したかのように、出ては消え、消えては出てくる。


やがて2人は動きを停止した、決着がついたのだ。


ギルベルトがウェンディに寸止めで聖剣を突き付けている。

槍は地面に刺さっていて、ウェンディは両手を上げていた。


「勝負ありじゃな、合格じゃろ」

「ええ、そうですね、文句なしの合格です」


「え、そうなんですか?」

と私は疑問を投げかける


「勇者相手に戦ったのじゃぞ? 並の騎士なら秒で瞬殺されるわ」

「彼女の技量には正直驚きましたよ、我々の騎士団でもトップに食い込める実力かと」


キャサリンが私の所にやって来た。


()()いたんでしょ?」

と私はキャサリンに話しかける


「ええ、()()いました」

キャサリンは2人の試合を”縮地”を発動して見ていたのだ。


「どう?」

「正直、勝てませんね……でも負けません」

「頑張ってね」


ウェンディと入れ替わりでキャサリンが結界内に入る。


「キャサリン・パントリーです」


「君も縮地が使えるんだね」


「私も伝承の剣(ネームドソード)を使わせてもらってもよろしいですか?」


「君も持っていたのか、勿論許可するよ、しかしどうなっているんだこの学校……」


キャサリンは剣を構える


「起動しないのかい? それとも起動できないのか」


「私の場合、先に縮地を使ってからの起動となります」


最初から起動するより、必要な時だけ起動した方が魔力効率がいい、魔力の配分をそこまで考えないといけない相手と言う事だ。


「了解した」


ギルベルトは聖剣を()()()

「聖剣エクスカリバー起動!」


「いつでもどうぞ」


ほんの僅かの沈黙の後、2人同時にスキルを発動した。


「「縮地」」


ドンと言う爆発音と衝撃で結界が振動する。

地面がぐらぐらと揺れた。


「何が起こってるの?」

私はパニックになる。


「結界に亀裂が入ったじゃと!?」

クラウディアが結界にガンガン魔力を吸い上げられ騒いでる。


「止めなくていいんですか? 死人が出そうですけど」

さすがに不安になったのでクラウディアに問いかける。


「妾の結界を信じよ、それに体に穴が開いても妾ならば治せるわ」


聖女の治癒魔法は体の欠損まで治せると言う話は聞いた事がある。


止める気の無いクラウディアに諦めつつ、私は2人の戦いを見守る。


私が見た時は既に2人の動きは静止していた。


お互いに剣を構えたままだった。


「決着がつかなかったよ」

「なんと! 勇者と互角じゃったか」

2人共、信じられないと言う顔をしている。


ギルベルトはキャサリンに質問をする。

「ところでキャサリン、その剣の名前を教えてくれないか?」


「神剣マルミアドワーズです」


「なんじゃと!」


「やっぱりね、エクスカリバーの上位に位置する剣だ」


(え? エクスカリバーの上ってあったの?)


「それでも剣のせいにはできないなぁ、倒しきれなかったからね」


「まったく無茶しおって、模擬戦と言ったじゃろう、一歩間違えばこの街が消し飛んでいたぞ」


それでもクラウディアが結界を維持していたのはさすがだと思った。


こうして私達3人は優秀な人材として抜擢(ばってき)される事になったのだ。

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